第4話百五十三年後の日本

近藤含む新選組一同はどうやら平静を持ち始めたらしい。日も暮れ、道場の照明が着けられた。隊士一同驚く。


「何ですかね、あの光る棒状の物は」


「やたらと明るいぞ。昼間の様だ」


動揺が広がる。そこに祐介が現れた。祐介は一人で来た。


「皆さん、空腹ではありませんか」


「はい、そう言えば今日一日何も食べていません」


「豪華ではありませんが夕餉の準備をしました。これよりおもてなしをしたいとは思いますがここは道場ゆえ、別室にご案内します」


二十畳ほどの部屋に通された隊士達は安堵の表情を見せた。長机を設置した祐介はくつろいでくださいと一言残し、部屋を後にした。居間に戻ると祐介の妻、薫と詩織、チヨが台所でテキパキと働いていた。男達に振る舞う食事には慣れているため、手際良く用意される。


「詩織、米を持って行きな」


五合炊きの炊飯ジャーを持って詩織が消えた。

詩織が現れるのを見た近藤が質問した。


「それは何ですかな」


「炊飯ジャーです。お米が炊けます」


「何と!このような物でコメが炊けるなど」


一同動揺と好奇心が入り混じった目で詩織を見ている。

この時土方が詩織に尋ねた


「ここは一体どこなのです?我々の暮らす時代とは違うように思える」


詩織ははっきりと答えた。


「はい、ここは皆さんが居た時代から百五十三年後の日本です」

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