第39話 (わからせ注意)
もう色々とめちゃくちゃだ。神木さんは怒りながら帰るし、姫は姫で絶対にやらなくていいことをしてくるし。神木さんの『意味わかんない!』を心の中で言っておこう。
「というか、神木さんは僕たちが本当の兄妹って思ってたね。顔が似てないから、完全にバレると思ってヒヤヒヤしてたよ」
「たしかに……。そうじゃなきゃ、『兄妹なんだよ!?』なんて言わないだろうからな」
「でもこれで姫の仕事がなくなることはないね。よかったよ、本当に」
「まあ、明日から頑張って耐えるんだぞ。大丈夫、拓ならなんとかぶっ飛ばせるさ」
「いや! なんでリンチされる前提なの!? 流石の神木さんもバラさないと思……」
いや、バラすな。極めてその可能性は高い。目の前で、姫と僕がキスするのを見たのだから。
しかし口頭でだろ? 信憑性があるのか? いや、なくても陽キャ集団は、面白がってくるに違いない。そうなると学校中に噂は広まり……って感じだな。
「それよりも……。今、キスしたな?」
「あ……」
「いや、もう別にいいんだけどな? どうせ昨日もしてるだろうし。姫ちゃんの次の撮影が終わるまで、エッチはダメだけどな?」
あのー……。目が怖いよ? いいんじゃないの?
「案外、孫の顔が早く見れそうね! 拓也さんもそう思わない?」
「孫、か……。本当に子供をつくる時は私たちに言うんだぞ? いいな?」
「は、はい……」
今、なんの話してんだよ。母さんは嬉しそうにして、父さんは疲れているようで。姫は、ずっと抱きついてきて。なんだこの状況。
「よーし! これで神木さんとかいうギャルっぽい可愛い女の子は、お兄ちゃんから手を引くだろうね」
「どういうことだ?」
「普通に考えてみて? あっちは姫たちに血縁があると思ってるんだよ? そんな兄妹がキスしたら、神木さんはドン引きするでしょ?」
「もしかしてそれ狙ってたのか?」
「うん!」
どうだ! すごいだろ! みたいに誇らしい顔をしている。僕と唯一クラスで話す人が、いなくなるだけなんだが……。
意外にも神木さんは、僕にとって大切なクラスメイトとなっていることに気がついた。なんで今なんだよ、とは思う。
そんな神木さんを追い払うために、というか見せつけるために、姫はキスまでした。それと同時に、噂が広がるリスクも生んだ。
姫……。少しやり過ぎじゃないか? 多分自覚はないだろう。こういうのは分からせないとな。
「さて! 邪魔者はいなくなったことだし! 姫とイチャイチャしようよ、お兄ちゃん! 明日からはここにはいないし! 最後の休みの日なんだからさ!」
「あ、そっか」
「うん! それじゃあ、姫の部屋に来て! いっぱいエッチなことしよう!」
結局エッチなことじゃん。だがチャンスだ。自分のやったことを教えてやらねば。分からせなければ。
僕は姫に連れられて部屋へと向かった。
****
ボフッとベッドにダイブする姫。数秒ごろごろして、僕の方を見てきた。
「ねえ、電マって知ってる?」
「は?」
何を言い出すんだ、この子。びっくりしたわ。
「知ってる、けど……」
「どんなの?」
「えっと……。僕が説明するの?」
「うん」
「恥ずかしいな……。電気で動くものだよ。それでそのブルブル震えるのを……」
「ん? どうしたの?」
途中まで言いそうになる。しかしこの子にはまだ早すぎるんではないか? しかもその電マ……電動マッサージ機のことを知らない状態の子だぞ?
「どうしたの? もしかして説明するの難しい? それとも恥ずかしいの?」
「いや、まあ……姫は知りたいの? こういうことはもうちょっと大人になってからのほうが……」
「姫はもう大人だよ!」
「え、でも……」
「もう赤ちゃん作れる体だよ」
「うぐぅ……」
本当に突然に何を言い出すんだこの子は。予想打にしないことをペラペラと楽しそうに喋りやがって。僕のうぶい反応を見てにんまりとしているのがなんだか気に食わないな……。
「ブルブル震えるところを体に押し当てて、それでマッサージするんだよ。至って普通のものさ」
「でもエッチにも使うんでしょ?」
「場合による……」
「へぇ〜……気持ちいいのかな、それって」
「知らないよ。僕は使ったことがないんだ。それに、そういう用途で使うのは女の子だし」
「実は姫、持ってるんだよねぇ〜」
「持ってるのか!?」
バッグの中をゴソゴソと漁り、意気揚々と品を見せつけてきた。色は白色。一般的なやつ。
「そうだ! これで実演してよ! お兄ちゃんが姫を電マで気持ちよくするの!」
「な、何いってんだ! そんなことできるわけ……!」
「んー? だってこれはマッサージをするためのものだよね? 別に姫、エッチなことに使うとか言ってないんだけどなー。お兄ちゃんのエッチー」
「ッ……」
やられた。自分で言ったことを姫にうまいこと使われた。
だがこの状況。意外にも好都合なのではないか? これで姫が先ほどめちゃくちゃやったことに、僕が怒っていると身を持って伝えればいいんじゃないか? そうだ、この状況、明らかに分からせるシチュエーションに最適だ。
「負けた方は罰ゲームね!」
「勝ち負けとかあんの!?」
「うん! お兄ちゃんが欲情しなかったらお兄ちゃんの勝ち! 欲情したら姫の勝ち!」
「な、なるほど……」
「負けた方は勝った方の言うことをなんでも聞く!」
「わ、分かった」
「やったー! ならお願いねお兄ちゃん!」
「プフッ……」
「ん? 何?」
「いや、何も……」
うまくこと動いていく。少し笑ってしまった。
