第30話 学院闘技大会

ね、ネタ回...?

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「闘技大会?まだ先じゃなかった?」

「な~に言ってんだケント。オレが言ってるのはのことだよ。」

「そんなのあったっけ?ボク、帝国闘技大会は何度も見たことあるけどそっちは見たことないなぁ」

「帝国中の学院から選抜された選手が戦うやつね。マーブルは選抜戦出るの?」

「そういうレイシアはどうなんだ?もちろんオレは魔法部門に参加するけど。」

「私は今回は出ないわ。観戦だけかな。ケントはどうするの?」

「ボク?うーん、出るなら無差別部門だけど...」

「なんだよ、出ようぜ!代表になるためには上位4人に入ればいいんだろ。オレたち下級だからいいとこ狙えんじゃねえの?」

はあ、まあ出るのは嫌じゃないし、今回はやってみるか。


「あ、そういえばケントのお姉さんのエファ殿下は下級と上級合わせて学院闘技大会10連覇したそうよ。ケントも頑張ってね。」

「え、エファ殿下やっべえな。それって無差別部門?」

「そうよ。」

「む、なんだよ2人ともこっち見て」

「「がんばれ!」」

ええ、10連覇するの?まじか...。





『では各学院の代表選手はお並びください。』

闘技場にアナウンスの声が流れる。

帝都の闘技場には帝国各地の代表選手と多くの観客が詰めかけていた。

ボクたちが入場していくと会場は大きな歓声に包まれる。


「すごい熱気だな...。」

「おお!燃えるぜ!!」

マーブルは目を輝かせている。

彼もしっかり魔法部門で3位に入り、学院闘技大会への切符を手にしていた。

ちなみにボクは...


『さあ、選手たちが入場してまいりました!!まずは剣技部門下級!注目は1年生ながら帝都学院選抜戦で優勝したカルロ家次男!レイフォート=ラ=カルロ!!その流れるような美しい剣技は私の心を魅了したァ!!』

なんか実況の人個性的だな...誰だ?

というかレイフォート=ラ=カルロってガレインの息子じゃん。

1年生で選抜戦優勝って...強いんだろうなあ。


『実況は私、帝都学院生徒代表のギルバートとォ!』

『代表、テンションが高すぎですよ。もう少し抑えてください。あっ、私、帝都学院生徒副代表のシェリアです。よろしく』

うわあ、代表だ。あの個性の塊の代表だ...。

でも聞いた感じ副代表はまともそうな...。普通の人っぽいな。


『それでは!剣技部門上級の注目選手をご紹介しましょう!!私の選んだ一人はこの人ォ!!エルメダ公爵領学院からやってきた”嵐刃”ベリアルだァ!!その荒々しい剣技はまさに嵐!!一体各地のツワモノとどんな戦いを繰り広げるのでしょうか!!!』

『続いて魔法部門下級の注目選手を紹介いたします。まずは...』

『まァーずはコイツだァ!!!去年1年生ながら下級を制した、”ほむら”のバーンスタイン!!!今年はどんな業火を見せてくれるんだァ!!??』

『待て代表、私の仕事を取るんじゃねえよ。あら、失礼。続いて上級の注目選手です。おい代表待てやコラ、私が言うから邪魔すんなよ?おっと失礼何でもありません。』

チョットマッテ?なんか聞こえたんですけど?


「おい、ケント。今の聞いたか?」

「聞いた。副代表もやばい...。」


『それでは最後に無差別部門の注目選手の紹介です。代表、どうぞ。』

『よぉしキタァ!!!もうすでに皆の衆が注目しているだろう...!!!下級の注目選手は今年ご入学!!第三皇子!”聖なる者”ケント=アリフ=ラ=オルフェウス殿下だァ!!!!!!”紫の流星”エファ殿下のように10連覇を見せてくれるのか!?はたまた”輝きの皇子”エルヴァ殿下のように全部門優勝を達成するのか!?皆様乞うご期待ィ!!』

う、うわあ、恥ずかしい...!なんて恥ずかしいんだ...。

「エルヴァ殿下もサラッとすごいことしてるんだな。皇族一家すげえや。」

「ボクも思った。そんなこと兄様に聞いたことないんだけど...。」


『無差別部門上級の注目選手は6年生の”煌炎”のルネリアです。妖精族固有の精霊魔法は超強力!去年の魔法部門上級の覇者が今年は無差別部門で躍動します!』

『おいおい、シェリアぁ~そんな解説じゃあ沸かないだろ?ルネリアちゃんも困ってるじゃないか』

『いや本人を見ろや。あれは完全に”嫌だ、やめてくれ!”って言ってるよ。代表は黙って座ってろ。失礼、なんでもありません。それでは早速各部門1回戦を開始いたします。出場選手はそれぞれの戦闘舞台に上がってください。』


「ほんとに個性的すぎるでしょ。観客の人たちは盛り上がってるからいいんだけどさ...」

「ま、そうだな。じゃあオレはあっちの舞台だから。お互い頑張ろうぜ!」

「うん!」

よ~し、代表に煽られたからな...。

絶対優勝してやる!!!!!




☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「わあ!すごい歓声ですね!」

「そうですね、ケント様、緊張してないでしょうか。」

「ユリアはケント君が負けるとは思ってないんですか?」

「ええ、もちろん。ケント様はお強いですから。それに...」

「それに?」

「ふふ、エリー様、見てください。ケント様はかなりやる気ですよ。」

「あら、本当です!ケント君の1回戦の相手は...あ、ヘリオス領の学院の人ですね。そして4年生ですか。大丈夫でしょうか...?」

「見たところケント様の楽勝ですね。すぐに終わりますよ。」



「あっ!すごい!今のは何ですか!?すぐ決着しました!!」

「そうですね、まず闇魔法で相手の動きを阻害する魔法をかけ、その隙に剣で攻撃したのでしょう。その闇魔法も詠唱無しかつ一瞬で発動しています。」

「ユリアは見えてたんですか?」

「はい。日々の訓練で鍛えられていますから。エファ殿下に。」

「私には何が何だかわかりませんでした。他の試合も解説してくれますか?」

「もちろんです。次はどこを見ますか?」

「それじゃあマーブル君のところを...」



☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆




ふう、これで準決勝進出だな。

無差別部門は何でもありだからかなりやりやすい。

さすがに殺傷能力のある魔法は禁止だけど。



『さあやってまいりましたァ!!ついに準決勝!!ここからは大舞台にて一試合ずつ行います!!まずは剣技部門下級から!』


剣技部門下級はレイフォートと帝都学院選抜2位の5年生が順当に勝ち上がった。これは学院選抜決勝の再戦か...

剣技部門上級は注目選手のベリアルと帝都学院選抜2位の生徒が勝ち上がった。ベリアルは帝都学院選抜3位と4位を倒してきている。見た感じあの人、かなり強い。


魔法部門下級では注目のバーンスタインがまさかの敗北。彼に勝ったのは何とマーブルだった。あいつ、なかなか強いぞ...。もう一人は帝都学院の4年生。確か選抜では2位だった。

魔法部門上級は注目選手のカラットとアマデウス伯爵家令嬢のカミラ=レ=アマデウスが勝ち上がった。カラットは光魔法、カミラは闇魔法、かなり面白そうだ。


そしてボクの参加している無差別部門下級。

ボクは準決勝も難なく勝ち上がり、決勝へコマを進めた。

ボクの試合の後に行われた準決勝第2試合、ラヴァ辺境伯領学院の5年生が勝ち上がり、ボクと決勝を戦うことになった。

無差別部門上級はルネリアさんと、同じ妖精族の人が勝ち上がった。同じ種族での決勝...アツい!



『ついに!!ついに決勝です!!!今年も数々の名勝負が生まれました!!まずは剣技部門!!レイフォート選手対トラウム選手!!』


「ケント、やっぱレイが勝ち上がったな。」

「あれ?マーブルはレイフォートと知り合い?」

「おう、騎士科の授業で仲良くなったんだ。いいやつだぜ!」

「へえ...」

ボクは試合の始まった舞台の上を見つめる。

2人は拮抗しているようにも見えたが、レイフォートにはかなり余裕がある。

「決まりだな」

「うん」

レイフォートが相手の剣を弾き飛ばし、決着した。


『剣技部門下級、優勝はレイフォート=ラ=カルロォ!!!!終始相手を圧倒!これはすごい1年生が出てきたぞ!!!来年に期待だ!!!』


次の剣技部門上級は前評判通りベリアルが優勝。

怒涛の攻撃で相手を押し切った。


「ようし!オレの番だな!帝国中にオレの名が響き渡るぜ!燃えるぅ~!!!」

「頑張れマーブル。応援してるよ。」

「おう!」


『続いては魔法部門です。注目のバーンスタイン選手を破った帝都学院選抜3位のマーブル選手対、キュリオス公爵領学院のロワーナ選手!』

『さあ注目のバーンスタインを破ったマーブル君!!彼はどんな戦いを見せてくれるんだ!?ワクワクすっぞおい!』

『代表、それはなぜかダメな気がするから止めろ。失礼、確かにマーブル君は強いですね。帝都学院選抜ではバーンスタイン君とは対戦していなかったようですから相性の問題でもあるのでしょうか。対してロワーナ選手は去年準優勝した実力者です。どう戦うのか見ものですね。』


”試合開始!!!”

