第28話(森の奥での戦い)




森の異変が進んだことをまだ知らないイルマ達。

そんなイルマ達は、自分達の成長を実感したことで、森の奥に進むことを決意し進んでいた。





森の奥は森の浅い所と違い、魔素の影響で森の木自体が大きくなり、無計画に入った者を迷わす魔力を発している。

なので、森の奥には魔物だけではなく、自分の現在地をしっかり把握することにも気をつけないといけない。


その為、森の浅い所はある程度強さがあれば入ることに制限は無いが、森の奥には強さと索敵系能力を持っていないと入る許可が出ない。


しかし、そんなことを気にした様子もなく、イルマ達は森の魔物と異変だけを気にして、森の奥を進んでいた。



「ー本当に便利ね。イルマの固有技能【メニュー】は。」


「本当だぜ!いちいち周りを確認しなくても【メニュー】を見れば自分達の現在地と周りの位置が分かるんだからな!」


「イルマの固有技能は利便性なら私達の固有技能の中でもピカ一。」


「いつもは、荷物用技能みたいにしか使ってないけどね。」



そう、イルマ達はイルマの固有技能【メニュー】でいつでも簡単に自分達の現在地と周りの位置が分かる為、他の冒険者達みたいにその都度、自分の現在地や周りの位置や方角等確認する必要や迷う心配もないのだ。


ただし、行ったことのない場所までは【メニュー】でも知ることは出来ないが、それでも十分便利で、他の冒険者が知れば喉から手が出る程欲しい技能である。

何せ、その能力以外にも荷物を持たなくてもいいアイテムボックスなどの能力もあり、イルマ達は最低限の荷物さえ持っていればいいのだから。


本当に固有技能の【メニュー】は探索向きの技能であり、他の固有技能も含め、イルマの固有技能の利便性については4人の中でも随一頭が抜き出ている。



「うん?」


「どうしたイルマ?」



イルマの反応にダンは声をかけ、メラやシーラは何かあったのかと思い、イルマに顔を向ける。



「いやー何か聞こえたと思ったんだけど……」


「それは今は聞こえるのか?どっちだ?」



イルマは耳を澄まして音が聞こえた方を確認する。

しかし、何も音は聞こえてこない。


何の音もしないなぁ~

……聞き間違いかなぁ?


「うーん、今は何も聞こえないんだけど……こっちからだったと思うけど……」



イルマは音が聞こえたと思った方に指を指し、皆の視線はイルマが指す方へ向く。


しかし、イルマが指した方には何もなかった。

イルマは念のため、技能≪気配察知≫を発動するも、≪気配察知≫には何の反応もない。

イルマ達は、聞き間違えかもしれないと思い、先を進もうとした時!!




「「「「!!!!」」」」



イルマ達の上空から突然、複数体の鳥の魔物がイルマ達を襲ってきた。

虚をつかれたイルマ達は、完全に後手に回り、鳥の魔物の攻撃を防いだり、避けるのに精一杯だ。



「何で!?イルマの≪気配察知≫には反応なかったのに!」


「ッメラ!そんなことより攻撃を避けて!急すぎて、魔法や【不浄聖鈴】を発動して防御が出来ない!」



イルマも≪気配察知≫に反応なく襲撃してきた魔物に驚いていたが、接近戦が出来るダンはともかく、メラやシーラが魔物の攻撃に対して対応が遅れて危ないことに気づく。

それは仕方ないことだ。何せ幾ら鍛練で2人とも戦闘向きな魔法や接近戦が出来る新しい力を習得したとはいえ、後衛職の2人が急な襲撃の攻撃に対応出来る訳ではないからだ。

そして、イルマは戦場の全体を見ては鳥の魔物が攻撃しにくい木の下にメラとシーラを一度態勢を立て直す為にも、退避させることを決める。その為イルマは、ダンを2人が退避する間の護衛に回し、自分が囮になることにした。



