第5話米が美味い

「何をおかしな事を‥」


土方は答えた。沖田は驚いて見せた。


「へぇ、と言う事は未来へ僕たちはやってきたんだ」


「そのような事は有る筈は無い!我々が未来へ来るなど」


永倉は言った。

口論が始まりそうになる時、次々と食事の用意が運ばれてきた。

小野田家では道場の合宿を行う。多人数の食事を用意する事は慣れている。

献立は鳥の唐揚げ、野菜の煮しめ、豆腐とネギの味噌汁である。


「豪勢な食事とは言えませんが、お召し上がりください」


隊士一同の前に食事が運ばれた。唐揚げと煮しめは大鉢で出されている。


「ご飯が美味しい!」


沖田が言った。


「うむ、米に甘味があり炊き具合も良い」


近藤が言った。堰を切ったように賑やかになった。チヨが現れた。手に一升瓶を抱えている。


「大したおもてなしも出来ず申し訳ない、まあ一杯やってください」


グラスのコップを見て吉村が


「見事な出来の器ですな」


「コップと言います」


「こっぷ?」


「はい、西洋の器です」


「持ち手も良い。面白い」


賑やかな食事になった。鳥の唐揚げも好評であっという間に無くなってしまった。詩織は慌てて台所へ戻り、母の薫に唐揚げの追加を頼んだ。薫は呆れた。


「もう二キロは揚げたわよ。食欲旺盛ね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る