第2話 約束

 「だーかーらー。私の彼氏になって。」

俺の頭の中は今までにないぐらい混乱していた。

しかし、中学の事がふと頭によぎった。一気に昂っていた気持ちが冷めた。冷静になった俺は応える。

 「なんの目的だ?」

少しの間沈黙が続いた。

 「なんで目的があるってわかったの?」

 「お前が俺を好きな訳がない。それだけだ」

「へー。その根拠を聞いてみたいけど、まぁいいや。目的は秘密。1年間だけでいいから。お願い。」

 眩しい笑顔を俺に向けてくる。俺にメリットはあるのか。残り少ない命をこんなことに使ってもいいのかと考えていた。

 トイレに行くと言って一階に降りた柚鈴だがその間もずっと考えていた。柚鈴が戻ってきても沈黙が続く。

 「あ、お母さんに言っといたから。私と付き合うことになったって。」

 「は?」

 沈黙を被ったかとおもえばありえないことを言ったのだ。

 「ちょっと待て。俺は了承してないぞ」

「まぁまぁ、怒らないでよ。お母さんも喜んでくれたんだから。」

「話が発展しすぎだろ。」

これは逃げることができないと悟った

 「わかったから。なってやるよ」

 「やったー。文夜ならやってくれると思ったよ」

 「で?具体的になにをやればいいんだ。場合によってはやめるぞ。」

「あー。そうだね〜。じゃあこうしようとりあえず一緒に登下校を行うことと月に2回のデートすること」

これぐらいならいいだろうと俺は考えた。部活もやってないし、どうせ勉強をやっても意味ないのだから

 「わかった」

 「やったー。明日からよろしく。今日から一年間よろしくね。ちなみにやり遂げてくれたら報酬を用意してあるし、その時に理由も教えてあげる」

 柚鈴が俺を選んだ理由を問い詰めたかったが、

柚鈴にも色々あるのだろうと思って。無駄な詮索は避けた。なぜなら本当の彼氏彼女じゃないのだから

 「ああ。まぁよろしく」

一応最後にLINEを交換して柚鈴は満足したように帰った。柚鈴が帰った後お母さんに色々と聞かれたが適当に受け流した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る