「ダン!一旦、木の下までメラとシーラを連れて下がれ!」


「っわかった!!でも、イルマはどうするんだよ!」


「僕はコイツらを引き付ける!」


「何!?ーちっ、わかった!気をつけろよー!!」



イルマの指示に意見しようとしたダンだが、その間にも鳥の魔物の攻撃は続き、後衛職や支援職のメラとシーラの2人は鳥の魔物の攻撃の対処が出来なくなってきた為、イルマなら最悪何とかなると思い、メラとシーラを優先し、ダンはメラとシーラを守りながら木の下まで退避する。


イルマは、ダン達が一旦、鳥の魔物が攻撃しにくい木の下に退避するのを確認せず、そのまま1人で襲撃してきた鳥の魔物を引き付ける為、鳥の魔物に魔法を放つ。

その後、挑発した上で技能≪疾走≫や≪脚力強化≫発動し、集中する攻撃を避けていく。



イルマはある程度避けて時間を稼いでいたが、反撃の為、空を飛んでいる物に効果的な風の魔法を使用する。



ー風魔法ー


≪ウィンド・ハリケーン≫ー風の竜巻ー


ヒューヒューヒューヒューーーン!!





鳥の魔物達は突然の竜巻に驚き、体勢を崩し、一旦イルマから距離を取る。


鳥の魔物達は、今の攻撃でこの場で誰が一番脅威なのか感じ、標的をイルマに絞り様子を伺う。


(よし!完全に引き付けることに成功したぞ。それに、そうやって警戒してる今の内にお前達の正体を確認してやるぞ!)


イルマは敵を完全に引き付けるのに成功したことと、向こうが警戒してる間に固有技能【開示】で鳥の魔物の正体とステータスを確認するのである。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


クロォー・カラパイア×3

レベル27

技能…≪気配遮断≫≪迷彩≫≪蹴激≫


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


(クロォー・カラパイアだって!!)

(山に生息する魔物だぞ!?何でこんな森の奥にいるんだ!?)

(これも森の異変のせいか!?出現数の増加以外にも影響を与えているのか!?)



イルマは固有技能【開示】の内容に驚く。

そう森の異変は、出現数と魔素の増加、≪魔物使い≫の出現、そして、本来生息していない魔物の出現まで影響を及ぼしていたのだ。


(……確かに、鳥の魔物の正体とそこまで森の異変が影響を及ぼしているのは驚いた。でも、これでコイツらの急な出現の理由もわかった!そして…対策もだ!)


イルマは固有技能【開示】の結果に驚くが、襲撃者の正体が分かり、突然の襲撃の理由と対策が判明したことに笑みを浮かべる。

ちょうどその時、ダン達の反撃の態勢が整った報告がきた。



「イルマ~!待たせたな!」


「ダン!そっちはもう大丈夫なの?」


「バッチリだぜ!」


「囮ありがとうイルマ!こっちはもう大丈夫よ。ーコイツら〰️倍返しにしてやるんだから!」


「ダン、イルマの元に行って。ー【不浄聖鈴】!ーこっちの護衛はいいから。」



ダンは2人の護衛の意味がなくなったのでイルマの元に走ってくる。

そして、メラとシーラの方を見ると、メラは自分の周りに幾つもの魔法を浮かべていた。

そのメラの横にはシーラが、自身の固有技能である【不浄聖鈴】を発動させてはメラとダンに自分の守りだけではなく、それに加えて自分から離れた位置にいるイルマにもその力を与え、守りと支援を固めていた。



…………ということは、これでイルマ以外も攻撃に移れるようになったということだ。


「………反撃開始……だね!」


これでイルマ達は、体勢を立て直しが完了し、襲撃者に対しての反撃の準備が整った。





~《クロォー・カラパイア》視点~


《クロォー・カラパイア》達は森の奥で子供4人組を見つけた時、何でこんな所に子供達がいるのかと不思議と思っていたが、楽に狩りを出来るに越したことはないと思い胸に抱いた疑問を気にせずに、いつもの狩りのように気配を消す技能≪気配遮断≫と、視界を誤魔化す技能≪迷彩≫の自身達の技能を発動して獲物である子供達に襲いかかった。


