第3話 ノース王国へ

 これから言われたとおりに王国へ北へ向かう俺。だけど一つレベルについて気になる事があった。


「レベルに上限は無いの? めっちゃ急速に上がってるけど」


『ありません。それとスキルレベルは100に到達すると進化します』


 マジかよ。上限無いって……いや、この成長速度といい初っ端からチートだって事は分かるんだけどさ? 敵強すぎね? さっきのLv18のウルフでさえもアレだぜ? Lv100とかになったら化け物なんだろうなぁ。


『それともう一つ。成長速度に関してはこれが正常です。勿論、上がっていくと感覚的に上がりににくくなって来ますのでご心配無く』


「感覚的にって何? 観覚麻痺する事を言いたいんだよねそれ」


 そんな事を聞いて俺はまた北へ走り出す。スキル【移動速度】は更にレベルが上がった事で最早周りの景色がブレて見える。

 というか王国遠いな。いつ到着するんだろう。

 そう、思っている間に次のモンスターと出会う。早速分析を掛ける。

──────────────────

 名前:リザードマン

 Lv:24

 スキル:

 ・筋力増加【Lv30】

 ・鋼の剛体【Lv23】

 ・ドラゴンの血筋【Lv1】

──────────────────

 ふぁっ!? ドラゴンの血筋とかかっけぇなオイ。 というかスキルレベルが本体のレベル超えてるんですけどぉ!?


 俺は猛スピードで北へ向かう途中でモンスターと出会ったのでそのままのスピードを保ちながら突進する。


「オラァ!!」


 しかし容易に俺の攻撃はリザードマンの両腕によって防がれ、直後両腕を大きく広げ、俺を弾き飛ばす。

 直ぐに俺は弾かれたのをバク宙で衝撃を逃し、リザードマンの懐に滑り込むと、連続キックを繰り出す。

 スキル【移動速度】は、その速さに身体を追い付かせる為に身体能力も同時に向上する様だ。今では足を簡単に真上まで上げられる。


 しかし、分析の結果にあった【鋼の剛体】のおかげか、俺の連続キックは確かにリザードマンの身体に食い込むが、まるで物理攻撃は一切効いていない様子。

 俺の連続キックはそう直ぐには止める事が出来ず、リザードマンは俺の片足を掴み、完全にロックすると、そのまま身体を持ち上げ、何度もビタンビタンと地面に叩き付ける。


「うおおおおぉ!!」


 この際は【忍耐力】により殆ど痛覚は抑えられていた為今回もあんまり痛くなかった。

 ただし、いつまでも叩き付けられているも駄目だ。次に地面に俺の身体が激突する瞬間に両手でそれを抑え、【攻撃力上昇】により増加した筋力で地面を掴む。

 そして次に持ち上げられる時に地面を瓦礫として持ち上げ、リザードマンの頭上まで持ち上げた所で、もう一度叩き付けられる時に、勢いそのままに地面から取り出した岩をリザードマンに投げる。


「ゴキャァ!? ギエエエェ!」

「仕返しだゴラァ!」


 俺は態勢を立て直すと、しゃがんで地面の岩を掘り起こした後、岩の直撃を食らって怯んだリザードマンに近づき、岩をメリケンサック代わりとして、何度もリザードマンの頭部を殴る。

 ゴンッという鈍い音を立てながら殴られ続けるリザードマンだが、やはり同じ攻撃は相手に考える暇を与える。

 リザードマンは突然殴る俺の両肩を掴むと、口を大きく開け、ゼロ距離で炎を吐く。吐いた炎は見た目以上に激しく、周囲の空気を焼き尽くす程に、強烈で、たった一発で周辺は火の海と化する。


「あちちち! あっつ!!」


 炎も【忍耐力】で何とかなるが、火の熱さだけは関係無いらしい。火傷はしなくても人生で感じた物で一番熱い。

 一瞬で火達磨になる俺だが【魔力解放】で消火。このスキル汎用性高えなオイ。


 【鋼の剛体】のせいで物理攻撃全く効かないって思ってだけど、そうでもないと分かったので俺は、熱いの覚悟で周囲の火の海と化した炎を自分の拳に纏わせ、突進する。

 炎を吐くモンスターに炎が効くとも思えないが、意外と自分の技を返されたら痛い事が多い。


「何度でもお返ししてやるぜぇ!」


 このリザードマンは、正面から来る攻撃を両腕でガードする癖がある。

 そんなフェイントを掛けながら、両腕でガードした事でガラ空きの腹部に最初の拳を抉る様に叩き込む。


「ゴキャァ!?」

「オラオラオラァ!」


 俺って実はそんなにオラオラ系じゃないのに、なんの自信が付いているのか戦闘中はどうやら燃えてしまうらしい。

 腹に初撃を打ち込んだ事で怯むリザードマンに、空かさず頭部を掴み、膝蹴りをかますと、倒れる事を想定して、馬乗り姿勢に移行する。


「此処からは俺のターンだぁ!」

「ギエエエェエエ!!」


 リザードマンに馬乗りになった俺は、両手を使って何度も殴る。ドスッといった蜥蜴トカゲの鱗に弾かれながらも無理矢理拳を押し込む音が殴る度に鳴る。

 それから、これで最後の一撃だと殴るのを一旦やめ、片手の拳に最大の力を込める。


「うおおおお!!」

「ウウウウ!! アアアア!」


 リザードマンも次の攻撃に死ぬと確信したのか、力を込める俺の予備動作の隙を突き、大きく口を開ける。

 しかし、先に攻撃が到達したのは俺だった。


「やらせるかぁ!!」


 俺は口を大きく開けたリザードマンの炎を塞ぐ様に、その口、喉奥に向けて強烈なストレートを垂直に叩き込む。

 それの直後か、リザードマンの声は一瞬呻きながらも炎を吐く。

 吐き口が塞がれた事で炎は四方へ拡散する。

 が、俺の拳はその炎を更に纏って強化。若干炎を吐く勢いに拳を振り下ろす勢いが負けるが、俺はそれに全体重を掛けて押し通す。


「ゲロ吐けえええぇ!!」

「ギュエエエエエ!!!」


 拳はついにリザードマンの喉奥に到達。悲痛なリザードマンの断末魔が周囲に響き渡りながら、炎と拳の一撃により、爆発と衝撃波が同時に発生する。

 リザードマンの喉奥を破裂させると同時に大地を砕いた。


「はぁ〜〜……終わったあぁ……」


『レベルアップしました!』

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Lv:940

称号:魔物狩りのサラリーマン

攻撃:755

防御:860

敏捷:540

魔力:300


スキル:

・移動速度【Lv47】

・攻撃力上昇【Lv45】

・忍耐力【Lv40】

・攻撃範囲【Lv36】

・魔力解放【Lv9】

・分析【Lv10】

──────────────────

 うーん。さっきは実感ないとは言ったけどアレだな。レベルアップによって違いが分かるのはレベル10置きかなーなんて。

 ほんの若干の違いだけど……ハハハ。


 そうして俺は更にレベルアップした【移動速度】で漸く王国らしい王国に到着。

 いやー本当に足速くなってたのか分かんねーなこれ。だって集落の人は、『北に行けばあるけど……』ってどう見ても直ぐそこって言ってるじゃん?

 俺の移動速度で多分感覚的に時速200Kmは超えてるんだよね。なのにこんなに時間掛かる? そうなると、集落の人は王国に行く時、恐らくめっちゃ時間掛けるんだろうなぁ。


 あーあ、王国に到着してちょっとは安全なら良いんだけど。

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