4、蜘蛛巣城(黒澤明)


「蜘蛛巣城(くものすじょう)」


 文芸時代劇

 1957年 日本映画

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、山田五十鈴

 原案:シェークスピア「マクベス」


 ※ ※ ※ ※ ※


(あらまし)

 シェークスピアの戯曲「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えた時代劇。

 魔女に国主になることを予言された武将の辿る運命。


 _ _ _ _ _


 日本を代表する大映画監督、「世界のクロサワ」こと、黒澤明。



 代表作=


 映画史上初めて(?)カメラを太陽に向けた……「羅生門」(1950年)

 構成が斬新な感動ドラマ……「生きる」(1952年)

 集合ヒーロー物の元祖。世界基準の永遠の名作……「七人の侍」(1954年)

 「スター・ウォーズ」の原型の冒険もの……「隠し砦の三悪人」(1958年)

 世界のミフネ(三船敏郎)の代名詞。痛快時代劇……「用心棒」(1961年)

 リアルな犯罪・刑事物……「天国と地獄」(1963年)

 ルーカス、コッポラが製作に協力。カンヌ最高賞……「影武者」(1980年)

 黒澤のライフワーク。歴史超大作……「乱」(1985年)



 とある中で、何を「今の若者」向けに選ぼうか?

 実はあんまり迷わずに、「これだ!」と選んだのが、



 「蜘蛛巣城」(1957年)



 です。

 黒澤ファンでも「え、(よりによって)それ?」と疑問に思われるかも知れませんが。



 地味なんです。


 ずーっと、静かなシーンばかりが続くんです。血湧き肉踊る「七人の侍」とは対照的に。



 この映画、言ってしまいますと、黒澤の最も趣味的な映画で。

 もともと画家志望だった黒澤の美的センスが全面に発揮された、

「能楽」の表現を取り入れた、非常に技巧的な映画です。


 それを現代の若者が見て面白いのか?

 正直言うと、退屈は感じると思います。

 地味~なシーンが続いて、退屈だなあ……と思っていると、ギョッとするような一瞬があって。

 その静かなリズム感が心地いいんですけれど。


 しかしこの映画、なんと言っても有名なのが、ラストギリギリのクライマックスシーン。

「蜘蛛巣城」で画像検索すると、このシーンがずらっと出てきちゃうんですが。

 武将の三船のこの、目を剥いた必死の形相、は、本物です。演技じゃありません。

 映画全体で地味~~~なシーンが続いて、抑えに抑えて、溜まりに溜まったフラストレーションが、ここで、ダダダダダダダ、ダダダダダダダダ、と、大爆発してます。

 こんなこと書くと、今どきの若者はすぐにそのシーンだけユーチューブで見たがりますが、う~~ん、ここだけ見ても凄いんだけどね、凄いんだけどお、最初からの流れで、爆発するから、凄いんだよおお!


 この本物の爆発力を、CGでド派手なシーンを腐るほど見ているであろう若者たちに見せて、度肝を抜いてやりたいんだよ!!


 これが映画だよ。


 世界の黒澤は、やっぱり、凄いんだよ!!!!



 是非、ご覧下さい。

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