第3話 従業員の謎

 ――この店に働きに来る従業員は多種多様である。


 今回はこの店で働き者で真面目の彼女について語っていこうと思う。


 そんな彼女もこの店において、今では主戦力なのだが、彼女も過去に秘密があった。彼女は持ち前のまじめさもあり、従業員から評判が良かった。


 その彼女もラーメン屋の夜の部に入ると同時に、責任者として夜の部の店を任せようと、おやぢは考えていた。


 そんな彼女の過去を今回は語っていこうと思う。



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 以前は大手商社のOLだった。有名大学卒業後大手商社に就職。


 会社の同僚との付き合いを重視する余り、身の回りにも気を遣い、交際費は果てしなく高かった。

 そのことが原因で借金をし、支払いが難しくなった彼女は闇金融に手を出していた。利子すら支払えなくなるまでには時間はかからなかった。


 闇金融の推薦という名の強制で、泣く泣く夜の接客業を行うようになる。


 闇金融の利子はその店にいる間は3割に減免されていたが、それでも年利15%はある。普段の金利がいかに高かったことの表れだ。


 当然以前に比べて会社の同僚との付き合いは無くなり、周りから疑念を持たれていた。そしてある日、社内にこういった噂が流れていた。「宮野に似たやつがある店にいる」と。


 ある店の種類は、セクキャバ。


 セクキャバとは「セクシーキャバクラ」の略で一言でいえば「おさわりOKのキャバクラ」。ただ、店によって「触っていい場所」「触っていい時間」「触り方」などがまったく違うが大体そんな感じだ。


 どこを触っていいかとかは、聞いてはいけない話題だ。


 運がいいことに、彼女はそのまま夜のお風呂屋さんに行かなかっただけ幸運である。普段なら闇金融での借金返済は、夜のお風呂屋さんに直行コースであった。たまたま系列店の接客業が人がいなくて、困っていたから夜のお風呂屋さんに行かずに済んだ。これが夜のお風呂屋さんで発見されたなら、また対応は悪いほうに違っていた。


 ――しかし、会社はの対応は事実確認をするまでもなく、会社のイメージを貶めたとして自主退職という扱いにして貰い、大手商社を退職した。昼の仕事に困った為たまたま知人である、うちの店の従業員の紹介でこの店に入ったという事だ。




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 この店の特徴として、2Fの宴会場の従業員しか入れないエリアに客室がある。2Fは本来ビジネスホテルの一角として建設されたものである。


 ――しかし、ラーメン屋として改装工事が入った際、1Fと2Fを繋ぐ階段がある。ホテルの宴会場として使う予定だった場所をラーメン屋の宴会場して畳を敷き詰めることになった。


 尚、従業員しか入れないエリアに1Fと2Fが繋がっており、お客さんが入れるところにも1Fと2Fが繋がっている。


 従業員エリアには複数の部屋があり、仮眠室として使ってるのが3つ、男子更衣室、女子更衣室、社長室などがある。


 元々ホテルを想定してるので、各部屋にシャワートイレ付のユニットバス完備だ。


 仮眠室の居心地が良くて、従業員だけでなく、おやぢの知り合いが泊ることもある。


 ――閑話休題


 基本的にこの店は2交代制である。稼げるランチタイムは、店主の身内に運営を任せている。ある日、店主は出勤してきた時、パートさんに話しかけられる。


 「おやぢさん、ちょっと紹介したい人がいるんです」


 ――そう、昼間のパートさんの引継ぎの際に、こう言われたのがきっかけだった。

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