しかし、


その奇襲の襲撃で獲物である子供達4人組を簡単に狩れると思っていたが、子供達4人とも自分達の奇襲の襲撃に気づいていなかったのにも関わらず防御、もしくは回避を行うことで中々攻撃が当たらなかった。


それどころか子供の中の1人は、魔法での牽制に挑発を行ってきて、挙げ句に自分達が苦手な≪風魔法≫で飛行の妨害をしてきた。その風魔法の竜巻攻撃には空を飛ぶ自分達は墜落の危険が有り、堪らず≪風魔法≫を使ってきた子供から慌てて上空に上昇することで距離を取った。


幸いなことにも自分達の誰もが、その≪風魔法≫で墜落や仕留められることはなかったので、体勢を立て直してはその≪風魔法≫を使う子供の攻撃さえ気をつければ他の子供達は避難していたこともあって怖くないと考えた。


だが、《クロォー・カラパイア》達はいつの間にか≪風魔法≫を使う子供以外の子供達からも自分達が狙われていることに気づく。

その事から≪クロォー・カラパイア≫達は楽に狩れる獲物が実は、牙を隠し持った厄介な獲物だったと認識を改めた。


イルマ達のことを厄介な獲物だと認識を改めた《クロォー・カラパイア》達だったが、それでもいつもの通りに技能≪気配遮断≫と≪迷彩≫を使い、狩りの仕方を変えることなくイルマ達に攻撃を繰り出すのである。


厄介な獲物にこそ、

いつもの狩りと違う狩りの仕方をするのはリスクが高いと判断したからだ。


そして、


技能で"姿と気配"を消し、油断さえ消した自身達の攻撃は今度こそ獲物達に多少なりとも獲物に与えれると思っていた。

しかし、そんな《クロォー・カラパイア》達の攻撃はイルマ達に当たることさえなく外れた。



ー何故だ!?ー


ー気配も感じない、姿は見えてないー


ーなのに何で自分達の攻撃が当たらないんだ!?ー



《クロォー・カラパイア》達は、自分達の本気の攻撃が防がれる処か当たることもなくて驚きを隠せない。


そんな《クロォー・カラパイア》の驚きも当然だ。


気配を感じない、姿も見えない、そして本気のの攻撃。こんな条件が揃った敵の攻撃を普通は避けれない。なのに実際は、そんな攻撃がイルマ達に当てることさえ出来ないでいた。


その現実に、≪クロォー・カラパイア≫達はどうしてなのかと理由が分からず困惑していた。


勿論、イルマ達がそんな《クロォー・カラパイア》達の攻撃を防御さえせずに避けて防げていたのには理由があった。


その理由とは、イルマが固有技能【開示】で、襲撃者の正体と突然の襲撃をされた理由を知ることで、その対策をメラ達に伝えては実行していたからだ。


気配を察知することが出来ず、


姿さえも見えない相手。


そんな相手とそんな相手からの攻撃を捉える為、イルマ達は普段から行っていた感知方法を切り替えたのだ。


ダンは技能≪空間認識≫で、空を飛ぶ際に動く風の動きを感知。


メラとシーラは、技能≪魔力感知≫で《クロォー・カラパイア》が技能≪迷彩≫を使って、姿を誤魔化す際に発生する魔力を感知。


振動と魔力、これらを感知することに切り替えたイルマ達は、そのことで気配と姿を消した相手を感知していたのだ。


だが、これだけでは気配と姿を消した《クロォー・カラパイア》達の動きが正確にはわからないので、そこは自身も技能≪魔力感知≫≪空間認識≫に加え、≪魔力視≫で得た情報をイルマが皆に伝えることで補っていた。


その為、幾ら《クロォー・カラパイア》達が技能≪気配遮断≫や≪迷彩≫で、気配を消したり姿を誤魔化して消していても、その動きはイルマ達には感知されていたのだ。


そのお陰でイルマ達は、《クロォー・カラパイア》達の見えない攻撃を防いでは反撃したりと攻防を繰り広げていた。


そして、


《クロォー・カラパイア》の強みである奇襲攻撃が通用しなくなった今!

