第9話 実家が聖地になった女、その後(インターネットにかける範囲で)

拝啓、劇団雌猫様。

劇団雌猫さんのイベントで会った皆様、ごきげんよう。


平成に実家が聖地になった女ですが、本年6月末日をもちまして、実家が閉店します。


作品名と地名と、その他諸々を伝えるとばれるので、書ける範囲で書きます。


実家の閉店を知ったのは、突然です。


そもそも、実家といっても、養家(ようか)です。


夏目漱石のこころに出てくる、Kみたいな境遇、と言えばわかりやすいでしょうか。


なお、養母が、母の姉妹なので、余計に複雑な環境ではあります。


そもそも、実家に置いて、私は構成員として認められてないので、

義理の兄弟の結婚式も行ったことないですし、

義理の父の父、お世話になった義理の祖父の葬式も行ってません。


養父母にとって、私はそんな存在です。


要するに、聖地と言っても。


とあるゲームに出てくる聖杯が、

ある例外的な英霊により汚染され、

人間の願望を最も暴力的な方法で

実現する聖杯になったように、

聖地というのは、

何かしらの黒い願望を集めやすいのかもしれません。


もとから、人の黒い願望を集めるようなところが、

聖地として選ばれやすいのかもしれません。


代々木公園は、かつて一時期、

インターネット上の「踊ってみた」の聖地ではありました。


かつてそこにあったものの、存在を考えれば、

弔いの踊りにはなりますが、

それでも、楽しそうに踊る姿を否定することはできないんです。


おそらくこの先、閉店まで、

聖地に対する思いをぶつけてくる人は、インターネット上に来るでしょう。


天孫降臨ですとか、

神が降りたった場所ですとか、

人は何かしらに聖性をみいだします。


自らがけがれているからこそ、

はらい、きよめるために、

人は、聖地巡礼をするのかもしれません。


宗教的だとは存じますが、

おそらく、こう言った、いきなり実家が聖地になると言う経験は、得難いものでした。


個人的にメリットだったのは、

それまでアニメ、漫画に対して否定的だった母が、正確には養母ですが、

非常にアニメ、漫画に対して肯定的になったことです。


それまでは、否定から入っていたのですが、

様々な事情により丸くなったようです。


そもそも、聖性を勝手に見出されると、人は、神にはなれないので、ある程度は良き振る舞いをしようとするのではないでしょうか。


インターネットで書ける範囲、といいながら、かなりつっこんだことを書いて、申し訳ございません。


人間の心理と言うのは、複雑で、未だにわからないことばかりです。


人外の役を多く演じてきた私には、人の心と言うものがまだわからないのかもしれません。


一般人としての生活と言うのをほとんど経験しないまま、成長してきてしまったので、正直、崇拝されることにも、崇拝することにも慣れません。


人としての生をまっとうしたいとは思うんですが、それを神がお許しになるかどうかっていうのは、また、別問題だと思うんです。


日本でこんなことを書いたら、

まるで新興宗教の教祖みたいとおっしゃるかもしれませんが。


実際に、高校時代の私は、信者がいましたし、いまだに信者は、私がどういう人間かどうか知らないまま崇拝しているかもしれないんです。


まとまらないですが、最後に1つだけ。


推しは、神ではないです。


私も時々うっかり忘れそうになりますが、彼らもただの人です。


性的に搾取したり、

お金で、彼らの肉体にアクセスできたり、彼らの時間を買ったりできるのが今の芸能界です。


LG BT Q差別反対、といいながら、

男役素敵ぃ、とか、女形可愛い、とか言って、

彼らの生き方に、生きづらさに寄り添う人を私は見たことございませんし、

男女差別反対と言いながら、

ガラスの動物園で、身体障害者であるローラを健常者が演じることに、

異議、反対だと申し上げる方を見たことございませんし、

そもそも、皆さん、

差別主義者では無いのですか?


差別をしないと言っている人間ほど、

差別の塊です。


アジア系として、

世界の舞台を見たことがあります。


もしも、世界が舞台に立たなければ、

サイレントの目黒蓮ちょーかっこいー、

とか。


ガラスの動物園に和田琢磨さん出るんだ、うれしー、とか。


もしも、左足が健常者同様に動く体であれば、

皆さんと同じように、

健常者の、健常者による、健常者のためのお芝居だったり、演劇も、

楽しめたのではないでしょうか。


でも私は私なので、

そういった差別まみれの世界で、

差別反対とではなく、

むしろ健常者だけで踊っている姿を見るのはもう飽きたので、

障害者を観客席だけに置くのはもうやめましょう、という提案なんです。


それでも。


健常者同士で踊ってる芝居が面白いと言うのであれば、

そのまま泥沼に沈んでください。


私が芸能界を諦めた理由は、

それにありますから。


現状、今の状態だと、私が女優になるってことは、不可能なんですよ。


キスもしたくない、

性事のシーンお断り、

温のお断り、

メガネ外すのお断りとか、

左足治すのお断りとか、

自分自身を通せば通すほど、

女優の道を諦めざるをえませんでした。


皆さん。頑張ってください。


もう私は勘弁してください。


障害者が1人も出ない芝居なんてくそくらえ。


以上です。

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