第25話(森の探索2・森の強者)
──ポタポタ
────────ニィィィ
イルマ達の前に姿を現した≪ブラッディー・ベアー≫は、
そして、《ブラッディ・ベアー》はイルマ達に向かって威嚇するようにその大きな口を開いては吼えた。
【ガォォォォォォーーーッ!!!】
───ビリビリッ!!
「「「「!!!!?」」」」
その≪ブラッディー・ベアー≫の大きな咆哮と咆哮によって生じた衝撃に思わず身体を固まらせるイルマ達。
──ニタァ……
その自分の咆哮により身体を固まらして動きを止める獲物を見てはブラッディ・ベアーは嗤いを更に深め、動きを止めた獲物を仕留める為に一番近くにいた
「ッ!?、ダン避けろ!!」
─くそっ、間に合わない!?
「「だっダンッ!?」」
──危ない!
──避けて!
───ドォォォーーンッ!!
「「「!?ダンッ!!」」」
──ニタァ…………………………???
イルマはブラッディー・ベアーの咆哮による身体の硬直化から能力値が高いお蔭で一番先に回復するが、ブラッディー・ベアーが狙ったのは硬直化から回復したイルマではなく、まだ硬直化が解けてなかったダンであり、イルマは硬直化から回復したばかりもありダンに警報を発するしか出来なかった。そして、メラとシーラも身体の硬直化はまだ回復してなかったが、場所的にブラッディー・ベアーからの攻撃が見えており、距離が遠かったことから声を出すことが出来たこともあり大声で狙われたダンの名前を叫んだ。
しかし、ブラッディ・ベアーの豪腕の右腕はダンに向かって振り下ろされ、その結果辺りに激しい地響きを響き渡らせた。
「ダン!!………って、地響き?」
「───っ危ねぇーー!!」
「「ダン!!」」
だが、地響きの音におかしいと疑問を覚えたイルマが辺りを見た際、ブラッディ・ベアーの攻撃を間一髪で避けたダンの姿を発見する。
そのダンの無事の姿を見たメラとシーラは、先程とは別の意味でダンの名前を叫んだ。
そう、先程ブラッディー・ベアーがダンに向かって振り下ろした右腕は地面を砕いただけの結果だったのだ。
その証拠にブラッディ・ベアーの攻撃を避けたダンには傷は無く、間一髪攻撃を避けれたことで冷や汗を流すダンの姿があった。
【グル!?───ガアァァァァーー!!】
そして、ブラッディ・ベアーは咆哮により身体を固まらせて動けない獲物に対して放った自分の攻撃が、自分の右腕に獲物を仕留めた感触がしていないのが不思議と思い、振り下ろした右腕の先を確認すると砕かれた地面だけが写る。
それを知ったブラッディ・ベアーは、予想以上に相手の硬直化が早くに解けたことに驚くがそれ以上にこの結果に怒り、悔しそうに声を上げる。
「チッ!ちくしょうが!!身体が思わずアイツの咆哮にビビって固まっていたぜ!」
「でも良かった!!よく避けたよダン!」
「心配したわよ、ダン!」
「よく避けた!」
ダンが無事にブラッディ・ベアーからの攻撃を避けれたことに安心するイルマ達。
ダンはそんなイルマ達からの心配の声は余所に、ブラッディ・ベアーの咆哮にビビった自身に対して悪態を吐いていた。額からは汗が幾つも流れていることから、あの咆哮による硬直化からの攻撃にはかなり焦った様子が伺える。
【ガル、ガルルルルルル!!】
「!」
≪ブラッディー・ベアー≫は、
その為、ブラッディ・ベアーの
「ダン、気を付けて!コイツの
「──ああ、分かってるぜイルマ。攻撃を避けられた苛立ちからか、コイツの敵意がビンビン俺に向いてるのがな!」
「イルマ、シーラ!私達も攻撃をしていくわよ!」
「当然!僕達もブラッディ・ベアーに攻撃を仕掛けてダンを援護だ!」
「守りの援護は私に任せて」
イルマ達もダンに≪ブラッディー・ベアー≫の
「(ダンにコイツの敵意が向いてる今がチャンスだ。今のうちにコイツの力を【開示】で暴く!)」
そんな中イルマは、ブラッディ・ベアーに攻撃を仕掛けてはダンの援護をしながらも、ダンに
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ブラッディー・ベアー
レベル33
技能…≪身体強化≫≪魔力放射≫≪咆哮≫≪魔力感知≫≪血液毒素≫
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
