第28話 俺の力を見てくれっす

「隊長…こりゃ随分と酷い道ですね…マルはいいな…空飛べて」


ピィ~ピィ~♪


「リュウ…気持ちは分かるが…確かに気が萎えるなこりゃ」


「フフフフ、そこのお困りのセルシ隊の皆さんお助けしましょうか?」


「ヒロはなに言ってんだよ、自分だって泥だらけ… えっ、何でお前泥付かないんだ?!」


「実はっすね、水魔法で地面の水分を抜きながら歩いてるっすよ。何せ俺は水魔法を使えるっすからね。俺の力を見てくれっす。ハハハハッ」


バコッ!


「痛いっす、叩くの禁止っす…」


「そう言う事は早く言えヒロ、泥だらけに成らずに済むなら初めから頼んでいたものを」


「隊長ごめんなさいっす…でもまだ泥に入ったばかりですし…ねぇ…すいませんっす…」


その後ヒロは水魔法で地面の水分を抜きながら歩き道を確保しながら順調にゴーゴン山へと近付いていたのだった。そんな時…


ウォォォオー!!!


「ヒロッ!退避だぁ」


「とっ!、危なかったっす、ワニの化け物っすね」


「ヒロ、リュウ、ワニの外皮は硬いから刃が通りにくいだろう、私がワニの目を狙うヒロとリュウはワニの腹を切り裂け、跳びはねて攻撃する時に奴の腹は無防備になるはずだ。」


「ヒロ頼みがある。奴の気を引いてくれ。俺は隙を見て奴の腹をかっ捌く」


「分かったっす、早速やるっす。ほらっ此方にくるっす。お前なんてこの俺が倒してやるっすよ、どうしたっすか俺が怖いっすか?」


ブォォォオー!!


「飛び掛かって来たっすリュウさん」


明鏡止水


キィーン 金属音と共にワニの腹は開かれ臓物が溢れワニは自然落下しドーンと言う轟音と共に地面へ叩き付けられていた。


「相変わらずリュウさんの居合は出鱈目な強さっすね。」


「今のはヒロが隙を作り隊長が目を潰してくれていたお陰だ。」


ピュピュピュ〰️ 僕もやったよとアピールを忘れないマルであった。


「一応ガイルに借りたこの魔法袋へワニをいれておこう。皮は貴重かもしれんしな。」


沼地は間もなく終わりを告げ、いよいよゴーゴン山の麓へとたどり着いたセルシ隊であった。


「何か…噴火して何にも無くなった山って感じだな…木一本、草一つ生えてない…」


「コルセア様が嘆く訳だな…ヒロ、リュウここからは気を引き締めて行け、魔物一つとて、三姉妹の従者やメイドの可能性もある無暗矢鱈に斬るなよ」


はい!


「隊長、この先を少し見てきます。この大岩で待っていて欲しいっす」


「分かった、気をつけてなヒロ頼んだぞ。」


「はいっす。」


斥候をするには一番不利な場所なのに、泣き言一つ言わず自ら進んで斥候を申し出るヒロにセルシは傭兵としての強さを見た思いだった。


「俺は隊長として、上手く出来ているのだろうか…」


「隊長、そんな顔似合わないですよ。もっと自信たっぷりに命令してこそ隊長ですよ。あの南の島の絶望的な時にも隊長は俺達を見捨てなかった。俺はね隊長、あなただからここまで来れたと思ってます、多分皆そうです。あなたは自分が思う以上に尊敬されてますよ。」


「ふっ…リュウすまんな、お前の前ではつい弱さを見せてしまいたくなる。さて隊長に戻るとしよう。リュウよヒロが帰って来たら進軍開始だが、夜営の場所の確保はリュウお前が決めてくれ私は今日の夜番をする。頼んだぞリュウ」


「隊長自ら夜番する隊なんて、ハハハッ最高ですよ本当にこの隊は。」


「隊長帰ったっす…ヤバいっすこの先の小高い丘の上に魔物と三姉妹らしき魔物が集結してるっす」


「…もしかしたらコルセア様の計らいかもしれん。」


「隊長夜営せず行きましょう、今ならやれます。」


「待って欲しいっす。三姉妹らの強さや従者らの強さは未知数っす。だからもっと慎重に行った方がいいっすよ」


「ん… リュウ悪いが今日は夜営する、そしてヒロ歌を歌ってくれ、三姉妹の前でコンサートと洒落こもうか」


「えっ?!」


「隊長?!」



















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