第6話 立地条件の謎
――10年前――
その組の組長は10年ほど前に、この店のおやぢに命を救われる。当時は組長ではなく、ただの下っ端だった。また同じ高校に通っていた悪友でもあった。ある闇金融屋を襲って命からがら逃げたところ再会する。
その時に闇金融で奪った手形のマネーロンダリングに手を貸したのが、この店のおやぢだ。組長はすぐに警察に自首して懲役に行くが、帰ってくるまでこのおやぢはそのお金を運用。東北大震災の時に相場で大儲け!
巨万の富を作り、悪友の帰りをひたすら待っていた。
そして出所の日、刑務所前にて幹部候補生として出迎えられるやーさんの中、一人離れた所で待っていた。
――しかし、人相はどう見ても堅気に見えなかったので、不審がられることもなかったが、どこの組に所属してるのか皆は謎だった。
悪友は刑務所から出てくる。
「お勤めご苦労様でした!」
大勢のやーさんから悪友に向かって大きな声で挨拶されていた。その時、悪友は一人の男に目が入った。そのまますぐ小走りに駆け寄る。
「あ、あんたは! なんでここにいるんだ!?」
「ああ。あの時の約束を果たしに来たぞ」
その一言を言うおやぢは、どこかの幹部に見えたに違いない。
――その後幹部候補生は、おやぢが差し出す無限とも思える資金力を活用した為、組内での発言力が増し、無事出世。今は組長として降臨している。
そしてこう言うのだった。
「なあ、兄弟。あんたから十分な恩を受けた。俺はどうやって、この恩に報えばいいんだろうな」
こうして結論として出たのが、一等地でラーメン屋を開くと言った。
――これにより時価数億とも呼ばれたビルを組が買い取り、1Fと2Fをラーメン屋として開店させたのだった。
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