イルマ達にとって《クロォー・カラパイア》達は強敵ではなくなった!


「皆!決着をつけるよ!!」


「「「おう(うん)(わかったわ)!!!」」」


そうしてイルマ達は攻防を繰り広げていたが、そろそろ決着をつける為にイルマは先ず《クロォー・カラパイア》の動きを制限し、接近して致命傷を与える為の攻撃をするために、上空高くにいる《クロォー・カラパイア》達に届く足場を作り出すことを決めた。


ー木魔法ー


≪ツリー・グロォズ≫ ー木々の発芽ー


パキパキ、ゴォーーゴォーー


行動の制限と接近戦を行う足場を作り出す為、イルマは木魔法である≪ツリー・グロォズ≫、"木々の発芽"を発動させた。そのことで、地面からは空に向かって木々が勢いよく生えては《クロォー・カラパイア》がいる上空辺りを包囲した。《クロォー・カラパイア》達は木々が突然勢いよく生えてきたせいで、木々が邪魔で自由に飛べない様子だ。


そして、その隙にイルマとダンは地面から生えた木々を足場にして一気に接近する。

自由に飛べず四苦八苦していた《クロォー・カラパイア》達だが、そんなイルマとダンの接近を察知しては上空に昇って距離を取ろうとするが、何かにぶつかり距離を取ることに失敗した。


「駄目、逃がさない」


それはシーラが、イルマとダンの援護で《クロォー・カラパイア》達の逃亡を防ぐ為に結界を張ったからだ。

だが、逃げられなくても届かなくすればいいと思った《クロォー・カラパイア》達は、イルマとダンの足場である木々を技能≪蹴激≫で破壊しだした。


──ガン、ガンッ!!


「っ!」


「くそっ!」


《クロォー・カラパイア》達のその行動に、足場が無くなったイルマとダンは悔しそうな声を漏らしては地面に向かって落下していく。



「「!」」


そして、地面に向かって落下していく無防備のイルマとダンに向かって、《クロォー・カラパイア》達は今がチャンスと言わんばかりに追撃してきた。


「させないわよ」



しかし、


そんな地面に落下していく2人が追撃されない為に、メラは自分の周りに展開している魔法を放って牽制し、《クロォー・カラパイア》達の追撃を阻止する。


そのメラの魔法は《クロォー・カラパイア》達に距離もあったこともあり避けられたが、本来の目的であるイルマとダンに対しての追撃は阻止したのである。



「メラー!!俺に、俺に魔法を寄越せぇぇぇーー!!」


そんな時、地面に着地したダンは着地した瞬間に、メラに自分に向かって魔法を寄越すように要求してきた。


~ダン視点~


くそ!足場を壊された!

これじゃあ接近出来ねえ。

………どうする?どうする?

俺もイルマも、アイツらに足場を壊されたせいで地面に落下してる。

イルマやメラの魔法で打ち落としてもらうか?

………駄目だ。メラの魔法の速さだと、今さっきの牽制みたいに、上空高くにいるアイツらには避けられる!

イルマの風魔法や、イルマの能力値ならこの状況でも何とかなるかもしれねえが、それだとイルマがいないと何も出来ねえみたいじゃねえか。


足場を壊されて地面に落下中のダンは、地面に着地するまでの僅かの時間の中で、頭の中で次の手を考えていた。


メラの魔法の速さだと、アイツらと距離も有って中々当たらない。

だったらシーラの結界で、アイツらの周りを囲って攻撃を避けれないようにするか?

