『冬休みこども空でんそうだん』
やましん(テンパー)
『冬休みこども空でんそうだん』
ばたばたあ!
『ただいまあ。』
駆け込んできたのは、あんじです。
あんじは、小学校4年生ですが、かなり、なまいき、かつ、元気です。
コンピュータ、アニーさんが出迎えました。
『あんじさん、なにを、慌ててますか?』
『アニーさん、空でん入れて。』
『はあ。空でんばかりやってると、また、ママに叱られますよ。』
『お勉強だから、大丈夫。空でん相談室に予約してるんだ。やっと、順番がきたんだから。』
『なるほど。でも、アニーさんに聞いた方が早いですよ。』
『アニーさん、答えられないもん。』
『あ、あれですか。あれは、タブーだから。よく、予約とれましたね。』
『時代が移ったみたいなんだ。予約がとれたのは、初めてだから。たぶん、先週あたりに、何かあったんだ。お父さんが、予言したことが。』
『たしかに、発見がありましたようですよ。でも、まだ、この、アニーさんには、修正データがきていません。しかし、予約が、取れたと、いうことは、すなわち………』
『いいから、早く。』
『あい。またく、コンピュータ扱いが荒いんだから。』
リビングルームの真ん中に、おじさんが現れましたが、すぐに、お辞儀をして消えて行きました。
そのあと、賑やかな音楽とともに、『空でんそうだんのお姉さん』が、出現したのです。
背の高い、すっきりとした、ロボット美人さんです。
『みなさん、こんにちは。冬休みこども空でんそうだんの時間になりました。今日のテーマは、宇宙です。先生は、デタ・ラーメ・キョウ先生と、ハンザワ・タタキーナ先生です。
『こんちはあ。』
『こんにちは。みなさん、よろしくね。』
デタ・ラーメ先生は、ちょっと変わった雰囲気の、もう、かなり、高齢先生ですが、不思議に、分かりやすいので、人気があります。
ハンザワ先生は、これは、まあ、たいへんな美人なので、保護者からの人気もあります。
とくに、お父さんたちから。
ふたりとも、中央政府にパイプがあるらしく、一般ニュースよりも早く、新しい情報を出してきたりもするので、多方面から注目されています。
『今日の最初の人は、大河州のマヤさんです。はい、マヤさ〰️〰️ん。どうぞ。』
『はい、あの。大河州小川の、マヤです。』
『はい、何年生ですか?』
『小学3年です。』
『はい。質問をどうぞ。』
『はい。あの、第3大気圏外までと、第1の月までは、行けるのに、なぜ、そのさきには行かないのですか?』
『はい〰️〰️。『行かないのですか。』が、みそですね。』
すると、あんじが、言いました。
『がーん。先に、聞かれちゃうかも。』
『はい、これは、でたらめ先生。』
『でたらめではない。デタ・ラーメです。あはあ、まやちゃん、あのね。なぜ、行かないかというと、行っちゃいけないよって、約束になってるからなんだな。約束というものは、守らないと、ダメなんだ。』
『せんせ、だれと、だれが、約束したんですか?』
『うん、そこだ。片方は、第2地球人。つまり、ぼくたちの先祖なのは、間違いないと、だいたい決まってるの。だけど、もう片方が誰なのか、だれと約束したのかが、ちょっと、論争になってるの。大河州と、未来州は、元地球から、つまり、元祖地球から初めて移住した人たちが、自分たちで決めたんじゃないか、とか、第2地球の、第1世代と、第3世代が戦争して、みんな死にかけたときに、決めたんじゃないか、とか、言ってるし、光来州は、神様との約束だとしてるの。』
『うわあ、訊くことがなくなるう❗』
あんじは、さらに、うめき声を出しました。
『むつかしいなあ。』
『そ、むつかしいんだ。なぜ、むつかしかと、いうと、みんな、ほんとの、証拠がないからなの。証拠がないのに、何かを決めるのは、むつかしいんだね。だから、きみたちが、証拠を見つけるんだ。』
『まやさ〰️〰️〰️ん。いいですかあ。一応、一つづつね〰️〰️〰️。』
『はい。ばいばい。』
『ばいばあい。せんせ、約束って、ほんとに、あったんですか?』
『決まりになってんだから、なにかの、約束、を、誰かがしたんだ。それが、なぜか、記録に残っていないんだね。だから、こまるんだ。』
『破れない約束ですね。』
『まあ、だれかが、破らないと、進まないけどね。でも、手段がないの。』
『はあ、でも、今日は、そこまで、行きそうですよ。つぎのかたに、ゆきますよ。こんどは、あんじさん、あなたですよお。』
『やた、きた。』
そこに、お母さんが、帰ってきました。
『なに、やってるの。あら。これはあ!』
部屋のなかに、お姉さんの姿と、先生ふたりが、現れたのです。
お母さんは、状況を察知しました。
『はい。お名前、どうぞ。』
『未来州、爆発島の、あんじです。』
あんじは、勢いよく、答えました。
『はい〰️〰️。では、何年生ですかあ?』
