第78話隊士一同の年越し

道場のカレンダーを見て近藤は言った。


「今年はもう年越しか」


カレンダーの読み方は小野田家に来た時に祐介は現代の基本的な事を隊士一同に教えた。この見慣れない記号が数字だという。


「我々がこちらにやって来たのは何時頃だったか」


「何時だったでしょうな、確か秋口だったような」


土方が答えた。


祐介に聞いてみると


「いやぁ、皆さんいつ頃来たでしょうね。私達は皆さんを受け入れる準備でバタバタしていてはっきり覚えていません」


「お父さん、九月の中頃じゃなかったっけ」


詩織がそう言った。


そう言われたらそうだったな、この作品は時間系列がいい加減だな、と独り言を言った。


「ならばしないといけない事がありますな」


隊士一同が道場と居室の大掃除を始めた。


「いや、本当に助かります」


祐介は礼を言った。チヨと薫はおせち料理作りのラストスパートで、祐介と詩織は大掃除にとりかかる。時間に余裕を持って行えば良いものをぎりぎりまで引き延ばすので結局大晦日などに慌てて掃除をするのである。何とか掃除を終えて詩織は大晦日の国営放送の歌番組を観ていた。隊士一同は酒盛りをしている。


「詩織や、手伝いなさい」


隊士一同の年越し蕎麦が出来たので道場まで持って行く。皆、喜んだ。


「いやはや色々な事が有った一年でしたね」


沖田が言った。土方は


「色々起こりすぎて疲れたわ」


各々がそれぞれ思うものを持っている。蕎麦をすすりながら新年を迎えた。

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