第65話("疑似"融合魔法・2年生での生活)




カガリの協力の報酬に融合魔法を教えると聞いたイルマ達は、その報酬の内容に驚いて叫んでいた。



融合魔法ユニゾン・マジックッ!?」


「カガリさんっそれは本当なの!?」


「何でカガリさんがそれを教えることが出来るんですか!?」


「俺でも聞いたことがある凄い魔法だろそれって……」



イルマ達はカガリに詰めよって、何で融合魔法を自分達に教えることが出来るのかとカガリに問いただす。

そんなイルマ達に少し腰を引けながらもカガリは質問に答える。



「何でって、アタシが1人で融合魔法を使える方法を編み出したから使えるのよ?じゃないとアタシ1人だけでは融合魔法は使えないからね。それに、アタシ自身が使えないのにあんたらに教えることなんて出来ない訳だしね」


「ひ、1人で融合魔法を使える方法を編み出したって……」


「………融合魔法は、2人以上の魔法をその名の通り、融合させることで使える魔法。なのに1人でその魔法を使える?………理解不能。」


「いや、その前に融合魔法なんて何処で覚えることが出来たんだ?」



融合魔法ーーそれは、2人以上の魔法使いの魔法を共鳴させることで、魔法を融合させて別の高ランク魔法に繰り上げて放つ技法だ。


しかし、魔法を共鳴させるには魔力の質や魔法の相性、魔力量等条件があり、その為誰でも使える技法ではない。


その魔法の特性上1人では使用出来ず、尚且つ高等技法の上に使い手が少ない為、イルマ達やその周りの人間で、融合魔法が使える者はいない。しかし、その融合魔法をカガリは1人で使用する方法を編み出したことで使えるようにしたのだ。

そのカガリの発言にイルマ達は驚愕する。


イルマ達の驚愕にカガリは融合魔法の詳細を思い出して納得した後、イルマ達に「あっ、そういえば言い忘れてたけど」と追加でイルマ達に教える融合魔法について話し出す。



「まぁ、アタシが使える融合魔法は、裏技を使っての"疑似"融合魔法なんだけどね?その分、本来の融合魔法よりか威力が落ちる代わりに使用難易度や条件は緩和しているから1人で融合魔法を使えるから使いやすいだけどね。」


「裏技?」


「"疑似"融合魔法?」


「………どんな方法ですか?」


「(……裏技を使えば疑似でも融合魔法を使えるってどんな方法何だ?それに、自分で優秀って言うだけあって、1人で融合魔法を使えるとは凄い人だ)」


カガリの裏技についてどんな方法なんだと気になるメラ達。

イルマも1人で融合魔法を使える方法を編み出したカガリのことを凄いと感じる。



「え~っと、融合魔法って用は魔法を共鳴させることが重要だから、要は、魔法同士を共鳴させれたらいいのよね?だから、アタシは自分の発動させた魔法の魔力の質を共鳴出来るように変化させたのよ」



カガリがイルマ達に1人で融合魔法を使う方法を伝える。



「魔法の魔力の質を変化~~?そんなこと出来るのか?」


「普通そんなこと出来ないわよ。出来ても無茶苦茶難しいし、出来ても意味が無いわよ普通。」


「……でも、意味が無いことがなくなった。……それが出来ることで疑似でも、融合魔法を使えるようになるのだから。………でも、メリットだけじゃなくデメリットも有る筈………」


「ーーその通りよ。デメリットは、無理やり共鳴させて1人で使用するのだから本来の融合魔法よりかは威力や魔法の効果等は落ちること。けどね、それでもメリットの方が大きいわ。"疑似"融合魔法は1人でも出来るし、自分の力量以上の魔法が放てるし、従来の融合魔法よりか使いやすくなっているわ!」



「……魔法の魔力質を共鳴させるように変化かぁ~~それは盲点だった。そうか、確かにそれが出来たら理論上1人で融合魔法を本来の方法よりも容易に使用することが出来る。………そんな方法をカガリさん1人で本当に編み出したのですか?」


「そうさ。魔法の開発をしようとしている時に突然閃いて考え付いた方法なんだけどね。その後に訓練したら出来るようになったわけ。」



1人でこの技法を編み出しては習得しているカガリに、イルマ達はカガリの実力や魔法の発明能力に感嘆して口から「凄い」と漏らす。



「まあ、アタシがあんた達に教えるのはその訓練方法だね。」


「………凄い報酬。」


「こんな報酬貰えるなんて………私達はカガリさんの魔法開発で何処まで役に立てるか分からないのに……」


「……ところで俺達は魔法開発で何をしたらいいんだ?」


「……そういえばそうだね。カガリさん。僕達どんな手伝いをしたらいいんですか?それにどんな魔法を開発するんですか?」



イルマ達は、カガリからの報酬に対して何処まで役に立てるかと少し不安を覚える。そこでダンが何を手伝ったらいいのかと疑問を覚え、イルマがカガリにどんな魔法を開発するのかと一緒に質問する。



「あれ、言ってなかったっけ?」



イルマ達は全員が首を縦に振る。



「アタシがあんた達に頼みたい魔法の開発手伝いはね、魔力武器生成魔法だよ!あんた達にもその魔法の開発で、その魔法を覚えて貰い、その魔法についてデータを集めるのに協力して欲しいのさ!!」


