第15話祇園島原
原田が
「たまには島原で遊びたい」
祐介に島原の事を訪ねると島原はもうありません、と答えが返って来た。
つまらんなあ、現代は、と投げやりに言い放って、斎藤と酒を飲む事にした。別段斉藤は嫌がらない。詩織は原田さんとメモに書いてお銚子一本目、と書いた。線を足していけば「正」になり、数えやすい。この二人は特に仲が悪いと言う訳では無くて、ただ普段から話すきっかけが無かっただけだった。詩織は夕食の準備があるので、と言って去って行った。
「して斉藤君、たまには女を抱きたくないか」
「まあ無いわけではない」
そう答えた斉藤も実際島原が無いとして、一体現代の男達は女をどこで買っているのかと不思議に思った。祐介に聞いてみると、遊郭は存在はしていたが、法律が厳しくなり、消えて行ったという。しかし街の片隅でこっそりと売春は行われているという。おかしな話だった。遊郭が無くなり、性犯罪が増加している事を祐介は悩んでもいた。
「まあ遊郭があったおかげで性についてある意味大らかで、お金さえあればそういった男の性欲も発散できたのでしょうね。今では性風俗が蔓延して、売春も横行しています。斉藤さんの疑問のように、私も悪いものだとは思いません」
時代は変わったのだ、良くも悪くも、と斉藤は原田に言った。原田は不満気である。無い物は無い故と斉藤は言うと、原田は酒を一気にあおり、では今は何が有るのだと祐介に聞くと祐介は女の子とお喋りするならキャバクラが有ると言った。しかしお金が法外にかかると言う。原田は差料を金に換えるほどの価値ある刀を持っていなかったし、持ち合わせも少なかった。
「原田さん、もしよかったら働き口がありますが」
祐介が提案してきた。
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