第26話 驚きと更なる驚き
サーベルタイガー…私が帝大で研究していた大昔の生き物…しかしそれよりはかなり大きいようだ…
「ッヒロ!」
「ウヒィー 今のはヤバかったッス」
「隊長まずいですよ、このままではじり貧です。」
「しかし撤退するにも、そう易々とは逃がしては貰えんだろうな、すまん私のミスだ。この階層だけでも確認などと言わねば…」
「隊長、リュウさんやるッスよ。サーベルタイガーにだって弱点はあるっす。それにおかしいと思わないっすか?あれだけこっちが攻撃してるのに彼方からは絶対攻撃して来ないっす。」
「そう言われてみれば… このサーベルタイガーもしかして…リュウ、ヒロこのサーベルタイガーはメスだ!そして妊娠している可能性が高い。攻撃は中止だ、背中を向ける事なく後退りして撤退だ。」
「お腹の子を守ろうとしていたのか…ごめんよサーベルタイガー…」
リュウがそう謝意をサーベルタイガーに向けたその時…
「な なんすかっ!サーベルタイガーが光ってるっす!」
「リュウどうなったんだ?!なんかしたのか?」
「いえ、ただお腹の子を守ろうとしていたなんて、ごめんよと思っていたらきゅうに光だして…」
光がおさまり唖然としていたセルシ達だったが、目の前にいたサーベルタイガーが驚くべき姿へと変化していたのだった。
「妊婦…えっまさか?!」
「人間達よ引いてはもらえぬか?わらわはこの子を…やっと宿したこの子を失いとうはない。そなたらに勝つことは出来ようが、結果お腹の子がどうなるか考えただけで、わらわは恐ろしゅうなる。頼む人間よ引いてたもう」
「大丈夫ですよ、ここは元々私たちがいた洞窟ですが今拠点は少し先の村に移しております。どうぞ安心して子供を産んで下さい。」
「おぉぉ そなたわらわの願い聞き届けてくれるか、威嚇とは言えこちらも殺す事は考えてはおらなんだが、先程はすまなんだ人間よありがとう。」
「すいません、私はこの隊の隊長でセルシといいます。宜しければお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「そうじゃな、打ち解けたとあらば互いに名乗りは必要。わらわは月の神が眷属、名をメリラと申す。セルシよ宜しく頼む。」
「月の神ってコルセア様っすか?エェェ」
「なんと!コルセア様を知っておるのか?これは驚きじゃ」
「実は我々はアスラ神様の使徒でしてこの世界とは違う異界より来た者です。今はゴーゴン山に居る三姉妹を解放するためにゴーゴン山へ旅をしている最中でして、たまたま以前使っていたこの洞窟に来てみた所メリラ殿にお会いしたと言う事でして。」
「なんと! ゴーゴン山の三姉妹と彼の者達を解呪する法が見つかったのかえ?」
「コルセア様、アスラ神様のご協力の元我らの世界の知識と合わせてこのコルセア様の鏡盾にて三姉妹の姿を映せば一気に解呪が発動し三姉妹は勿論の事同じ様に魔物の姿に変えられた者達も姿が戻る様になっておる次第です。」
「なんたる事じゃ…子をなし外界に意識を向けるのが疎かになっていたとは言えアスラ様の使徒殿やコルセア様の眷属のあの三姉妹を長年のコルセア様の気鬱を晴らせる時に出逢えるとは、あぁーコルセア様誠におめでとうございまする。」
「メリラ 少々気が早いですよ。」
?っ コ コルセア様!! 皆一同に驚き、中でもメリラが一番驚いていた、コルセアの眷属とは言えそう易々と会える方ではないのだから。
「お お久しゅうございます。おかげ様にてわらわにも子が出来ました。ありがとうございます。」
「良かったわメリラ、おめでとう。そしてメリラ頼みがあるの聞いてくれるかしら?そこに居るセルシ隊の話は聞いたでしょ、彼らの村なら安心して子を産めるわ、何より村を彼らの村を守って欲しいの。彼らの仲間が村には居るわ、でもあなたが居たらもっと安心だもの。」
「わらわが人間の村等に行って平気でしょうか…それに人間の姿で子を産んで子は大丈夫でしょうか?フレイルタイガーの姿には戻れるのでしょうか?」
「安心なさい、人化はねフレイルタイガーの姿から人化する方がかなり難しいわ、でもね人の姿からフレイルタイガーへの獣化なら簡単だわ。それにこの洞窟はダンジョン化しているからどんどん育つわよメリラの魔素を受けてダンジョン化もかなり進んだのも。こんな危険な場所より安全な村で子の産んで村で子育てをなさい。村の教会へは神託を出しておくわ、メリラが行っても大丈夫な様にね。」
「コルセア様…コルセア様…何から何まで ばびがどうゴザビバズ うぁぁぁん」
「メ メリラ落ち着いて、涙と鼻水が大変な事になってるわ… …」
コルセア様は全て見ていた様で私達セルシ隊と眷属のメリラが鉢合わせし戦闘になっている事に驚き慌ててこの洞窟へ来たとの事だった。お互い大きな怪我もなく、本当に良かったとホッとしたのだった。そしてメリラさんはコルセア様が村へ転送魔方陣で送ってくれたのだった、最後まで涙をながしコルセア様に感謝していたメリラさんが印象的だった。
「村の教会へは神託はしました、さぁセルシ隊の皆様ゴーゴン山の三姉妹の解放宜しくお願いします。」
「お任せ下さいコルセア様、必ずや成功させ村へ帰還し三姉妹とその他の方達も村へ連れて参ります。」
「大丈夫よその時は私の転送魔方陣で村へ一気に転送してあげるわ。」
「ありがとうございますコルセア様」
「楽しみに待ってます。あの三姉妹が解放されればこの辺りの忌まわしき呪いも共に解呪される事でしょう。そうすれば我ら神の名においてこの辺り一帯を聖域とし生きとし生けるものが安心して暮らせる場所とすると誓いましょう。」
「あのーコルセア様聞いていいっすか?聖域になったら人間は住んでも大丈夫なんすか?」
「勿論害意を持つ者は聖域には入れない為強制的に聖域外へ転移されます。ですが普通に生活し生きるならば木を伐っても森を切り開いて街を拡げても大丈夫です。まぁ限度は有りますが概ね問題ないでしょう。」
「何か夢が広がるっすね。」
「だがヒロ先ずは解放をきっちりこなす事だぞ。」
「わかってるっすよリュウさん」
「では名残おしいですが私は帰ります。解放宜しくお願いしますね。ではまた」
コルセア様は帰り、そして私たちはいよいよゴーゴン山へと歩を進めたのだった。
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