第137話隊士と競馬 その二

いよいよレース当日となった。桜花賞と言う事で桜も満開である。万が一を考えて携帯電話の使い方をもう一度確認した。未だに使いこなせない隊士も居たからだ。近藤は出発前に言った。


「隊士諸君、今回は競馬と言う賭博をするわけだが今回は現代の社会見学として特別に許可する。以後、賭博に走る者は処罰する」


賭博にのめり込むのは士道に反するのだ。一同同意した。祐介を先頭に競馬場へ出発する。


「いやあ、隊士一同で行動するなんてひさしぶりだなぁ」


「各々やるべき事が有りましたからね」


沖田と吉村が語らう中、原田は不満であった。五百円では大した儲けにもならない。あきらめた。永倉は格段興味も無さそうだ。斉藤はどうやら競馬よりも周辺でやっている出店に興味が有ると言う。一人一人思惑があるが一行は競馬場に到着した。祐介が馬券を買いに行く間、斎藤は買い食いをしたいと言う。斉藤は携帯も扱えるし、永倉もついて行くと言う。近藤は許可した。


「用が済んだら早くかえってくるんだぞ」


近藤が言うや否や二人は人混みにまぎれて行った。


「大丈夫でしょうか」


吉村は心配したが携帯が有れば直ぐに連絡ができる。問題は無い。祐介が馬券を購入し、戻って来た。もうしばらくして斉藤、永倉が人数分の大きな焼き鳥を買って来た。


「競馬場に着いたならこれを食べよと人づてに聞きまして」


一同立ちっぱなしであったため、祐介はパドックに行きましょうと誘った。焼き鳥を片手にパドックへ向かった。


「ところで祐介殿。馬券は無事買えましたかな」


「はい、ソダスとグレナディアカージ馬連三千五百円です」


オッズでは3倍である。パドックでは出場する馬が披露されていた。


「うむ、ソダス、良い馬だ」


「見てください、グレナディアカージは気合十分ですよ」


馬を一通り見て、観覧席に向かう。桜花賞は十一レースで、観衆は今か今かと待っている最中である。土方は


「つまらんな」


と心で思った。しばらくするとファンファーレが演奏された。出走である。

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