第4話 夜の校舎

 春香は今日も光があまり差さない、校舎の端の図書室に来ていた。

 司書さんに、やっと半分以上読み終わった赤黒いカバーの本をカウンターから取ってもらう。

 司書さんは言った。

「あれ?赤黒いカバーの本本棚にないんだけど、知らない?」

「え?」と私は思ったが、いつも司書さんは同じ場所に入れているので、

「これじゃないですか?」と言葉を返した。

 しかし、本のタイトルは同じだが、

 カバーの色は青に変わっていた。

 とりあえず、私は司書さんから本を受け取り、いつもの席に座った。

 私はまず、本の中身を確認した。

 なぜなら2巻の可能性があると思ったからだ。しかし、本の中身は一緒だった。

 そして、今日は委員会だったため、いつもより時間もないので、カバーのことはあとに考えるとして、本の続きを読むことにした。

『4話 夜の校舎』

 ふーん夜の校舎か……

 と思いながら私はページをめくった。


 あなたは夜の校舎で肝試しをしたいですか?

 今回はその話……


 僕達、零斗れいと陽向ひなた千春ちはるは学校へ肝試しをすることにした。俺は反対したのだが、千春が脅してくるので、むりやり行くことになった。

 ここの学校、桜宮中学校には七不思議の1つに理科室の骸骨という七不思議がある。

 その内容は、夜の理科室は骸骨が動いて手を振ってくるらしい。そして、理科室に行くと、誰もいない。と思うが、下から手を振ってくる。という怪談だ。



 夜7じ。3人で学校に集まったが、

 10分経っても言い出しっぺの千春が来ない。

 陽向は「あいつ俺らを驚かすために先に行ってんじゃないか?」と言った。

 確かにそうだと思った。千春の性格ならありえるかも。俺らは千春の期待に答えてやろうと思って、校舎へ向かった。

 校舎を見るとやっぱり、千春が理科室の骸骨の腕を取って手をふっている。

 期待には答えてやるが、逆に驚かしてもいいだろう。と俺らは思った。


 1階の理科室へ向かうと、肝心の千春がいない。すぐ周りを見渡していたら「助けて〜!!」という声が聞こえた。あ〜千春が驚かそうとしてんな?と最初は思ったが、本当だった。

 下から物音が聞こえた。ここは1階だ。

 普通なら下からは聞こえないはずだ。

 陽向がすぐ地下室の隠し扉を見つけた。

 よく見ると暗いところに泣いている千春が居た。俺が警備員さんを呼び、ハシゴを持ってきて千春を助けた。


 警備員さんが千春から話を聞こうとすると、すぐ千春は震えながら口を開いた。

「あの地下室に死体が……」

 それを聞いた警備員さんと俺たちはすぐ地下室にライトを照らした。

 すると、本当に骸骨と死体があるではないか……そんなことをしてる間に陽向が兄の担任を呼びに言ってくれた。

 先生に全てを話すとすぐにこう言った。

「零斗、その友達。

 このことは絶対に口外しないこと。そしてこのことは先生達に全て任して。解決するから。あと、すぐ帰りなさい。こんな時間だし親御さんも心配しているでしょう。先生が送ってあげます。」

 と言ってくれた。


 俺たちはすぐ先生の言う通り、家まで送ってもらい帰った。

 そして次の日、兄が言うには警察が学校に来て理科室を調べていたらしい。

 俺たちは事情聴取をされたがあまり詳しいことは聞かれなかった。

 そのあと分かったことらしいのだが、

 あの骸骨は戦争時、学校の位置にあった防空壕の骸骨と俺のクラスメイトの南乃晴なのはの死体だったそうだ。

 千春は南乃晴も呼んで居て、俺たちと一緒で白い手を見たみたいだ。そしてほとんど同じことが起きて、急に床が抜けて、南乃晴は落ちたらしい。千春は南乃晴を助けようとしたが、白い手に南乃晴が見えないように引きづりこまれたらしい。

 あの白い手はなんだったのだろうか。

 俺たち2人が声が本当だと気づかなかったら南乃晴みたいになっていたのだろうか。

 俺たちはもう絶対に夜の学校には行かない。


 ちょうど1話読み終わったところで時計は7時を指していた。

 司書さんに本を返し、家へ帰った。

 しかし、家に帰っても私はあの本が頭から離れない。なんでカバーは変わっていたのか、

 やっぱり☆☆が多分関わっているのか。

 あの本は一体なにものなのか。

 本を読み終わったら本について調べてみようと思っていたが、寝てしまいそんなこと忘れてしまったのであった。

 その日は月は星空とマッチして月光が刺して綺麗だった気がする。まるで本の世界のように。そう思いながら私は目を閉じて一日を終えた。




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