9 スペシャリスト
1
ルナローブは嗚咽のような叫び声をあげながら、小さな何かをそこかしこに乱れ撃っている。その挙動は全身を何かに蝕まれているかのように苦しげで、攻撃も不規則だ。
「高槻さん、どうですか」
《……羽の形をしてるけど、恐らく爆弾。気をつけて》
機動室の高槻によって、ジェイドのモニター越しにその射出物の正体が解析される。羽の形、そしてあの黒いボディ……カラスでも模したつもりだろう。ならばさしずめ、スーツにはレイブンローブとでも命名されているはずだ。
これまでのルナローブと明らかに異なるのは、明確な悪意を感じないことだ。今まで鎮圧した数体のローブはいずれも暴走状態とはいえ、その土台には何かしらの欲求や目的があって、あくまでもそれを叶えたがっていた。彼は、ただ苦しんでいるだけ。まるで現在のこの状況すら望んでいなかったかのようだ。
「本当に望んでなかったんです……こんなこと……でもお! 急にい!」
「わかった、わかったからお前ちょっと落ち着けって、うわ汚っ」
おろしたてのスーツに、泣きじゃくる若者の鼻水が垂れ落ちる。セルリアンはローブと一緒に飛来した青年に話を聞いていたが、彼自身動揺しているらしく、まともに話を聞ける状態ではない。
曰く、ただ遊ぶため、ちょうどスケボーでも手に入れるような感覚でローブを購入したが、飛行途中その装着者が不調を訴えたかと思うと、まもなく人格が豹変。突如舵を切り、ここへ落ちてきたのだという。
「……ですってよ、みなさん」
「やっぱりか」
滝沢の聞き取りは、機動室、そして南城に共有された。だから苦しんでいるんだ。精神干渉作用によって元々あった欲望をブーストされていた今までの装着者と違って、彼は訳もわからないまま精神だけを蝕まれ、空っぽのまま暴走してしまっている。
「とりあえず、一旦落ち着け!」
ジェイドはレイブンローブに接近を試みながら、ある確信を脳裏に浮かべていた。
はっきりしたことがもう一つある。ヴォーグ社が曲がりなりにも人類の何らかの利欲のためにルナローブを開発していたとしたら、人々の情熱や意思力を揺さぶるために精神干渉機能を開発したという筋書きも、屈折こそしているが通らなくはない。しかし彼の姿を見るに、ルナローブはそんな目的意識のあるものではなく、ただただ人を狂わせ、破壊活動に仕向ける、ドラッグ同然の代物だと言わざるを得ない。
「……っ! こいつ……!」
ジェイドは掴みかかってレイブンローブを押さえつけようとするが、なかなかいうことを聞かない。それなりに力も強く、あえなく振り解かれてしまう。
《ジェイドはそのままローブを対処、セルリアンはその若者と市民の安全確保を優先し、完了次第ジェイドを援護》
「了解!」
杏樹の指示と滝沢の応答が耳を通り過ぎる。そうと決まれば、セルリアンが合流するまでにこのローブをどうにかしなければ。依然羽型爆弾を乱射し続けるローブの様子をじりじりと伺うジェイドだが、着実に建物や周囲の車は破壊されていっている。悠長にはしていられない。
ただひとつ、ジェイドの脳裏にはヒントが浮かんでいた。暴走と乱射、馬力のために詰められない距離と止められない勢い——。このシチュエーションはワスプローブ、桜庭悟志の事件に似ている。
「だったら…こうだ!」
ジェイドの両腕に備わるSSジェイドグリップが発光する。顔の前で突き合わせるように構えたSSジェイドグリップは壁となり、流れ弾からその身を守る。壁の向こうの様子を間々伺いながら、少しずつ着実に距離を詰めていく。何度となく爆弾はSSジェイドグリップに直撃し、その衝撃が身体にびりびりと伝わってくるが、本体を叩いてしまえればこちらのもの。それまでの少しの辛抱だ。
