第162話告白

今日も病院での稽古を終えた沖田は、子供達が日に日に元気を取り戻しているように見えて安心していた。ふと後ろを見ると新田理恵が居た。


「お話が有るのですがお時間良いですか?」


特に理由も無いので


「良いですよ」


「じゃあ私の病室へ」


新田の病室までやって来た。途中、沖田はコーヒー牛乳を買った。


新田はベッドの座り、沖田は椅子に腰かけた。


「私は余命五ヶ月です」


新田は告白した。


「それは医師から宣告された事ですか」


「はい、そうです」


「なるほど、わかりました。で、要件とは?」


「私と結婚してください」


沖田は飲んでいるコーヒー牛乳を噴き出しかけてむせた。


「本気ですか」


「本気です」


「じゃあそのあたりのお話を聞かせてもらえませんか」


十八歳で余命宣告されて絶望した新田であったが、結婚してお嫁さんになるという希望は失わなかった。そこへ現れたのが沖田であった。沖田は丁寧に剣を教えてくれるし、子供にも優しい。そんな沖田に惚れたと言う。


「ご両親にはこの話はされているのですか」


「話は通してあります。許可ももらえました」


ふむ、と沖田は考えた。


「新田さんの好意と意思はわかりました。私にも少し時間をもらえませんか」


沖田はそう言うと新田は笑顔でハイ、と答えた。目に涙を浮かべている。沖田は帰宅し、近藤に相談した。


「なるほど、それで結婚したいと言うのだな」


「はい、私では少々扱いずらいお話だと思いまして」


「総司、夫婦めおとになれ」


近藤は驚くべき答えを出した。


「余命いくばくもない娘の願い、総司に告白するのは勇気の有る事であろう」


横で聞いていた土方も


「娘の願いを聞いてやっても良いではないか」


と言うが、沖田は士道に反する事ではないか、と土方に言うと


「夫婦になる事は士道に反する事ではない」


沖田は線の細い、白い肌の新田を思い出して


「これはとんでもないことになりましたね」


と頭をいた。

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