第一章 迷宮挑戦

第2話、俺は冒険者になる!

シラン姉さんによる冒険者としての初期教育が続く。


「ステータスって頭の中で唱えると、視界の左上に赤いアイコンが表示されるでしょ。

そこに意識を集中してみて」


「わっ、なんか出た!」


「それがあなたのステータスよ」


実は、この3日間くらいで、ナビのマリアからレクチャーを受けていた。

この世界の人間はマザーというコンピューターにアクセスし、自分の能力値を数値化して表示することが可能なのだ。スキルやジョブも同様である。

マザーが脳に直接働きかけて、仮想ディスプレイのように表示させているのだ。

元々、人間の脳は見えないものでも見えていると思い込ませることができる。

その原理を応用しているにすぎない。


そして、俺のステータス画面は複数の窓が存在する。

本当のステータス画面と、偽装ステータス画面、他人やモンスターのステータス画面などがある。


「分からない項目があったら、そこに意識を集中すれば詳細が表示されるわ」


これも、俺の場合はマリアが解説してくれる。


「次にパーティーの組み方ね。

パーティーを組むには、相手の体に触って、パーティーアイコンを意識するの。

意識するのは、ふつうポイントって表現するわ」


シラン姉さんが俺の手を取ると、メインのステータス画面右上にPの文字が青いアイコンで現れた。


「アイコンが点滅している時は、パーティーに誘われているって事。

点滅している時に、アイコンをポイントすれば同意とみなされてパーティーが組まれるわ。

そうすると、アイコンは赤に変わるわ」


「パーティーのメリットは?」


「回復系や補助系のメンバーにも、同じように経験値が入るわ」


『それと、こうやってクチにしなくても会話ができるわ』


『へえ、便利だね』


「じゃあ、これからモンスター討伐の実地訓練に行くわよ」


「えっ、待ってよ。ジョブとジョブスキルのセットをやらないと」


「ジョブの表示出てるの?」


「うん。白戦士と白狩人が出てる。」


「へえ。討伐もしていないのにジョブが表示されるって珍しいわね。

ポイントすればアクティブになるわよ」


「わかった」


「まさか、ジョブスキルも出てるの?」


「ないみたい」


「じゃあ、どっちかをセットしなさい。

それから、ジョブを切り替えると装備は空白状態だから注意しなさいよ」


「えっ、どういうこと?」


「ジョブ毎に、収納空間がある感じかな。

だから、一度セットすれば大丈夫だし、初めてセットするジョブは今の状態で保管されるの。

逆に、初めて切り替えるときは、スッポンポンよ」


「それって、ハプニングポロリとかいうやつ?」


「どこで覚えたの、そんな言葉。

でも、そのとおりよ。

……もう、一緒にお風呂入るのやめたほうがいいのかな…」


「そ、そんなの寂しいよ。

お姉ちゃんの肌、白くってとっても綺麗だから……」


ゴキン!拳骨で殴られた。


「人前で変なこと言わないでよね」


「分かった」

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