………いや、シーラの結界はアイツらを逃がさないように既に上空に展開してる。

その上、シーラの能力だと更に結界を張るのは厳しい筈だ。


………なら他にアイツらに攻撃を避けられる前に当てて、その上倒す、もしくは動きを止めたり次に繋げることが出来る攻撃だと何が有る?


シーラの風魔法や水魔法は威力が足りねえし、あそこまで上空高く届かねえ。氷魔法は新しく覚えた関係でそんな強い魔法を使えねえし、遅い。俺も遠距離攻撃を出来るようになったといえど、闘気の刃を飛ばす闘気刃:烈は速さや攻撃距離は問題なくても威力が足りねぇ!

だけど他の遠距離攻撃だと、メラよりも速くて威力が有る攻撃を出来るのはイルマしか出来ねえ。


………でも、それだと結局イルマにだけ頼ることになる。ここでイルマに甘えていたら、この先もイルマがいないと俺達、俺は何も出来なくなる!


ならどうする?

メラの魔法以上の速さで、最低でも次の攻撃に繋げるだけの威力が有って、それでいて攻撃が届く方法…………


次の手を考えるダンは、その次の手が浮かばなくて思わず同じく地面に落下しているイルマに視線を向けた。


イルマ…………高い能力値に豊富な技能。それに加えて剣に魔法、肉弾戦も出来る。それに必殺技として魔法と気、それに加えて技能を合わせたとんでもない一撃必殺技を持ってる凄い奴だ………

………俺もイルマみたいに一撃必殺技が欲しくて、鍛練の時何度かイルマの必殺技を見せてもらったな……………うん、待てよ?魔法と気に技能を合わせる?………技能は無理でも、魔法メラが協力すれば魔法と気だけなら合わせることが出来ねえか?




────それだ!



イルマの姿を見たダンの頭に、ある考えが思いつくのであった。


~ダンの視点から全体へ~


「メラー!!俺に、俺に魔法を寄越せぇぇぇーー!!」


「!?魔法を?…………分かったわ!」



そんなダンの要求にメラは意味が分からなかったが、ダンの目を見てはダンを信じて迷わず自分の周りに残していた魔法をダンに向けて放った。


ーーウォォーー!!ーー


メラに魔法を要求したダンは、闘志を高めるかのように雄叫びを上げ、その高めた闘志を放つように闘気を発動させた。そしてダンは、その闘気で応用技である闘気刃を発動させては、その闘気刃に自身に向かって放たれたメラの魔法をぶつけた。


「!」


「なっ───」


そのことで、ダンの闘気刃とメラの魔法は激しく音を立てては辺りにその力の余波が漏れる。


「ぐっ………!うぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

───バチバチバチバチバチッ!!


そして激しくぶつかり合う闘気と魔法の2つの力に、その2つの力を受け止めるダンは苦痛を含んだ声を上げる。


「うぉぉぉぉぉおおっ!メラ!《魔力付加》もくれぇーー!!」


「!───わかったわ!…………技能魔力付加!!」


───バチバチバチバチッ!…………バチ、バチ…………


「───ダンの闘気とメラの魔法が、………合体していく」


メラの魔法が《魔力付加》の技能のお陰で、激しくぶつかり合っていたダンの闘気と次第に合わさっていく。


そして、


「…………ぐっ、これで完成だ……!」

──バチ、バチ、


激しくぶつかり合っていたダンの闘気刃と、メラの魔法の2つの力が合体して1つになった。


「──合体技!必殺"闘魔剣"!!」


「闘魔剣………」


「凄い」


そのダンが生み出した"闘魔剣"のその力を感じては、イルマ達は感嘆の声を漏らす。

そして、ダンが生み出した"闘魔剣"のその力はイルマ達だけではなく上空にいる《クロォー・カラパイア》達にも届いた。その為上空にいる《クロォー・カラパイア》達は闘魔剣を持つダンに向かって激しく威嚇するが、その威嚇の声には端から聴いていても畏怖の感情が籠っていることが明確だった。


