指数関数的増加を2のべき乗で考察してみた
幼い頃に折り紙で遊んだことがある人は多いと思う。
紙の厚さを0.1mmとして1回折ると0.2mm。2回折ると0.4mm、3回折ると0.8mm…といったように厚さは2倍になる。折った回数をnとすると紙の厚さは
「普通の折り紙だと物理的に不可能だが、10回折ると厚さは約10cm(10.24cm)でそこそこ高くなる」
「紙を相当大きくしても10回折るのは厳しいだろうね。12回で40㎝(40.96cm)超えるから11回が限度かな」
「12回で40㎝ってことは……14回で1m超えるんだ。10回折って10cmなのに増えるスピード早すぎない?」
「指数関数的増加がどれほど驚異的かわかる例だな」
折った回数を5回ずつ増やして計算すると次のようになる。
15回 3.2768m
20回 104.8576m
25回 3355.4432m
30回 107374.1824m(107km)
35回 3435973.8368m(3435km)
40回 109951162.7776m(10万9951km)
45回 3518437208.8832m(351万8437km)
50回 112589990684.2624m(1億1258万9990km)
「50回目で1億km!? 高っ」
「地球と太陽の距離が約1億5000kmだから、51回目で太陽に届くどころか余裕で超えちゃうね」
「ちなみに、100回折ったときの紙の厚さは約126
「ヨタ?」
「キロメートルの何倍だったかな」
「
「もう大きすぎて意味わかんない」
愛華はそう言って手を竦めた。126Ymは光の速度でも133億年以上かかってしまうほどの距離だ。宇宙の年齢が137億年とされているからスケールの大きさが半端ではない。
「今度は次元をひとつ上げて2次元、つまり平面で考えてみよう」
一辺が1mの正方形の紙があるとする。正方形の面積が1時間で2倍になると仮定したとき、地球を覆い尽くすのにかかる時間はどれくらいだろうか。
「そもそも地球の大きさってどれくらいなの?」
「地球の表面積は約5.1・
つまり、
両辺の対数を取って
log2・n=log5.1+log
n・log2=log5.1+14
n=(log5.1+14)/log2
log2≒0.3010、log5.1≒0.7076より
n≒48.86
「48.86時間。2日と50分ってところだな」
「2日後の紙の面積が約2.8億
「たった50分で2.3億
「関数電卓使ったから間違いはない。対数の値もほぼ正確だ」
太陽の場合も同様に計算してみると、太陽の表面積は6.07877・
log2・n=log6.07877+18
n=(log6.07877+18)/log2
log6.07877≒0.7845、log2≒0.3010より、
n≒62.41
「62時間は2日と14時間。つまり、地球が覆い尽くされてから約半日後には太陽も覆い尽くされてしまう」
「覆い尽くす前に紙が燃えちゃうでしょ」
「確かに。でも、なかなか面白い結果だね。それで、最後は3次元だから立体?」
「ああ。計算を簡単にするために一辺1mの立方体で考える」
体積が1時間で2倍になると仮定して、地球の体積(1.0832・
log2・n=log1.0832+21
n=(0.0347+21)/0.3010
n≒69.88
「小数点以下を四捨五入しても約70時間だから、3日も経たないうちに地球の体積を超える」
「立方体をひとつの箱と見なせば地球が丸ごと入っちゃうね」
「いや、70時間後の時点では立方体の一辺が地球の直径より短いからまだ入らない」
俺がそう言うと愛華が「なんでそんなことわかるの?」と訊いてきた。当然の疑問……なのか?
「立方体は縦、横、高さがすべて同じで1時間後に体積が2倍になるんだから、一辺の長さは2の立方根乗倍、約1.26倍だ。
つまり、立方体の縦、横、高さは1時間で1.26倍。70時間後の長さは
「けど、71時間後には一辺の長さが1万3375kmまで伸びて地球の直径より長くなる」
「なるほど」
「1
そんな箱があったとして地球を入れたら日光が遮られるから人類どころか生物が……いや、これ以上考えるのはやめておこう。
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