そうだ。所詮は同じ組織が組み上げたシステム。事ほど左様に、一定の実戦経験が積み上がれば、あとはパターンで対処していけるのではないか。幸か不幸か、敵にも策略を組み立てるほどの理性はない。これなら——
「今だ!」
ワスプローブとの実戦時と同様、一定の距離まで接近できたところでSSジェイドグリップの守りを解き、開いた両腕の奥に隠れた両肩の小型マグナムで発砲する。
——しかし、発砲と爆煙の中に立ち現れたのは、銃撃に跪くレイブンローブではなく、目にも止まらぬ速度で襲いかかってきた黒く鋭い切っ先だった。
「⁉︎」
ジェイドが気づいた頃には、もうすでにその身はアスファルトに倒れ、ステラの装甲からは火花が散っていた。
「……ああああっ…⁉︎」
痛みや衝撃は遅れてやってきて、ジェイドに混乱と激痛を与えた。どうにかして自分自身の現状を視認しようと片腕をついて身を起こすも、痛みですぐ姿勢は崩れてしまう。どうやら肩口から腹部にかけて深く一閃を浴びせられてしまったらしく、視覚モニター上にも警告メッセージが複数立ち上がる。
《損傷率36%! 右腕と胸部ダウンしました!》
《ダウンした箇所は、パワーアシストもダメージ処理も行われませんよ》
普段の人柄が人柄な分、やや緊迫した葛飾の声はあまり耳馴染みのないもので、その分ストレートに南城の耳に届く。
《セルリアンの合流まで、自分の命を最優先で守りなさい!》
「了解…!」
ようやっと立ち上がりローブに目をやると、その背中には真っ黒の鋭い翼が広がっていた。なるほど、散々羽を乱れ撃っていたんだし、カラスならば翼があって当然ではあるのだが、今まで翼の本体そのものが現れなかったことを何ら不思議には思っていなかった。不意を突かれるには格好が悪すぎた。
「この野郎……やってくれたな…!」
ジェイドはすでに肩で息をしており、重心もふらついている。対するレイブンローブはあれだけ暴れ回っておきながらまだ衰えを見せない。——いや逆だ。あくまで彼は無理矢理ローブに暴れさせられているだけ。だとしたら、彼自身の消耗がヤバい——!
「くそ……‼︎」
《南城くん⁉︎》
ふらついたままアスファルトを蹴り上げるジェイド。一心不乱にレイブンローブのもとへと飛び込み、タックルでローブを足止めする。吹っ飛び転げ回ったローブは一瞬動転したが、まもなくその挙動はジェイドへの報復へとシフトする。
《いのちだいじにって言ったのに…! 南城くん! 離れて!》
「時間がないんです…! 俺にも、彼にも!」
咄嗟に声をあげた高槻。もちろん、彼女ら機動室の面々にも、それは承知であった。装着者の身の安全を一切担保しない設計のルナローブ。ステラ完成前に起こった数件のローブ事件のうちのひとつはエネルギー切れによって幕を切っており、装着者の身体には後遺症が今も残っていると聞いている。
そんな犠牲はもう一切出したくないという南城の意思とは裏腹に、力なく構えたSSジェイドグリップはあえなくローブの左腕に掴み上げられ、みしみしと軋む。腕は入れ替わり、今度は右腕でジェイドを首からゆっくりと持ち上げた。ジェイドは呻きながら、着かなくなった脚をばたつかせる。
「うっ……くっ……」
《サプライエラー、装着者危険です!》
《バッテリー消耗かなり進んでます、残量23%!》
《……っ!》
朦朧とする南城の意識の中にオペレーター二人の声がこだまする。杏樹が声なき声で葛藤しているのも伝わる。なんとか応答したい、反撃したい——が頭は徐々にぼうっとし、少しずつ力が抜けていく。視界いっぱいに捉えているのは、泣いているようにも見えるレイブンローブのマスク。俺はこのまま、彼に一生癒えることのない傷を負わせてしまうのか。彼が本来償うべき以上の罪を負わせ、その人生を奪うのか——
「……っ、ごめ……」
言いかけた言葉はまもなく、視界を覆っていた黒い仮面もろとも向こうへ吹っ飛ばされた。