「──っいくぜ!!」


そして、ダンはそのまま《クロォー・カラパイア》達に攻撃を仕掛けようとする。


しかし、


「ダン!それをどうするつもりよ!」


「待ってダン!そのままだと"届かない!"」


「………幾ら凄い力でも、届かないと意味がない」


「──っわかってるよ、|!!それを補う為に、俺達は鍛えたんだろ!」


「!(まさか!飛ばせるの!?)」


剣を振りかぶるダンにイルマ達は、攻撃が届かないのにどうするのかと声を上げるが、そんな声に対してダンはその為に鍛えてきたんだろ!と叫び、ダンは闘魔剣をまるで闘気刃:烈を放つかのように構えた。


「──────喰らえー!

これが俺の新必殺技、"闘魔剣:烈"だぁーー!!」


そのダンの声と共に、メラの魔法と《魔力付加》の技能の協力の下に完成したダンの新必殺技である闘魔剣は、闘気の応用技である闘気刃:烈として上空高くにいる《クロォー・カラパイア》達に届き、闘気刃:烈の威力不足を解消する力を発揮しては《クロォー・カラパイア》達を切り裂いた。







ダンが放った闘魔剣:烈は、魔法よりも速く、それでいて闘気と魔法の2つの威力が合わさったことで、イルマの魔法と気と技能の3つを合わせた 練波連激よりかは威力が低いとはいえとんでもない力を発揮しては《クロォー・カラパイア》達に襲いかかった。


そんなダンの闘魔剣:烈の攻撃を、《クロォー・カラパイア》達は防ぐことも出来ずに喰らい、切り裂かれた。


しかし、


《ガァア!?ガ、ガァァァー!!》


そんなダンの攻撃で全ての《クロォー・カラパイア》を倒すことは出来なかった。


そう、ダンの攻撃は速くてそれでいて威力は十分に足りていたが、ダンと《クロォー・カラパイア》達まで距離があったこともあり何匹かは避けることに成功してしまったのである。


そして、


ダンのとてつもない攻撃から生き残った何匹かの《クロォー・カラパイア》は、切り裂かれた仲間の死体の姿を見ては恐怖し、再度逃亡しようとするがそんな逃げようとした視線の先にイルマの姿があった。



≪≪グェー!?≫≫


「足場は壊したと思ったかな?残念だったね?君達が僕から意識が逸れた隙に木ではない新しい足場を新しく作ったんだよ。どう?見えるかな?」


そういうイルマの足元には、木の足場ではなくシーラの氷魔法によって見えずらく出来た足場があった。


《ガァア!?》


「行って、イルマ」


「ありがとう。助かったよシーラ」



そして、イルマは足場を作成してくれたシーラにお礼の言葉を告げては、いつの間にか接近されて驚愕している生き残った《クロォー・カラパイア》達に、更に距離を詰めては必殺技を放つ!



≪終わりだ!≫


ーー【練波連激ソウル・バースト!!】ーー


ドォォーーン!!!



≪グェーー!?!?≫




イルマの必殺技、【練波連撃】が生き残った《クロォー・カラパイア》を全滅させるのであった。












ーー今回登場した新技ーー


"闘魔剣"……イルマの闘魔技法剣を参考に、ダンが自身の闘気刃とメラの魔法が技能魔力付加によって生み出した合体技。技能がない分イルマの闘魔技法剣よりかは威力が劣るが、闘気剣と魔法の威力が合わさった強力な技。


"闘魔剣:烈" ……闘魔剣バージョンの闘気刃:烈。闘気刃:烈の威力不足を解消した技。

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