イルマの固有技能【開示2】で判明したブラッディ・ベアーの技能だが、
─────────────────
・技能≪身体強化≫
≪腕力強化≫≪脚力強化≫の身体強化系の身体全体版の技能だ。≪腕力強化≫等一部分の強化の技能と比べると強化率は低いが、身体の全体を満遍なく強化することが出来る戦士系には欲しい技能だ。
・技能≪魔力放射≫
魔法系技能である魔力放出と違い、魔力その物を攻撃的に放射すること技能である。尚且つ
・技能≪咆哮≫
※(イルマ達が硬直化が早く解けたのは、ブラッディ・ベアーに対して恐れが少なく、ステータスも大きな差がなかったことが理由である。だが、それは≪ブラッディー・ベアー≫の方が現状イルマ達よりも強い証拠でも有る)
・技能≪魔力感知≫
これはイルマ達も持っている技能で、その名の通り魔力を感知する技能である。多分この技能≪魔力感知≫でメラの魔法を感知したから、森の奥に生息している≪ブラッディー・ベアー≫がこんな森の浅い所に来た原因の1つだとイルマは予想していた。
・技能≪血液毒素≫
この技能は、≪ブラッディー・ベアー≫の名前の由来になっている技能でもある。技能≪血液毒素≫は、その名前の通り体内の血液に毒素を含ませる技能である。
────────────────
「(流石Bランクの魔物で森一番の強者。ステータス値やレベルが高いな……技能の方は前にドランさんに聞いていた通りの技能を持っているね)」
イルマは自身の固有技能、【開示2】によって確認した≪ブラッディー・ベアー≫のステータスを視て、以前ドランから聞いていた戦い方や技能を思い出しては持っていることを確認。
それに加えてブラッディ・ベアーの戦闘方法についてもイルマは思い出す。
普段は森の奥に生息しているブラッディー・ベアーだが、その戦闘方法は始めに技能≪咆哮≫で相手を硬直化させて相手を仕留める。次に技能≪咆哮≫が効かない相手には、技能≪身体強化≫と技能≪魔力放射≫を使い獲物を仕留める戦い方をする。そして、獲物を見つける、逃げる、隠れる相手には技能≪魔力感知≫で逃さない。
更にブラッディ・ベアーはレベルとステータスの高さでも強い魔物だが、ブラッディー・ベアーがBランクに指定されてる大きな理由は、技能≪血液毒素≫の存在だ。
何故ならブラッディー・ベアーは、他の技能を使っても倒せない相手には自身の爪の先から血液を流し、技能≪血液毒素≫により毒攻撃を使ってくるからだ。他にも、ブラッディ・ベアーは自身が倒されそうな程の傷を負って弱っている時でも、この技能≪血液毒素≫が有ることから逆に毒を喰らう可能性が高くなり、最後まで油断が出来ない魔物なのだ。
……血だらけでも獲物を毒によって倒すことが出来る能力を持っているから、この魔物には【
「(
≪身体強化≫≪魔力放射≫≪咆哮≫≪魔力感知≫≪血液毒素≫ の5つ!《咆哮》はさっき硬直したあれで、アイツに恐れを抱いたら硬直化のリスクが高まる技能だ!他にも《魔力放射》は魔力を放射して攻撃する技能で、一番気を付けないといけないのは《血液毒素》の技能だ!アイツの血液はこの技能で毒を持っている。だから、最後まで油断しないで!」
イルマは【開示2】で判明した≪ブラッディー・ベアー≫の情報に対して、ブラッディ・ベアーの息の根を止めるまでは油断が出来ないと認識し、そのことも含めて出来るだけ皆に簡潔に伝える。
「それとダン!」
「ハァッ────何だ、イルマ?……アイツの敵意……まだ俺に集中してるから手短に頼むぜっ!」
「わかってる!ただ、厳しいことを言うけど剣での攻撃は技能≪血液毒素≫の効果を増長させてしまうから、攻撃は剣を使わないで欲しい!剣は防御のみでお願いだ!」
「何!?なら俺は、闘気か素手でしか攻撃が出来ないのかよ!?」
ブラッディ・ベアーの
「その通りだよ!でも、アイツ相手に闘気や素手の攻撃だけだと効果は薄い。だからダンは防御に専念して、攻撃は僕かメラの魔法で担当する!それならアイツの技能≪血液毒素≫も、効果を発揮しにくい!」
「………わかったぜ!俺は防御に専念するから、攻撃はイルマとメラに任せた!!」
「なら防御は頼む!───メラ!シーラ!」
「──話は聞こえていたわよ!私とイルマで魔法での攻撃を担当ね!」
「──私は攻撃に参加せずに、……皆の援護に集中する」
「それでOK!
