第3話 写真の怖さ

 朝、音香はテレビのニュースを見ながらのんびりと、トースト、ソーセージにレタス、コーンスープ、牛乳とバランスの良い朝ごはんを食べていた。

『次のニュースです。○○中学校の体育祭は生徒達だけで実行し、運営するという独自の方法で成し遂げました。どういうふうに成し遂げたかというと…』テレビからニュースの内容が耳に入ってくる。

「へぇ〜体育祭そういうのも楽しそうだなぁ〜」「音香〜準備は大丈夫なの!?」

 母親にそう言われ、音香はいそいで準備をし始めた。


 放課後。音香は司書さんに声をかけ、カウンターの後ろにある本を取ってもらう。

 9つ席があるうちのカウンター側の前から2番目、本棚に1番近い席にいつもどうりに座る。そして昨日の続きから、ページをめくるのであった。

「へぇ〜今回の話は体育祭なんだね!!

 ニュースもやってたし、楽しみだな。」


『写真の怖さ』


 青春の2大イベントは修学旅行と体育祭ですよね。イベントの時写真は目立つところに番号をふってあって、展示していますよね。

 みなさん好きな子の写真を見つけようとすると思います。その時のお話。

 朝。昇降口の前に写真が貼られる。

 みんな写真の前へ集まった。

「俺のやつあった?」「○○ちゃん写ってたよ〜」などなど声がいろいろな所から聞こえてくる。ここの学校は今回、独自に計画から実行まで全て生徒だけで体育祭を実行した。当日はみんな輝いていて、これが本当の団結力。という感じの体育祭だった。



 広報委員は張り切って写真を撮ったが、ミスがあるかもしれないので、放課後、会議室で、広報委員のみんなで写真の確認と、みんなが申し込んだ写真の番号が書いてある封筒を回収し、写真の申し込みの確認をすることになった。

 みんなが集まると、委員長の一言で

 写真の確認と封筒の確認を同時進行で作業は進んで行った。

 しかしそのうちに、僕達部員は飽きてきて、雑談を初めてしまった。

「ねぇねぇAさんは好きな人居るの?Aさんの頼んだ写真、自分が写ってる写真じゃない写真頼んでるじゃんwwDさん好きなの?」とCさんがいじってくる。

 俺はすぐ「いる訳ないじゃないですか〜」と返していた。そういう雑談をしているうちにほとんどの写真を確認し終えたのだが、委員長と副委員長があることに気づいた。



「なんかこの622番俺たち撮ってないですよね?」と委員長がある1枚の写真を指している。その写真は普通の綱引きの写真だ。

 しかしカラー印刷が雑で、違和感がある写真だった。

 副委員長が「そうですね。撮ってないです…なんか白い影見えてません?」と想定外の会話が始まる。みんなその一言から写真を見る。最初は俺も冗談かと思ったが、

 本当に撮っていないし、白い影が写っている。みんながザワついていると、


 同級生のB君が「すみません!!その写真、理科室にあって、けど、体育祭の写真だから誰かが撮ったと思って入れちゃいました……」と話す。

 それだと、理科室になぜその写真があったんだ?他の写真も一応白い影がないか探すことになった。探すと、他に3枚の写真が見つかった。この写真はみんなが撮ったものだ。

 奇妙で嫌だとみんなの考えが一致したので、

 パソコンで調べた除霊方法を試すことになった。



 塩で除霊するというのが1番最適。

 ということなので、理科室から食塩を理科の先生からもらった。

 塩を写真にふりかけると、白い影は消えた。しかし、最初に見つかった写真は消えなかったのだった。

 委員長が塩の量が足りないのでは?と言ったので、量を増やしてふりかけたのだが、写真に白い影は消えなかった。

 その日に解決しなかったので、俺たち委員会は先生に報告した。

 結果、除霊専門のお坊さんを次の日に呼ぶことになったそうだ。


 次の日、お坊さんが来て、写真を除霊しようとした。しかし、白い影は消えなかった。

 そこで、お坊さんは写真をある封筒に、

 発見した理科室で封印することになった。

 封印は成功した。

 お坊さんは「絶対に封筒は開けないようにしてください。そして白い影の出た写真はデータも消してください。」と言った。

 お坊さんが帰ったあと、先生はこのことを騒ぎにしたくないそうで、絶対に口外しないでということだ。

 俺たち広報委員はなにもなかったかのように写真を撮っていくのであった


 ある学校の30年後、

 30年前のように生徒が独自で運営する体育祭が記念で行われた。

「あれ?この封筒なんだろう……」

 と一条いちじょう 零斗れいとは封筒を見つけた。

 開けてみると、5枚の写真があった。


 ひとつの話が終わり時計を見てみると、

 6に針が指していた。

 帰らなくてはと本を閉じ、司書さんに声をかけて、カウンターへ本を戻し音香は図書室から出るのであった。

 ひとつの本は次の日カバーの色が変わっていた。

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