第7話 図書室の隠し部屋
久しぶり?に図書室に入ると、
私を見て司書さんが少し怒った表情でこちらを見ていた。
一昨日、本を図書室の外へ持ち出してしまったことから司書さんに注意を受けた。
カバーは光に包まれたような……
または注意喚起の黄色のカバーの色になっていた。私はあることを試してみることにした。光に照らすとカバーの色は変わるのか。
陽が珍しく差し込んでいる窓の近くに行き、光に照らすと、カバーは最初の赤黒の色に戻った。そして、数字は1……
絶対今日なにかあるな。と警戒しながら私は結末が気になって、命より欲望に天秤をかけたのだ。そして私はページをめくって本の世界へ入り込もうとする。
しかし、タイミングが悪く、司書さんは「職員会議に行ってくるね」と私に一言をかけてから席を外した。
私はページをめくった。
『図書室の少女』
日のあまり当たらない、薄暗くあまり人の来ない4階の端にある図書室では2年前。
女子生徒が自殺をしたらしい。
原因はいじめだと、新聞に書いてあったが、そうは私は思わない。
なぜなら、七不思議のひとつ、図書室の時計と繋がっていると私は思うからだ。
図書室の時計とは、ある条件を踏まえると、
時計が回転し、隠し部屋が出てくる。
という桜宮中学校の七不思議のひとつだ。
そしてその日私は、いつもと様子がおかしいと思い、先のあまり見えない廊下を歩いて☆☆を追いかけた。
最初は音楽室で知らない男の子のピアノの音を聞き、その後、いつもどおりに図書室へ行ったが、図書室に入ったはずの☆☆の姿は見えなかった。私は何も無かったと思って、部活に戻ろうとしたが、もう1人制服が乱れていない生徒が図書室に入った。
その後少したったあと、☆☆は飛び降りてしまったのだ。
私はページを全て開いたが、まだ白紙が残っている。物語は続いている?と私はひとつの仮説を立てた。今までの事例を見る限り、まじでこの学校に飛び降りの女の子が居て、新聞も残されていて、図書館の隠し部屋もある。ということかな?けど、まだ白いページはあと30ページはある。なにに使うんだ?このままで行くと図書室の部屋は本当にあるということになる。
けど、条件は分からない。
パソコンで調べてみたところ、当時の新聞が出てきた。
『2016年7月17日4時30分
××県〇市の桜宮中学校の校庭で同校に通う
中学三年生の
図書室の少女は水雫と言うんだ……
なんか聞き覚えのある名前だ。
そしてこの記事によると警察は自殺として事件を終わらせたらしい。そんな訳はないと私は思った。
昔の私ならそうなんだ。で終わってたかもしれない。この本で変わってしまった。
私の日常は。
この女の子も本が好きだったらしい。
現場にはミステリー小説が窓の縁に。
今の時刻は4時10分。時間と、本が関わってるのかもしれない。
今日しかチャンスはないかもしれない。
私は覚悟を決めてその生徒が好きだった本を必死に探した。
古い時計の下には無駄に空いている本棚がある。そこに彼女が読んでいたミステリー小説のシリーズを置いて。
今までの本の内容に沿った本を綺麗に入れた。全部で17冊。
現在の時刻は4時27分。もうすぐだ。
これで準備は整った。
残り3分。そういえば茉莉ちゃんが言っていた少女の幽霊とはなんだろう……
朝翔のピアノの音がこの図書室まで鳴り響いてくる。弾いている曲は私が知っている曲だった。
この曲は美しさ、愛おしさが表されている。
そして私はこの曲が好きな理由がもうひとつある。それは歌詞が綺麗で私に似てる気がするからだ。
30分になって、本棚に触ってみると、
ひとつの隠し扉が現れた。
本棚に囲まれていて、部屋の奥を見ると1つのある本がハマりそうなところがある。
私はそこに今までの私の日常を変えたあの本をはめた。そこにはスケッチブックを持った少女?が現れた。
スケッチブックには赤いペン?で
「夜の星に向かってを探して」
と書かれていた。そして彼女は次をめくって文章を見せる。
「あなたは本が好き?」と……
「私は本が好きだ!!絶対に見つけてみせる!!」と私は久しぶりに大きな声を出して彼女に向かって言った。
私は隠し部屋から飛び出し、
まず図書室に置いてあるパソコンで夜の星に向かってを探した。しかし、その本はここの図書室にはなかった。
まさか本が関連してるのでは?と思って今までに出てきた場所を回ろうとした。
しかし、本の世界とリンクしたせいか、
別の鏡の少女に会ったり、白い影に私だけ連れ去られそうになったり、色々と散々な目にあった。
その前に茉莉と朝翔を呼んでいて本当に良かったと思った。茉莉が霊について教えてくれ、朝翔が助けてくれたので、あとで2人にはお礼をしなくては。
結局全て回ったのだが、本は見つからなかった。
茉莉、朝翔と音楽室で別れ、
図書室に戻ってきた。
まさか……私は1つの最初の会話を思い出した。私は司書さんに怒られるなど考えずに廃棄済みの本が入ったダンボール箱を漁った。
あったのだ。夜の星に向かって。
早速本を隠し部屋の本を入れるところに入れた。また彼女は現れ、今でも大切だと思う言葉を残してくれた。
「ありがとう。本当に君は本が好きなんだね。私は本を取るために無理をして死んでしまったせいで、今まで本しか大切なものがなかったと思っていた自分を責めた。
私のたった1人の親友を残して死んでしまったことを後悔している。
そして、もう1回言うよ。ありがとう。
この本はあの時取り損ねた本なんだ。
君と私が似ている感じがしてあのひとつの本を君の前へ置いたんだ。
君も気づいてくれた。本だけではなく、
友達も大切だってことを。
けど、これからも本を好きでいてください。
私はここであなたを見守ってるから。」
と言ってくれた。
私は今までの寂しさの涙と、本への愛おしさ、美しさを感じて一つ一つ丁寧に涙をこぼすように泣いてしまった。
曲を耳に通しながら。
心に通じながら……
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