第11話 地方は、東京の養分じゃないんだよ。

公民館を借りるのを簡単だと思っている香具師へ。


 いや、その、と、推しの配信聞いて、推しよりも、その、参加者、聴いている人たちの考えの甘さにあきれている、というか、約10年前のことに納得が行った私がいる。


 公民館時代の話。

 約10年前だが、私1人が勤務している時に、いきなり、突然、「部屋を貸してください」と言ってきた団体があった。


 こちらとしては、公民館は、電話を受けてすぐに貸す、と言うのは、よっぽど信頼のおける団体、たとえば、地域の町内会にしか当日貸し出しはしていない。


 だから、非常に参ったので、時効だから自己開示すると、休んでいる所長に連絡して、判断を仰いだ経験がある。


 そして、特別に貸したのだが。


 その後、貸し出した団体が、当日に予約する、と言う、面倒なお客様になったのは、言うまでもない。


 そもそも、公民館を貸し出すのには、何段階かの手続きがいる。


 あくまでも、約10年前、私が勤めていた自治体の公民館の場合は、

①直接来ていただいて、 

 団体登録してもらう


②怪しい団体か審査する


③団体登録完了


④団体登録完了を代表者に伝える


⑤貸し出す


の流れだが。


実は、公民館は、夜間に貸す場合、

他の人に、鍵の管理を頼む関係上、

夜間貸し出しは、信頼できる団体に限るし、

そもそも、夜間と言っても、

夜8時か、9時が限度だった記憶がある。


なぜこれほどまでに厳しいかと言うと、

殺人事件、新興宗教による洗脳、怪しい会社による講座、など、

政治的、宗教的な目的で利用する

団体がかつてあり、

事件が起こり、

自治体側が慎重にならざるを得ないのだ。


冒頭に出てきた団体は、

近所の家か、いつも集まっている仲間の家が借りられなくなったから、と言う理由で、借りに来たのだろうが、

こちらとしては、

人間関係による問題が起きたり、

大声での発声で近所迷惑になったり、

公共の施設である以上、

貸し出しにはどうしても、

慎重にならざるを得ない。


頼むから、

公民館は地域のものであり、

よそものに貸すものではないので、

よそものが借りにくるのは

避けてほしい、と言うのが、

元公民館職員である、私の本音だ。


そもそも、公民館勤務は

なにげに激務であり、

にもかかわらず、非正規社員だったため、

自立できないギリギリの基準におさえられている。


こんな仕事でさえ、一般の人がつくのは難しい。


頼むから、推しよ。


簡単に、公民館借りて、とか、

言わないでください。


本当に困るし、知名度のあるなら、余計だ。


お願いだから、都内で、借りてほしい。


こちらの自治体で借りても、

貸し出せる可能性は低い。


甘いんだよ、考えが。


勘弁してください。


もう一度言う。


自己判断は、勘弁してください。


そんな簡単に、地方での活動ができるほど、

地方の芸能界は甘くないし、

そもそも、地方の芸人をさしおいて、

東京の芸能人に貸さないです。


マジで

こちらの領域を犯すな。


あなたが地域の公民館を借りて、

東京の芸能活動をする、

ということは、

地方の芸能界に土足で踏み入ること、 なんですよ。


地方の芸能界をなめているし、

下に見ています。


最後に、もう一度だけ。


地方は、東京の養分ではありません。

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