第36話
「さてと……」
「や、やめ……。私、もう限界……」
僕がエログッズが大量にしまってある引き出しの、電気マッサージ器を手に持つと同時に、白乃の声が聞こえてきた。
限界ねぇ。
「……って、するわけないじゃん」
「ふぇ……」
「エッチもしないよ。僕はエッチをしにきたわけじゃないんだから」
胸を揉んでおしっこ我慢させてる人間が何言ってんだろう。自分でも分からなかった。僕は白乃を安心させるようにそう言い、次に話題を変える。
「それはそうと……。ねえ、白乃?」
「はあはあ……。な、なに……?」
「どんな気持ち?」
「え……?」
「だから、どんな気持ち? こうやって身動き取れない状態にされて、どんな気持ちなんだって聞いてるんだよ」
「……」
「僕、聞いてるんだけど」
白乃の肩をツーッとなぞってみる。ピクピクと動く体、感じているせいで漏れる吐息、敏感になっているのが分かる。
荒い鼻息をしている白乃を見て、主導権を手にしていることに優越感を感じる。だからといって調子に乗ってはいけない。いついかなる時も警戒しておかないと。
僕は白乃を急かす。
「で、どんな気持ち?」
「うぅ……」
「ほら、言えよ」
顎をクイッと上げた。これでより僕を見上げる状態が完成する。余裕のない表情。とてつもなく赤くなっている。
「い……」
「はい? なんて? 聞こえないよ?」
「い……嫌な気持ち、です……」
やっと言葉にしたか。僕は白乃の顎から手を離した。
「僕と同じだよ」
「う……」
「僕と同じなんだよ。嫌な気持ちになったでしょ? 拘束されて、抵抗できないの嫌でしょ?」
「はい……」
「僕はそれを何度もされたんだよ?」
「はい……」
「いや、何か言うことあるんじゃないの?」
僕がそう言うと、白乃は俯いて、
「ごめんなさい……」
と言った。
それでも不満だった。目を見て言っていなかったからだ。
「おい。目を見ろ」
「ご、ごめんなさい……」
涙を含んだ目は、真っ直ぐ僕の目を見つめている。
「はあ……」
ため息を吐いて、一旦リセットしようとする。白乃の胸をいじった時の高揚感が僕の中でまだ居座っているからな。しかもそれは僕の下半身に全て集中しちゃっていて、かなりの力が入っている。
これでは、これからの僕たちの関係についての話ができない。
落ち着かせて、深く深呼吸をして、鼓動を遅くさせる。そして重要な話を始めた。
「問題。僕は今日、何をしにここに来たでしょう?」
「こんなことをするために……?」
「ブッブー。それもあるけど正解は白乃と話をするためでした」
「それは、どんな話なの……?」
「とっても重要な話さ。今後の話」
「こ、んご……?」
困惑している白乃。何かを察したようだった。
「そう。正直言って、僕もう白乃と付き合うのをやめようと思うんだ」
「え……な、んで……?」
「いや、分かるでしょ。自分のしてきたことくらい。自分に非があることくらい」
「うぅ……」
「他の女の子と話すな、とかさ。友達もいないし大丈夫だろうと思ったよ。でも意外にキツいよ? それで、話したら手錠つけられるしさ。もうわけ分からないよ」
「ご、ごめん……」
「白乃はどうなの? 僕と別れたい?」
「絶対に、嫌です……」
途切れ途切れに言っているものの、しっかりと自分の意見を出した。
白乃は嫌でも、僕は別れたいんだけどね。どうやって理由をつけようかな。
「そうだ。一旦僕たちは別れて、これまでのことを全部白紙に戻して、普通の関係に戻ればいいんだ。全て無かったことにしようよ。それが一番いいよ」
「一緒にいられるの……?」
「ずっとというわけではないよ。普通の幼なじみっていう関係になるわけだからね。それでも、また付き合う可能性もあるんだよ?」
「どういう……」
「だから、白乃が改心してくれて、僕に対する態度が良くなれば、また付き合うかもしれないってこと。それまで白乃をテストするのさ。変わっているのか変わっていないのかを」
ポカーンとして、理解していないようだ。僕の説明が足りなかったのかな。うーん、やっぱり分かってなさそう。絶頂した直後だから頭がうまく回らないのかもしれない。ふむ、そこは少し失敗だったな。
ま、いっか。これ以上何度もするのめんどくさいし。
すると白乃は拒否をする。
「やだ……」
「白乃に拒否権あると思う?」
「う……」
「はあ……。白乃、僕は君にチャンスを与えてあげてるんだよ。態度を変えれば、また付き合うかもしれないって言ってるだろ?」
「ん、じゃあ、分かった……。明日から本気でオトしにいくから……」
「じゃあ、明日はまた、普通の誰とも付き合っていない女子高生として。僕は隠キャのぼっちとして。付き合っていないなら、もう女の子と話すの解禁するからね」
これで白乃の目を気にしなくて済む。僕は悩みから解放されて、今すごくスッキリしてる。卑猥な意味は一切ない。
「あ、手錠の鍵。ここに置いとくからね。なんとかして取って、自分で外してね」
去り際。僕はその鍵を、白乃の足に届くくらいの距離に置いてあげた。多分、自力で取れるだろう。
白乃とは話がついて、明日からは僕は何にも縛られないぼっちの学校生活が始まるのだ。
その前に、僕の妹が家に滞在する最終日である今日。姫とどう過ごそうかな。どうせ今夜は、全員仕事で戻るからと外食をするのだから、それまで何をしようか。
こういうことはもうしたくないな。
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姉線香です。
今回はエロ無し。
クソッ! おのれ運営め! 自由に書かせてくれよ! 腹いせに次は『姫ちゃんとのイチャイチャ回』書いてやる!
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