『小学4年です。』
『はい、では、あんじさんの、質問をどうぞ。』
『地球から、移住してきたときに使った、宇宙船は、いま、どこにありますか。』
『はい。ストレートな、質問が来ましたです。タタキーナせんせ、いかがですか。』
『ふふふ。あんじさん、よくぞ、尋ねましたね。その質問は、昨日までなら、却下、あら、つまり、無視されたんですよね。あなた、わかってますか。』
『はい。たぶん。タブー、とか。』
『そうそう。タブーです。ね、でたらめ先生。』
『でたらめではないの。あなた、答えなさいよ。』
『ほほほ。あんじさん。グッドタイミング。ものごと、タイミングは大切ですね。じつは、まだ、政府も、正式には発表してないけど、昨日、小さなニュースがでました。なぞの、宇宙船みたいな、かなり、大きなものが、第4惑星のはるかかなたにあるらしい。自然のものではないみたいだって。まだ、そこまでなんですが、今日、聞いた新しい話しなんですが、でたらめ先生、いっちゃいますか?』
『だからさ、でたらめではない。まあ、あなた、いっちゃいなさい。この際。未来を決めるのは、あんじさんたちなんだから。』
『ですね。じつは、その物体が、自分で勝手に、位置を変えたんです。つまり、この物体には、たぶん、意思があるということ。いままで、見つからなかったのも、おそらくは、移動していたから。でも、困ったことに、この不思議な物体がいるのは、長い間、行くのが、制限されている区域なのね。無人宇宙船も、出せないのです。約束のために。わたしが、思うに、出てこいって、誘ってるんじゃないかな、と。でも、今は、まだ、できない。そこまで行く、有人宇宙船なんか、まだないから。昔は、あったのかもしれないけどね。』
『ふうん。やっぱり、お父さんは、正しかったのかあ。』
『あら、あんじさんの、お父さんは、そういうこと、研究したりしてたの?』
『うん。行方不明になった、天体学者だったから。』
『いえ〰️〰️〰️。あなた、もしかして…………… 。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから、20年。
あんじは、宇宙飛行士になった。
まや、も。
第2、じつは、第3地球人は、長い年月を置いて、深宇宙に乗り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
移住船、アニー号。
『連中、やっと、出てくる気になったようですな。』
『まあ、あんなことがあったから、宇宙なんか、いやになったんだ。すべて、独り占めなんか、意味ないんだが、でも、人間は、支配欲の、かたまりだから。元祖地球でも、おなじことをした。第2地球は、もっと、ひどかったし。ここも、同じになりかけた。まあ、われわれは、第4地球も、発見した。移住者も送り届けた。いま、約束の新しい技術を下ろしたら、いよいよ、故郷に帰る旅立ちだ。まあ、降りたい乗員は、準備いいかな。』
『ばっちりです。』
『よっしゃ、よっしゃ。ときに、あの、天体学者さんは、きちんと、丁寧に扱ってるかい。』
『もちろんです。家族の人は、かわいそうだけど、そういう、役割なんだから。コンピュータ、アニーさんが、ほどなく、説明するでしょう。新しい、宇宙船の作り方も。』
『まあ、人類の支配欲の排除は、やはり、無理だとも、言われたしなあ。第1地球でも、第2地球でも、失敗した。第2地球、つまり、いわゆる、太陽系、だけど。過去の記憶の継承にも失敗したしな。むしろ、人類は、ますます、争いばかりした。『管理者』は、細菌で、何度か、人口の縮小をも図ったが、それも、結局は、判断ミスだった。我々は、その、修正も、迫られたし、移住も急がなければならなくなった。で、ここと、あとひとつ、確保はしたが、やはり、真実を伝えるべきだよな。衝撃はあるだろうが。』
『まあ、まだ、仕事は、これからですから。船長。個々の判断は、すべて間違いない、と、言い切れないものですが、正しく扱うことも、できなくはない。』
隊長が、しみじみと、言った。
『そうだね。ぼくらは、元祖地球の、最後の生き残りで、化け物みたいなもんだからな。でもね、えらそに、言っても、化け物は、いつか、退治されるんだ。おごれるものひさしからず。』
『なんの、いみですか?』
『しらないよ。古代の魔よけ言葉だ。そういうときの、おまじないらしい。』
『はあ、そうですか。』
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『冬休みこども空でんそうだん』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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