第4話 王国到着
漸く王国に到着した俺。
王国は、外側を高い壁に囲まれて、住宅一つ一つが赤いレンガ屋根とカラフルな塗装がされたレンガの洋風建築で、まるで海外旅行に来た気分。
王国だからやっぱり鎧を来た騎士も居た。何故か私服警備も混ざってる。
さぁてと、異世界転生だったら、王国に来たらまずはギルドで冒険者登録が鉄則だろう。と言ってもこの世界が『冒険者』という立場が一般的ってどうかも分からんが。
俺は早速周囲を歩いている人に話しかける。
「あの、すみません。僕、これから冒険者をやろうと思っているんですが、そう言う人にお勧めの場所ってありますか?」
「冒険者ぁ? 旅人なら分かるが……それなら『旅人支援・管理所』ってのがあるぜ?
んまぁ、アンタの言う冒険者と同じもんかな。旅人と言っちゃあ、色んな所を旅するだろう?
だから、戦えない人の為に役立つ仕事をしてお金を稼ぐも良し、ここの政府から頼まれたガチの仕事しても良しって感じだ」
この人初対面の人にめっちゃ親切ー。超詳しく教えてくれんじゃん。
「そうか! ありがとう!」
そうして俺は
受付に言って、旅人登録する。
指示通りに力量計測。
結果は、G〜SSランクあるらしい。
そして俺の結果は……Gだった。
Lv940でG!? ええっと……?
「すみません。これって信用や知識じゃなくて力量計測なんですよね? ランクの基準って?」
「そうですよ。単純に『強さ』が計測されます。ただGランクだからと言って弱い訳じゃありません。これでも『一般人』レベルですから!」
この世界の一般人強ええええ。
「な、なるほど……。さて、旅人登録したけど、なんかやる事ありますかね?」
「モンスター討伐依頼なら沢山有りますね」
受付からパラリと紙を並べられ、どれがいいか、質問される。
俺は選んだ。『王国周辺の魔物駆除』を。
「それは……Bランク推奨ですが……」
「大丈夫。さっき此処に来るまで何とかリザードマン一匹倒しましたから。十匹一斉に来ても何とかなるかと」
「その自信は何処から来ているんでしょうか……?」
俺には自信があった。最初はなかなか苦戦するけど、二匹目以降は攻略法が分かるからだ。まぁ、変わらず激戦は免れないんだろうけど。
「じゃあ行ってくるわ! 一気にランク上げてやらぁ!」
「いってらっしゃい」
依頼内容は王国周辺の魔物駆除。可能な限り倒してくれば報酬はその分増し、俺が目指すは全駆除でしょ。
という訳で俺はノース王国の外に出る。
すると早速モンスターに出会う。恐らくさっき戦ったリザードマンと同じだろう。念の為、分析を掛ける。
──────────────────
名前:リザードマン
Lv:24
スキル:
・筋力増加【Lv30】
・鋼の剛体【Lv28】
・ドラゴンの血筋【Lv3】
──────────────────
あれ? 若干スキルレベル上がってね?
まぁ、良いや。鋼の剛体レベル上がった所で変わらねぇだろ!
「うおおおぉ!」
俺はこの時、何でこんな事しているんだろうと脳裏に過った。本来は高卒で就職して、出社初日のワクワクデーだったのに、突然死亡し、異世界でレベルアップなんかしちゃったりして。はぁ……。
俺はどうせ変わらないだろうとこの前と同じ様に拳を振り上げリザードマンに突進する。
「クケケケッ!」
しかしその一撃はガードもしていないリザードマンの胴体で弾かれ、反動で元居た場所まで戻される。
はぁ!? ちょっとレベル上がっただけであんなに変わるのか!?
「グキャアッ!!」
リザードマンはその様子に笑いながら口を大きく開く。この予備動作は前回の戦闘で炎を吐く瞬間だと俺は知っていた為、すぐに回避行動に移る。
リザードマンの予備動作に真横に向かって飛び込み前転で避けようとする。
その行動は正解だった。前回戦ったリザードマンの火炎放射は、放射状の火炎だったが、今回は直線状の火炎だった。
赤々と煌めくリザードマンの口から放たれる火炎放射は、横を通り過ぎる俺に真面にくらっていたらどうなっていたかと想像させる。
俺は次にスキル【移動速度】で、リザードマンを中央に弧を描く様に走り、遠心力を思いっきり掛けた状態から、リザードマンに向かって飛び込み、空中回し蹴りを後頭部に叩き込む。
「オラァ!」
「クケケケ!」
しかしそんな一撃もリザードマンの鋼の剛体を前では容易に受け止められてしまう。
「くそがあぁ!」
だが、正面胴体とは違って弾かれる事は無く、リザードマンの背後に着地した俺は、背中から生意気に伸ばす、尻尾を【攻撃力上昇】で鷲掴み、背負い投げの要領で投げ飛ばす。
「ギョエッ!?」
「硬ければ良いってもんじゃ無え事を教えてやらぁぁ!!」
投げ飛ばした事で仰向けに地面に叩きつけられたリザードマンに俺は馬乗りの態勢になり、次は口では無く顔面目掛けて、最大限に力を込めた拳を振り下ろす。
拳は顔面に直撃すると、周囲に衝撃波を発生させる。そこで俺は止めずにもう一撃、もう一撃と、連続で叩き込む。
「ぶっ潰れろおおぉ!」
鋼の剛体とはどうやら全身に効果があるらしく、顔面に拳がクリーンヒットしても若干弾かれる力が働く。ただし、俺はその欠点を見つけた。
連続攻撃だ。俺の持つ【忍耐力】はその凡ゆる衝撃に対し、傷ついてもダウンしない抵抗力がある為、敵の攻撃を弾く【鋼の剛体】より使い勝手が良い。
しかしこの鋼の剛体とは、たとえどんなに強烈な一撃でも一撃であれば弾いてしまうのだと。だから連続攻撃は弾く力が間に合わず、若干の弾きはあるものの、いずれその力の前に負ける時が来る。
リザードマンの顔面を殴る度に衝撃波を発生させる俺の拳は遂に、一撃で、大地を数ミリ凹ませる。
「いい加減に……しろおおぉ!!」
一旦殴るテンポを止め、更に力を込めた後、弾き効果を無くした顔面に強烈な一撃を叩き込む。大地は崩壊、地面にクレーターが出来上がる。
「ギョエエエエエ!!」
リザードマンは漸く倒れた。
『レベルアップしました!』
──────────────────
Lv:1265
称号:魔物狩りのサラリーマン
攻撃:980
防御:1110
敏捷:850
魔力:400
スキル:
・移動速度【Lv56】
・攻撃力上昇【Lv52】
・忍耐力【Lv49】
・攻撃範囲【Lv51】
・魔力解放【Lv12】
・分析【Lv15】
・獣の咆哮【Lv5】
──────────────────
お? なんからしいスキルが追加されたぞ? 【獣の咆哮】って……俺が毎度叫んでるからか?
『スキル【獣の咆哮】は、自分よりレベルの低い敵に対し威嚇し、凡ゆるスキル効果を一時的に消滅させます。
但し、相手の【抵抗力】が自分よりスキルレベルが高かった場合は無効となります』
どう見ても無効化される奴じゃーん。まぁ、やってみても良いけどな。
俺は試しに【獣の咆哮】を発動。息を大きく吸い込み、叫ぶ。
「グオオオオォ!!!」
正に獣の咆哮だった。てか、俺こんな声出せたっけ?
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