「「「「魔力武器の生成魔法ッ!?」」」」


「そっ!魔力で魔法力を持つ武器を生成する魔法さ!接近戦が苦手な魔法使いの常識を壊す新しい魔法さ!」


「ちょっと待ってくれ!俺は魔法が使えないけどどうしたらいいんだ?!」


「そうなのかい?う~~ん、ならあんたには以前開発した身体強化の魔法の実験に付き合って貰おうかな?」


「じ、実験ッ!?」


「あぁ、大丈夫大丈夫。実験って言っても、その開発した身体強化の魔法の効果を実際に魔法を受けてどれくらい効果があるか見るだけさ。丁度、戦士系の職業の人間に使ったらどれくらい効果があるか見たかったしね。」


「っそれなら安心だぜ。」


実験という言葉を聞いて身体を縮みこみビビるダンは、カガリの説明にホッとした様子を見せる。


「あっ、ちなみにこの話は内緒だからね?アタシは誰かに手柄を取られたくないからね。」


「!だからこんな凄い報酬なんですね。口止め料込みという訳ですか。」


「そういうこと。」


カガリの内緒って言葉に、疑似とはいえ、融合魔法を教えて貰える+新しく開発する魔法も結果的に教えて貰える報酬には、口止め料が入っているからだと納得したイルマ達。








そして、カガリからの話を理解したイルマ達は後日魔法の開発に協力するためにカガリから指定された場所に集まることを約束して解散するのであった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カガリと解散したイルマ達。


イルマ達は、授業が無い時は意味での訓練やクエストは一旦休み、カガリとの魔法開発に協力する日々を送る。


勿論、その分授業では訓練を行えない分力を入れて受けていた。



「………であるからこの毒に対してはこの薬が有効で、この薬が無い場合は、そもそもこの魔物とは戦闘を避けるのが一番だ。」



イルマ達、2年生になったAクラスの生徒達は、1年生の時とは違い授業内容が変化していた。


1年生の時は、肉体作りと基礎知識が主な授業だったのに対して、2年生からは魔物についてや毒や薬を扱う授業に変化していた。勿論、此処は冒険者養成所なので、実技を行う授業もあり、全体的にレベルが上がった授業をイルマ達クラスの生徒達はナミノ教官から受けていた。



そして、2年生になってレベルが上がった授業を真剣に受けたイルマ達は、授業が終わった後、カガリの魔法開発に行くために教室から退室しようとするが、その時ナミノ教官から声を掛けられる。



「お前達。最近訓練やクエストを休んでいるみたいだな。」


「「「「ギクッ!!」」」」


「だが、サボっている訳じゃないのは授業態度を見ていたら分かる。………どうかしたのか?」


「(どうするのッ!?カガリ先輩の手伝いは内緒なのに!?)」


「(そうだぜイルマ!ナミノ教官が俺達の行動に疑問を持ち始めているぞ!?)」


「(………ピンチ?)」


「(どうしよう!?ナミノ教官にバレそうだけど何も策が浮かばない!?~~別に悪いことをしていないのに、悪いことを隠しているみたいだ!?)」



『スーーピーー………うん?えっ!どういう状況ですかこれは?!』



ナミノ教官の質問にどう答えたらいいのかと焦るイルマ達。

そんなイルマ達と最近やることがなくてよく寝ているミルンがある意味タイミング良く起きては状況が理解出来ずに混乱していた。



「…………まぁ、悪いことをしていなかったら授業が無い時間は別に自由にしてもいいだがな。」


「「「「(っほ!!)」」」」


『???どういう状況ですか~~!?』


言い訳を思いつかないイルマ達。しかし幸なことにナミノ教官からは追及の手はなかったことにホッとするイルマ達。だが、



「しかし!」


「「「「ッ!?」」」」


「この間にも他の奴等は必死で訓練したり、クエストをこなしてギルドの評価を上げていることを忘れるなよ?」


「「「「ッハイッ!!」」」」



イルマ達の最近の行動についての追及の手を止めたナミノ教官は、イルマ達に周りはその間にも必死に踠いていることを頭に入れておくようにと話す。その言葉にしっかり目を見て返事をするイルマ達になら安心かとナミノ教官はイルマ達に注意するのを止める。


ナミノ教官の話が終わり教室を退室しようとするイルマ達にナミノ教官は、「あっ、それと…」と声を掛ける。



「気をつけろよお前達。最近養成所に入った1年生の中に貴族がいる。」


「貴族ですか?」


「ああ。お前達は、何かと目立つからな。そうすると自然に目について、貴族から絡まれるかもしれないから一応注意としてお前達に伝えとかないと思ってな。」


「………ありがとうございます。そうですね、僕達も出来るだけ注意します。又、何かあれば教官に相談します。」


「ああ。俺が力になれることならなってやるから、何かあれば言うように。まぁ、貴族に絡まれないようにすることが一番良いことなんだがな?」


「はは、そうですね。気をつけます。」


これで本当に話は終わり、今度こそイルマ達は教室を退室して、頭の中に貴族注意と入れてカガリの元に向かうのであった。

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