審判の声が響き渡ると、2人は同時に飛びのいて距離を開ける。

そこからは怒涛の魔法の打ち合いだ。

マーブルの風魔法とロワーナさんの水魔法がぶつかり合う。


「おらあああああ!!!!」

「はああああああ!!!!」


2人の渾身の一撃...!

どっちだ?


「しゃあああ!!!」

マーブルの魔法がロワーナさんの魔法を突き破る。

そして魔法部門下級はマーブルの優勝で幕を閉じた。


魔法部門上級は予想とは違い一方的だった。

カラットはカミラに全く歯が立たず、あっけなくやられていた。

(魔力量が段違いだな...。それに位階も高そうだ...)



さて、次はボクの番か。

相手はエスタルさん。ラヴァ辺境伯領学院の5年生で、準決勝ではその赤い髪の通り火魔法を中心に使っていた。



「ケント殿下、相手をすることができ光栄です。よろしくお願いします」

「こちらこそ。年下だと思って舐めないでね。」

「ふっ、先程までの戦いを見て実力を疑うわけないでしょう。全力で焼きます」


”試合開始!!”


『さあ始まりましたァ!!まずはエスタル選手が魔法を構築!おっとしかぁーし!ケント殿下が距離を詰め剣で攻撃!!エスタル選手は魔法構築に失敗だァ!!』

『うーん、エスタル君も構築が遅いわけではないんですが...。ケント殿下の速さも相当なものですね。あの速さで撹乱されると魔法主体の...』

『おおっとォ!!ケント殿下の光魔法がエスタル選手に炸裂ゥ!!!これは決まったか!?』

『まだだよ、アンタの目は節穴か。もっとしっかり見ろやクソが』

『おお!エスタル選手、炎の盾で防いでいるゥ!!!そして反撃開始か!数十個の炎弾がケント殿下を襲う!!!』

『見事な反撃ですね、しかし少し

『なァ~ンと!!!!ケント殿下は同量の水弾で打ち消したァ!!いや待て!その数は炎弾を上回っているゥ!!!!!!エスタル選手は防いでいるがいっぱいいっぱいだ!!そしてうおおおお!!!なんとあれは闇魔法かァ!?!?エスタル選手が黒いもやに包まれてしまったァ!!!』

『ほお、あれは”暗黒霧”ですか。水弾との多重発動とはなかなかやりますねえ』

『そして決着ゥ!!!!!!!!勝者はケント殿下だァ!!!!』



会場は大歓声に包まれた。

”うぉぉぉぉぉ!!!ケント殿下強すぎだろ!!!!”

”やべええ!!!エファ殿下みたいに10連覇するんじゃね!?”

”きゃあああああ!!!すてきぃ!!!!!”

”ケント君かっこいいですぅ!!!!!!!”


ん?今エリーの声が聞こえたような...?

会場を見回すと...いた。

最上段席、ユリアと並んで座るエリーの姿を見つけた。

そっちに向かって手を振ると、エリーとユリアも手を振り返してくれた。



『さあお待たせいたしましたァ!!!遂に今年の最終戦!!無差別部門上級!!!会場の皆さんも盛り上がっていきましょォ!!!!』


おっともう上級が始まる。

早く舞台から降りないと...。


「ケント殿下、君、強いねぇ」

「えっ?」

「ふふっ、私はルネリアだよ。今度一緒に訓練してくれるかな?」

「あっ、上級の!もちろん!頑張って下さい!」

「楽しみにしてるね。じゃ、またね」

あの人がルネリアさん...。

なんか...エロいな...。とても14歳に出せる雰囲気じゃない...!

ピンクの髪にピンクの瞳...ピンクはいんらん淫乱...じゃなくて!

ふう、とりあえず試合を見てみよう。

”煌炎”なんて二つ名がついているんだからたぶん火魔法なんだろうけど...。




「えっ!?嘘だろ?」

決着は一瞬だった。

ルネリアさんの放った魔法は大舞台を覆いつくし、勝敗が決していた。


『すばらしい!!!今までの最速記録を塗り替える快挙達成だァ!!!!あの蒼い炎!!”煌炎”の由来とも言える素晴らしい魔法で対戦相手のフェリシア選手を下しましたァ!!!』

『すごいですね、大舞台を覆いつくすほどの魔法。さらにその構築の速さ。闘技大会に出始めたのは去年の上級からですが、あと3年の大会すべて優勝も狙えるでしょう』



「なんだあれ。つっよ。」

ルネリアさん...淫乱とか思ってごめんなさい。



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