僕の狙いは、先に姫をダウンさせること。負けを認めさせること。大丈夫。弱いところを重点的に弄ればいい。どこが弱いか分からないけど。
とりあえず胸を触ればいいか。今朝、白乃にやったみたいに。白乃、自分で外せたかな……。
いや、今は集中だ。姫を分からせて、ごめんなさいと言わせる。
僕はスマホでタイマーを十五分にセットした。
「準備はできたし、始めよっか」
「ふふ。さあ、来なさい! 絶対に負けないもん!」
威勢がいいな。だがどうかな。
ベッドで座っている姫の後ろに、包み込むようにして僕も座る。
マッサージ機の電源を入れ、姫の体に触れ始めた。
****
「んっ……。んっ……。ひぅ……」
マッサージ機を胸に押し当てる。吐息や、小さな喘ぎ声から、体が振動のせいで感じているのが分かる。
「ふー……。ふー……。あっ……」
「どうしたの? マッサージしてるだけだよ? もしかして気持ちよくなってる?」
「そ、そんなわけないじゃん! 勘違いも、甚だしいよ、お……兄ちゃん……!」
「息、荒いよ?」
「んぅぅ……」
姫は耳まで赤くなる。感じているのが恥ずかしいのか。見透かされているのが悔しいのか。
マッサージ機の当て方を変えてみた。
「ひぁっ……! んひっ……! はあはあ……」
「ごめん。痛かった? それとも気持ちよかった?」
「は、激しい、よ……。もうちょっと、優しく———あっ……!」
激しい。痛いかを聞いたんだけどな。返答がちょっと予想外だった。でも、痛いなんて言っていないから、これくらいでいいのかな。
僕は強さを変えずに続ける。
「んっ……。んっ……。んんぅ……!」
うーん、どうだろう。いまいちだな。少し焦らしてやろう。
「胸じゃダメなのかな。じゃあここはどうなんだろう。触ってもいい?」
僕は姫の太ももに触れてみる。ピクピクと震えている。でも僕が触ろうとしているのはそこではない。その付け根の真ん中。一番敏感なところだ。
「あっ……」
「なに、どうかした?」
「そこ、だめ……」
「なんで?」
「だ、だめ、だよ……そこは、本当にダメなところだから……」
「なんでダメなのか教えてよ」
「んっ……! んひゃあ……! ダメなのぉ! そこに当てられたら、絶対変なのキちゃうからぁ……!」
姫の忠告も聞かずに僕はマッサージ機を動かした。太ももに当たる。徐々に迫りくる最上級の快感に恐れながらも、姫はそれすらも受け入れ身構えようとしていた。
でもそれはできないのだ。それをすると、本当にエッチなマッサージになってしまうから……。
「ダメダメダメぇっ! お兄ちゃん、ダメだよぉ……! 本当にヤバいってばぁ! すごいのキちゃう! すごいのクるからぁ……!」
「……」
「んっ、んひぃ……くふぅ……。はぁはぁ……らめぇ……!」
「じゃあやめるよ。そんなに言うなら僕もしようとは思わないからさ」
「ふぇ……。で、でも……」
「その代わり――――――」
「えっ、ちょっ……!?」
僕は太ももから機器を離し、次に当てたのは股の真ん中……ではなく、その若干上、へそのした辺りに押し当てた。
「へ、な、なにこ、れぇ……! んっ! あ、あぁ……! んくひぃ……!」
「どう? なかなかでしょ」
「にゃ、にゃにこれぇ……! 姫、知らない……! こんなの、知らないぃ……!」
「赤ちゃん作れる体だよ、って言ってたよね? 赤ちゃんを作るところは実は女の人は気持ちよくなれるところでもあるんだよ」
「そ、そうな、のぉぉぉ……! や、やっば……これやっば……!」
「なんかブルブル震えてて、変な感じだよね」
「お、奥の方が……! んっ、ポカポカしてきて……! へ、変なのキちゃう……!」
僕は姫の体を抱き寄せて、そのままフィニッシュまでもっていく。
「フゥー……フゥー……! うぅ……ま、負けでいいから……。もう姫の負けでいいからぁ……!」
「うん、分かったよ。いっぱい意地悪してごめんね、姫」
「んぅ……! んぐ、ふぅ……!」
「言うこと聞いてよね」
「は、はい……」
「ごめんなさいって言ってくれる?」
「ご、ごめんなひゃいぃ……」
「よく言えたね、よしよし」
『ヴィーーー……』
「ん、くぅ……」
跳ねる体を静止させるように、少女の体を抱きしめた。しばらく痙攣している様子だったが、僕は頭を撫でることでそれすらも和らげようとした。紅潮する頬とあふれる汗、虚空を見つめる瞳はまるで二次元の同人漫画表現そのものだった。
うわぁ、エッロ。ちょっとやり過ぎたかな。まあ、これでおあいこだ。
僕は、口の中が唾液でいっぱいの姫にディープキスをした。理性を未だに保っている僕を褒めて欲しい。
そのあと、姫はダウンして、そのまま寝てしまった。僕はそれを、後悔しながらずっと見守っていたのだった。
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許さんぞ運営。あんたらのせいでオリジナル版を完全に消してしまったぞ。クッ! 権力とはここまで大きなものなのか! 仕方ねぇから修正したぞ! これで満足か!
でも最低限の『健全だけどなんかエチエチだなぁ』を書いてやったぜ! これでどうだ! 直接的でもなければぼかしてもいないだろ!
そして誰もこの作品を通報されないことを祈るばかりだぜ! へへっ! それと作者はまたダラダラと修正していくだけだぜ!
最後に、姫推しの方に。
姫ちゃんをまためちゃくちゃにしてしまいすみませんでしたぁぁぁぁあ!!!
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