第160話豆腐

「ふむ、ところで今日出た冷奴ひややっこは何処の店で買うのです」


後片付けをしながら詩織が答えた。


「スーパーで買えば安くて済むんですが、やっぱり美味しいここの豆腐を買いますね」


名を疋田ひきた豆腐店と言う。


「我々の時代の豆腐とはまた違いますね」


吉村も言う。


「傷むのが早い豆腐は田楽などが多いですね」


現代は豆腐を冷蔵できるので味が全く違う。


「今日、豆腐買いに行きますが一緒に行きますか?」


近藤は喜んで快諾した。大きなボウルを近藤に持たせ、詩織は疋田豆腐店にやって来た。


「いらっしゃい、詩織ちゃん」


店主らしき男が詩織に声を掛けた。


「今日は重いボウルを持たなくて済みます」


詩織は木綿豆腐を三丁とを頼んだ。


「詩織殿。この豆腐ドーナツと言うのはなんですか」


「豆腐で作ったドーナツと言う洋菓子です。買いましょうか」


豆腐ドーナツを二個買った。


「これは豆腐運びのお駄賃です」


「毎度ありがとうね!」


と元気よく店主は見送ってくれた。詩織が現代の豆腐事情を話した。


「現代では豆腐がとても栄養価が高い事を見直されて、今では世界中で豆腐を食べられています」


「世界中で豆腐を食するのですか」


「びっくりでしょう。私もびっくりです。でも気になる事もあるのです」


近藤が聞いた。


「どのような事ですか」


「本来豆腐はにがりのみで作るのですが、賞味期限を延ばすためにをするのです」


傷みやすい豆腐を少しでも保存できるように添加物を入れると言う。


「なるほど、我々の時代では豆腐は傷みやすく、冬では良いのですが夏は冷奴などとても食べれませんでした。現代では機械化されて豆腐も効率良く作れるのですね」


帰宅した。コーヒーで豆腐ドーナツを食べましょう、と詩織は提案し、台所へ消えた。近藤と詩織は豆腐談義で盛り上がった。

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