第4話 宮野美穂の謎


 次の日、ある女性が2F宴会場で待っていた。彼女の名前は 宮野 美穂。


 彼女は、昼間の会社員を退職して夜の仕事一本だけでは生活ができないという事で、うちの店に働かせてもらえないか? という相談だった。


 この店は基本的に求人を出さない。業種的にラーメン屋なのだが、関わってる人などの関係で新規は雇わないようにしている。その為従業員の新規雇用は、こうした店の人間からの紹介がほとんどである。


 もちろん本人との聞き取り面接は欠かさない。面接は店のオーナーであるおやぢの役目である。宮野美穂がこの店に働きたい理由と事情を聞いた。


 色々話を聞く内におやぢは事情を察した。そのまま待つように言い残し、彼女を残し、電話を掛けに行く。


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 ――数分後


 三次がやってくる。


 「兄貴、お待たせしました!」


 「ああ、こんな時間に呼び出して悪いな。ちょっと調べてもらいたいことがある」


 そう言うとおやぢは、先ほど受け取った宮野美穂の履歴書のコピーを渡す。


 「了解っす! 数時間後でいいっすか?」


 「ああ、それまでこの店に居させる。【系列店の店】にも伝えておいてくれ」


 「わかりやした!」


 そう言うと足早に立ち去っていく。そして、おやぢは2Fへ戻っていく。


 「待たせたな」


 「い、いえ、大丈夫です」


 「履歴書に書いてある系列店の店だが、知人がいる。だから今日は休んでもいい」


 「え?」


 「心配するな、こちらの都合で休ませるんだ。何も問題ない」


 「えっ、でも! 店長さんにはご迷惑おかけするのでは?」


 「俺は大丈夫だ、最近いろいろあって疲れただろう。201号室使っていいから。そこでしばらく待っていてくれ、その部屋のカギだ」


 「あ、はい。あ、ありがとうございます!」


 宮野は、正座で座っていて深々と頭を下げて去っていった。



 ――おやぢは何をしたか?



 宮野美穂の借りていた闇金融はおやぢの知り合いの組長の系列店だった。うちの店に就職するという条件での借金の減額の頼み込みだった。


 数時間後すぐ結果が出た。三次が借用書を持って戻ってきたのである。


 接客業の中抜きによる利益と、利子の利益の再計算などを行われた結果、借金は帳消しになった。紹介された店を真面目に勤め、真面目に返済していた宮野には、他の債務者とは違う評価が下されていた。


 もちろん、このおやぢの口利きがあったからというのは言うまでもない。この口添えが無ければ、いずれ夜のお風呂屋さんに移動する計画もあった。まさに宮野の運の良さと真面目さが功を奏した。こうして宮野美穂は春風亭の従業員になるのであった。

 

 ――――こうした経緯もあり宮野美穂は、店の従業員になった。宮野美穂という最大戦力は、今もこの店で能力をいかんなく発揮してるのであった。

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