がしゃがしゃと痛々しい音を立てながら、レイブンローブは勢いよく転げ回り、落ち着いたその場所で痛みにうずくまる。
「ケホッケホッ……、滝沢さん……!」
ローブと反対側に立っていたのはステラセルリアンだった。市民の安全確保が完了し、そこから真っ直ぐ飛んできて、その勢いのまま蹴りを見舞ったらしい。
「悪ぃ。遅くなったな。よく耐えた」
かと思うとセルリアンはそのままジェイドを抱きかかえ、地上から屋上駐車場へと飛び移った。着地とともにジェイドを放り投げると、セルリアンは翻り、屋上から眼下のローブを見据える。
うずくまっていたローブも体勢を立て直し、飛んでいったステラ二体を視認したらしく、再び羽型爆弾の乱射を始めた。しかし今度は無秩序な流れ弾ではなく、明確にステラを狙った集中砲火だ。
「南城、よーく見とけ。これが本場仕込みの、人生の先輩の戦い方だ」
「あんた……最初は俺に、教えてくれって………」
「おお、突っ込み入れる元気が残ってんなら、もう介抱もいらねえな」
セルリアンが全身に纏った装甲の一部をパージすると、それらは4枚のシールドとして再構成された。
「そんじゃ、よろしく!」
セルリアンの一声で4枚のシールド・RPセルリアンウォールズは自律駆動、迫りくる羽型爆弾の束を4枚寄り集まって受け止めた。シールド表面で絶え間なく羽たちが爆ぜる。それが収まった頃には、呆気にとられたレイブンローブの姿が煙の向こうに露見した。
「どうよ」
「自分で動き回る…盾…?」
明かされるセルリアンの戦闘スタイルにジェイドも呆然とする。そのままRPセルリアンウォールズはレイブンローブのもとへ飛来、密集して圧迫したり、襲いかかるローブを翻弄したりして破壊行為を妨害する。
「よし、そのまま遊んでろよ」
ジェイドがふとセルリアンの方へ目を戻すと、その手には狙撃ユニット・RPセルリアンマグナムが抱えられていた。初期状態は”アクションモード”と呼ばれるコンパクトなマシンガンスタイルだったが、展開することで猟銃のような長い砲身を持つ”タクティクスモード”に変わった。射程距離によって形態が変えられる仕組みだ。
セルリアンの視覚モニターはマグナムのスコープと連動し、標的を見据える。
「そこだ!」
10発近くの射撃が一気にレイブンローブに命中する。痙攣を起こしたかのごとく着弾の衝撃に怯むローブ。しかしその銃撃の全ては装甲部分に着弾しており、当たれば貫通の危険もあるアンダースーツ部分には一切当たっていなかった。強烈に圧倒されたローブはついにその場に倒れ込んでしまった。
「すごい……」
「よせよ。お前が俺より先に、一人でやり続けてきたことだろ」
南城を慰めるつもりで発せられたその一言は、決して滝沢の思惑通りには機能しなかった。むしろ鋭く尖り、南城の胸を突き刺す。
「これで終わりだ、動くなよ……」
セルリアンはスコープと連動した視覚モニターに意識を集中する。そこに映ったレイブンローブは、うつ伏せの状態ながらどうにか立ち上がろうと震える腕を僅かずつ動かしていた。
「……動くと痛いぞ!」
そこで放たれた弾丸は、一発。
発砲と同時に、RPセルリアンウォールズがローブの周囲に配置を組む。
弾丸はレイブンローブのセントラルユニット接合部のうちの一箇所に命中した後、一直線に跳ねる。それをウォールズのうちの一枚が受け止め、また別の接合部に命中。そこからさらに跳ね返っては命中を繰り返し、的確にセントラルユニットを剥離していった。
アスファルトの上に放り出され、まもなく爆ぜたセントラルユニット。最後にRPセルリアンウォールズはユニットの四方を取り囲むことで、装着者を爆発から保護した。
「…以上。終わったぞ、南城」
