第128沖田ノート

沖田は自分に起こった事や日常を紙片に、またはノートに書き記していた。その一部を見てみよう。


九月十五日

小野田家にていそうろうさせてもらえる事になった。どうやらぼくのことで局長とこの家のひとびとがもめごとをおこしているらしい


九月十八日

ぼくが病気であることがなぜか小野田家の人たちがしっていて医者にみてもらうことになった。すぐになおさなければならず、かえれなくなってしまった。


九月二十五日

労咳のちりょうがはじまった。えいようぶそくとのことでてんてきをうでに打たれた。チクリとはりのいたみがあったがこれで元気になれるのであればお安いごようだ。


十月一日

まいにち薬をのんではふとんでごろごろ横になっている。てれびというものはべんりなものでながめていてあきない。局長と副長がおみまいに来てくれた。


十月八日

体調すこぶるよし。ごはんもなれてきておいしくかんじるようになった。かれーらいすがおいしい。おかわりできないのがざんねん。


十月十五日

肺にまだ白いかげがうつっている。医者がいうにはじゅんちょうになおっているとのこと。せきが止まった。


十月二十二日

毎日薬をのむ。食べてはねて食べてはねる毎日。しかし元気はとりもどしつつあるような気がする。


十月二十九日

病棟をぬけだす。ほうちょうをもってあばれる男がいたのでたおした。刀があればてばやくおわるはずだがおおきなさわぎになってしまい、お礼をいわれた。


十一月六日

ひよんなできごとで子供に剣をおしえることになった。たいちょうすこぶるよし。局長にこどもにおしえるじゅんびをするとつたえる。


十一月十四日

いよいよ退院もちかくなってきた。たいちょうすこぶるよし。しかし飲み薬の量は減らず、病院をでてもしばらくは薬をのまないといけない。今日のごはんもおいしかった。


十一月二十日

病院退院の日。かんごしや剣の教え子に見送られて病院を出た。はれてかいほうされ気分はさわやかだ。まだ稽古はできないけれど新選組の隊士とまた過ごせるようになってうれしい。

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