第3話 家族のぬくもり②
「では今から...ケントの4歳の誕生祭を行う!」
そう父様が宣言すると、執事のアルフレッド爺が指示を出し準備を進める。
ボク以外の所にはいろんな色の箱が置かれていく。
「ではエルヴァから順に渡していきなさい。」
父様がそう言うとエルヴァ兄様が、黒に金の模様の箱に碧のリボンをまいたものをボクに渡した。
「ここに触れてごらん」
エルヴァ兄様に促され、リボンに触れる。
触れた途端にリボンが勝手にほどけていく。
箱のふたを開けるとボクの目と同じ、赤紫の
「マントだ!きれいな色!」
「ケントの目の色のマントを選んだんだ。ケントの目の色は珍しいから探すのが大変だったよ。」
エルヴァ兄様は苦労してこれを用意してくれたらしい。
本当にうれしい。
そして母様がボクにマントを付けてくれた。
でも裾が床にべったりついている。
「まだ着れないみたいですね。」
少し残念な気持ちになる。
「まあ待て。魔力の扱いはできるようになっていたじゃないか。マントに魔力を流してごらん。」
エルヴァ兄様がそう勧めてきたので最近やっと扱えるようになった魔力をマントへ流す。
するとマントに魔法陣が浮かび上がるとボクの体にぴったりのサイズへと変化した。
「そのマントには”適応”と”適温”の魔術式が刻まれているんだ。常に適当な温度に保ってくれる上に体の大きさに合わせて大きさも変わる優れものだよ。大人になっても使えるから大事にしてほしいな。」
魔法すごすぎだろ!!そう脳内でツッコむのは当たり前だと思う。
「大事にします!ありがとうございます!」
エルヴァ兄様はボクの頭を撫でて席へと戻った。
「次は私ね。はいどうぞ、ケント♡」
エファ姉様がそう言って濃い紫のリボンが付いた、薄紫の箱を渡してくれた。
箱を開けると、黒いポーチが入っていた。
「そのポーチは”拡張”と”整理”の魔術式が刻まれたポーチよ。何かものを入れたりするのに使ってね。今できる最大の容量になっているからね。」
こ、これは!よく言うアイテムボックス的なアレか!?
すごいのをもらった気がする!
「エファ姉様、ありがとうございます!!わっ?」
お礼を言った後いきなりエファ姉様に抱きしめられた。
そして頬にキスを落とされる。
「喜んでるケントもかわいいわ♡大事に使ってね♡」
「はい!」
エファ姉様はよくこういうスキンシップを取ってくるので慣れてきた。
ただ顔が真っ赤になってしまうのは仕方ないよね。うん。
「ちょっとエファ姉様、ケントにくっつきすぎ!私の番でしょ!」
「はいはい、イルシアもくっつきたいんだもんね~」
「ち~が~う!早く渡したいだけ!」
「ふふ、じゃあ渡してあげなさい。ケントが待ってるわよ」
エファ姉様にからかわれていたイルシア姉様はハッとしてこっちへ来た。
「はい。私からのプレゼントよ。開けてみて!」
緑のリボンが巻かれた赤い箱を手渡される。
大きさが先ほどもらった箱よりも小さかった。
箱を開けると、中には赤色と銀色の万年筆が入っていた。
「私からは”保存”と”清潔”の魔術式を刻んだ万年筆をあげる!これを使っていっぱい勉強してね!」
すごくきれいな万年筆だ。早くこれでいろいろ書いてみたいな。
「ありがとうございます!イルシア姉様!」
「うっ、眩しい...!」
何かつぶやいた後、イルシア姉様はボクをぎゅっと抱きしめてくれた。
「あまり無理しすぎちゃだめよ?」
「はい!」
イルシア姉様が席に戻ると、アイリ姉様とマルク兄様が来た。
「次は~」「僕たちだね」
2人に渡されたのは黒くて細長い箱だった。
アイリ姉様の箱には黄色のリボン、マルク兄様の箱には水色のリボンが巻かれていた。
箱を開けると短剣が1振りずつ。
「私のは、”飛斬”と”軽量化”の魔術式」
「僕のは、”解体”と”清潔”の魔術式」
「私のは戦いに」「僕のは解体に」
「「使ってね☆」」
また便利ですごそうなものをもらってしまった。
自分で言うことではないが、甘やかしすぎじゃ...まあ、いっか。
「アイリ姉様、マルク兄様、ありがとうございます!」
「一緒に狩り、行こうね!」「解体の仕方も教えてあげるよ」
そう言って二人はポンとボクの肩をたたいて席に戻った。
「次は私からね。はい、どうぞケント。」
母様から青のリボンが付いたピンクの箱を手渡された。
箱を開けると、銀色の毛皮で作られたブランケットが入っていた。
「あなたの髪色と同じ銀色の毛皮で作ったの。”適温”、”清潔”、”保存”の魔術式が刻まれているのよ。今夜は一緒に寝ましょうね、私たちの可愛いケント」
「
ボクがブランケットを広げて眺めていると、横から父様が口をはさんできた。
「それってすごいんですか?」
「ああ、並みの付与術師にはできないだろう。
ほえー、てことは兄様たちにもらったものも母様にもらったものもすごいものなんだ。
「母様!ありがとうございます!大事にします!」
「ふふ、喜んでもらえたみたいでよかったわ。これからも健やかに育ってね、ケント」母様はそう言っておでこにキスしてきた。
「あ、そういえばなぜ4歳の誕生日は特別なのですか?」
つい我慢できずに聞いてしまった。
すると父様はニヤリと笑って、「今からわかる」と最後の箱を渡してきた。
「これは...タマゴ?」
父様にもらった金のリボンで飾られた赤い箱を開けると、そこにはボクの頭ほどの大きさの真っ白なタマゴがあった。
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