RPセルリアンマグナムをしまい、すっくと立ち上がったセルリアン。見届けたジェイドだったが、その足はすぐにはその場を離れなかった。
「…南城?」
「……あっ、はい」
ジェイドを我に帰したセルリアン。差し出したその腕には、予備のバッテリーパックが握られていた。
沈黙した装着者のもとへ涙ながらに駆け寄る友人、そしてスタッフの誘導で少しずつ動き始めた客の様子を見届けながら、二人はイベント会場の復旧・撤収作業に向かった。
2
「すいませんでした」
「だから謝る意味がわかんねえって言ってんだろ」
イベントスペースに持ち込まれていた看板やボード、資料や椅子などは全て撤収完了し、瓦礫などで散乱した建物もひとまず危険なく通り抜けられる状態には戻った。”STERA System”の”RA”は”Rescue Activity”の略。関連災害の救助や復旧もれっきとしたTWISTの仕事のひとつだ。
「俺、滝沢さんのこと、緊張感のないただのおっさんだと思ってて」
「一応まだ20代なんだけど」
「全然馬が合わなそうだし、お構いなしに茶化してくるのも正直鬱陶しかったし」
「それは、ごめん」
「……でも、イベントの締めの言葉を聞いたときから、滝沢さんがそういう馬鹿ばっかの人じゃないって気づいて……戦いでも、ああして命を救ってもらって」
滝沢は納得した。締めの挨拶の直後のあの謝罪は、そういう意味だったのだ。そして自分自身も確かに自由が過ぎていたかもしれないと省みた。
管轄署や消防の到着を見届け、二人は空の帰路につく。
「それに俺……滝沢さんのことどうこう言えないくらい、最低でした。もう、ステラを着る資格なんかないくらい」
「あ?」
「あのローブ、俺が前に戦った奴とやり方が似てて。だから戦いはパターンなんだ、同じ手で楽に倒せるって、まるで子供騙しのゲームみたいに」
その時の南城には、万が一を想定する危機管理能力も確かに欠けていたが、何より同時に装着者を慮る気持ちも失われていた。そのことが、自覚すればするほど情けなく、自分の行為ながら屈辱的で、南城に深い深い反省を強いていた。
「滝沢さんに打ち明けて許されることじゃないですけど、せめて——」
「ブレードだったな」
「え?」
「ああいうふうに向こうが自分の手の内をまだ全部明かしてないうちは、距離を詰めても意表を突かれるだけなんだよ。だったらむしろ、もうその隙を与えないくらいリードするしかない。お前の場合なら、ブレードで、羽爆弾もぶった斬りながら押せ押せで」
自身の任務の最中に横目でなのか、あるいは使命を終えて駆けつけるまでのごく限られた間でなのか、滝沢は南城の戦いにしっかり目を配っていた。さすがは元自衛隊員。剣術まで心得ているものなのかはよくわからないが、防衛と応戦のプロなだけある。
「…あとさ、ステラの資格がどうのっていうのは、ちょっと違うんじゃねえの?」
滝沢は真っ直ぐ進行方向を向いたまま、通信回線越しに”声”で南城を見据えた。
「やられ際、お前謝ってたじゃん、ローブに」
それはローブに首を捕らえられ、朦朧とした意識の中でどうにか絞り出した一言だった。聞こえていたのか。
「……あのさ。昔の俺の仲間でも、しくじったり、ピンチんなったりしたときに、その原因になったものにはムカついたり、敵意を向けたりすることって全然あったのよ。でもお前は違った。ローブの装着者が、自分を殺した罪を背負うことになるんじゃないかって、心から謝ってた。……違った?」
南城はいいえと呟いたが、滝沢が声小せえよと煽るので、南城は少し声を張って答え直した。
「そんな奴って、そうそういない。力って、そういう奴が使うべきだと思うよ」
「滝沢さん……」
「だから次から気をつければいいだろ。犠牲も出なかったんだし、お前、いろんな意味で命拾ったな」
南城はその目を潤ませながら、しかし嬉しさに顔を綻ばせた。
