第18話 異物の居所

「子爵様、如何でしょうか?」


「ふむ!帰って来ぬでは仕方あるまい。至急向かうとする参るぞ」


「お待ちを!シタル様今9部隊全軍53人を辺境の村へ向ければクリーク王国へ兵数の不利を悟られかねませぬ…!」


「臆病風に吹かれたかオース君 君は確か伯爵様お手付きのメイドの子だったね、伯爵様の顔を立てここに居させてやってるのを忘れてはならぬよ、オース君!」


「……しかし」


「クククッ オースお前怖いのか?お母さんのおっぱいでも吸いに今からでも帰れよ帝都に ハハハハッ」


9部隊 副隊長オース ソーエンは伯爵様お手付きのメイドの子として名ばかりの副隊長を言い渡されはしたがその待遇は仲間の隊員からもお手付きメイドの子として蔑まれ貴族部隊での居場所など無いに等しかったのだった。何よりも民の命を軽んじて犯し奪い殺す乱取りなど絶対にしたくはなかったのだ。


「よし!皆の者これより辺境の村へ参るぞ。従兄弟のサンドン男爵の陣中見舞いに参る着いて参れ。村では各自自由にせよ」


「やったー!やれるぞ こりゃ楽しみが増えたな。」


「よし!出陣ぞ!」


「…」


「子爵様オースは如何なさいますか?」


「そろそろかも知れぬのう」


「そろそろ?とは如何なる事で?」


「そろそろじゃよ フフフ」


本陣より朝に丘を下り夕刻には辺境の村が遂に見えて来たのだった。


「オース君サンドン男爵へ伝令を出すのだ、陣中見舞いにシタル子爵自ら参ったと、そして伝令はオース君君がじきじきに行う事とする。以上」


「…私が伝令 分かりました至急サンドン男爵様の陣へ伝令に参ります。」


「ついでにだが、村の様子を伺い報告せよ、村の規模人の数などをの。」


「…畏まりました。」


オースはサンドン男爵の陣へと歩を向けたが様子がおかしい事など子爵様が居た場所からでも確認は出来たのだ。子爵様は何かに気付き私を斥候いや体の良い突撃兵にしたのだろう…


「子爵様サンドン男爵の陣はもぬけの殻かと存じますが?なぜオースを?」


「もぬけの殻の陣をただ訪れ、ただ誰も居らぬと報告するのか、村まで斥候をし様子を伺い報告に来るのか、いずれにせよあ奴の身に何か起きればサンドン男爵に何が起きたかも予想はつくであろう?」


「…成る程怖いお人だ子爵様は…」


1人恐れおののくシタル子爵の弟ノクタルであった。





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