第121話映画
祐介が近藤に映画を観に行きましょうと誘った。映画のチケットを隊士の分まで譲り受けたのだ。
「ほう、映画ですか。してどんな作品ですか」
近藤が聞くと祐介は言った。
「赤穂四十七士を扱った作品です」
沖田が喜んだ。
「どんな堀部安兵衛が観れるんでしょうね」
映画については沖田も話を聞いている。
「皆さんの分の券が有ります。映画の後は食事にしましょう」
隊士一同喜んだ。
当日。一行は映画館に居た。各々、売店でジュースやポップコーンを買い込んで映画に
「いよいよ始まりますね」
吉村は四十七士のファンである。
映画が始まると皆静かになった。大画面で見る映画はテレビのそれとは違って迫力がある。一同黙って映画を観た。斉藤などはポップコーンを食べながら呑気に見ている。討ち入りが始まった。画面に緊迫感がある。皆映画に没頭している。映画が終わり、館内が明るくなった。
「いや、テレビの時代劇と違ってなかなか
吉村が言うと永倉が反論する。
「いやあ吉村君、なかなか良く出来た作品だがいかんせん俳優がダメだ」
沖田が合いの手をいれる。
「そんなこと言ったって私達も実際に見た事件では無いですしね」
土方は珍しく作品を褒めた。
「義士四十七士という題名が良いではないか」
「我々もそう扱ってもらえたら良いんですけどね」
原田がそう言う。
「まあ我々は嫌われ者でしたから」
沖田は皮肉を言う。
「まあまあ、皆さん、感想は後程ゆっくりしましょう。今日はカツ丼を食べましょう」
一同沸いた。
「カツ丼は食べた事ないですね」
「テレビでは見たが小野田家では出ない食べ物だな」
隊士一同、食事の話に夢中になり、映画そっちのけになってしまった。近藤は
「堀部安兵衛が良かった」
とは思ったものの、やはり映画の小物やセットが気になって映画は今一つだなと思った。しかしこの後、映画鑑賞は近藤の趣味になるのであった。
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