「滝沢さんのおかげじゃないですか」
「分かってんなら態度で示せよ。焼肉とか、寿司とか、あんだろ?」
バッテリーパックで応急的に動いているジェイドの駆動時間は限られている。話題は徐々にくだらない方くだらない方へとズレていきながら、しかし二体のステラは寄り道をせずまっすぐに機動室を目指した。
3
南城の察していたことに相違なく、自分の意思に反してルナローブの力を振るってしまった事件はこれが初めてとなった。これまでのローブ事件の犯人たちと同様——そして連れ添いの友人も一緒に——逮捕されることとはなるが、購入当初から最後まで人命を脅かす意思がなかったことを考えれば、罪は罪だが寛大な判決も見込まれるだろう。
「ただまあ、まずは心身の回復から……ということでいつも通り、まずは病院へ送られたわ」
「命に別状がなくて安心しました」
「あ、な、た、も、ね」
他人事のようなトーンで杏樹の報告を聞いていた南城。その額に、杏樹のタブレット端末の角が落ちる。反射的にぎゅっと瞑ったまぶたをゆっくり開けると、飛び込んできたのは杏樹の怪訝な表情だった。ガチギレではないが……4割か5割くらいは、怒っている。
「……すいません」
「あなたを失うわけにはいかないの。それはジェイドっていうマシンとか、装着員のポジションだけじゃない。南城李人という仲間を惜しんでいるの。わかるでしょ」
南城がコクリと頷くのを見ると、装着者を助けたくて仕方ないのは私たちも同じだけど、と続け、彼の前から下がった。続けざまに口を開いたのは葛飾。
「ジェイドの状態ですが、もう少し間合いが違っていたらアンダースーツも、いや、その下まで引き裂かれていたかもしれません。幸い深刻な損傷ではなかったので、修復はまもなく完了しますが」
「すいません……」
「自分はステラしか治療できないですからね」
もう機動室のどのメンバーとも合わせる顔がない。穴があったら入りたい。現場ではただただ必死でしかなかったが、そういう情熱ばかりではどうやらいけないようだ。後先のことも最低限考えながらやっていかなければ。
「お前らしくもない、そろそろこの仕事にも慣れてきた頃じゃないのか?」
「そう…なんですけど…」
それはこの男、対馬に対してもそうだ。信頼を寄せる先輩ながら、この手のことはいつもニヤニヤしながら言ってくるので、心配に対して素直に感謝できない。いい加減なんとかしてもらいたい悪癖だ。
「ま、こいつにも色々あるってことっすね。な、南城」
「ええ、まあ」
渋い顔をしていた南城の肩を叩いたのは滝沢だった。赴任当初とは少し雰囲気の違う二人の並びに、対馬も指を差しながら言及する。
「お! 何だあ? なんやかんやで結局仲良くなってんじゃないの、ステラ同士!」
「あ、さては羨ましいんですか? アーキさん」
「誰がアキさんだ馬鹿野郎」
「アキさんはアキさんじゃないすか」
「滝沢にその呼び方は許可してねえの!」
気がつけば、南城は滝沢と顔を見合わせて笑っていた。もちろん最初の時と同様、その楽観的で飄々とした振る舞いにはこれからも困らされることはあるだろうが、彼がどんな戦士か今の南城にはよく分かっている。それだけで、これからは大丈夫そうな気がしはじめていた。
「私も名前呼びは許可してませんけど」
「あ、ほらー杏樹さんも言ってますよ? アーキさん」
「アーキさん」
「お前ら…!」
そして滝沢も、ひとつの答えを、実際に肉眼と肌で確かめることができていた。
ここには、未熟ながら一本気のあるれっきとした戦士と、それを支え動く仲間がいた。
拾ったその命の使い方として、この場所にいることは存外見当違いでもなさそうだ。
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