────なら、ブラッディ・ベアーに反撃開始だっ!!」
「「「おう(わかったわ)(了解)!!」」」
メラとシーラも今のイルマとダンの話が聞こえていたので、イルマが此方に顔を向けた際、メラとシーラはイルマに頷いては自分がすることを理解し、イルマに向かって自分がすることを告げる。イルマはブラッディ・ベアーに対しての戦闘方法が決定したこともあり、それに合わした戦闘を開始の合図を告げてはメラ達はその合図と共に反撃に出る。
────キン、キンキンキン!
「───くっ!!」
ダンはブラッディ・ベアーが発動させた
「───ダン離れて!
"土魔法、
"水魔法、
───ゴゴゴゴ、ジャバ、バシーン!
そして、ダンがブラッディ・ベアーの攻撃を弾いたのを見たイルマはダンにブラッディ・ベアーから離れるように指示した後、土魔法"アース・ウォール"を発動させてはブラッディ・ベアーの後ろに土の壁を作ることで逃げ道を塞ぎ、水魔法"ウォーター・ウィップ"を発動させて水の鞭で攻撃を放つ。
「──っ土魔法、
──ゴロゴロ、ババババババババ!!
メラはイルマの攻撃に合わせて自分も土魔法"アース・ショット"を発動させ、土の散弾をブラッディ・ベアーに放つ。
【グルル、ガオォォーー!!】
──ゴゴゴゴ、ドドドドッ!!
──バーーン!ガラガラガラッ!
「くそ、また駄目か!」
「攻撃が与えれない!」
「………膠着状態……か」
しかし、イルマとメラの魔法攻撃と逃げ道を塞いでいた土の壁はブラッディ・ベアーの
互いにダメージを与えることに失敗したイルマ達とブラッディ・ベアーは、攻撃の手を一旦止めては隙を探るかのように睨み会う。
このようにイルマ達VSブラッディ・ベアーの戦いは、互いにダメージを与えることが出来ずに膠着状態になっていた。
膠着状態になっている理由だが、イルマ達がブラッディ・ベアーのステータスを頭に入れた上でそれに合わした戦闘方法で反撃に出て、それに対してブラッディ・ベアーがイルマ達との数の利の不利や、自身の技能を発動させないもしくは発動しても喰らわないように立ち回りをして戦いをしてくるイルマ達に対して合わせた戦い方をしてきたからだ。
しかし、
【グルルルルル、ガオォォーーン!!】
──ゴゴゴゴ、ドドドドッ!!
「「「「!」」」」
ブラッディー・ベアーはそんな睨み合いに焦れ、今度は自分から技能≪魔力放射≫を使って攻撃を仕掛けてきた。だがそのブラッディ・ベアーの攻撃を技能≪魔力視≫で視認していたイルマが、皆に「避けて!」と指示し、自分もブラッディ・ベアーの攻撃を避けた。そして、ブラッディ・ベアーの技能≪魔力放射≫による攻撃は、イルマと皆の後ろに存在した木を破壊するだけに留まった。
【グルル!ガアァァーー!!】
「!」
「──今度は、連射かよ!?」
「……しつこい」
──バッ!
するとブラッディ・ベアーは今度は
【ガル!?ガルルルッ!!】
自分の連射攻撃を難なく避けるイルマ達に目を開くブラッディ・ベアー。
だがブラッディ・ベアーはそれでも諦めずに技能≪魔力放射≫を発動させてはイルマ達に連射攻撃を続けた。
──ババババババババッ!
しかし、
そんな諦めずに連射攻撃を続けるブラッディ・ベアーの攻撃は、残念ながら不発に終わる。
その攻撃が不発になった理由だが、ダンは
その為イルマは、ブラッディ・ベアーの攻撃を避けながら皆に指示を出しながら自身も魔法を放つ余裕が有り、メラ達はイルマのその指示に従いシーラが皆に攻撃のチャンスを作る為に攻撃を防ぐ援護を、そしてシーラの援護によりダンは闘気、メラは魔法で攻撃を放ちことでブラッディ・ベアーに牽制する。
【!?───ガアアァァァァーーッ!!】
今の自分の状態にブラッディ・ベアーは怒りが最高値まで上がり、怒りの咆哮を放つ。
「「「!」」」ビクッ!
「(最高値まで苛立ったか!それはそうだよな。自分の攻撃は全て避けられるか防がれて、その上牽制とはいえ反撃を喰らっているだから)」
ブラッディ・ベアーの様子と内心を冷静に観察するイルマ。
「(……だけど、僕達もこのままだと不味い)」タラッ
イルマは今の所Bランクの魔物であるブラッディ・ベアーと互角に戦えてることはいいが、決定打を出せてない今の現状に不味さを感じては額から汗を流す。
「(この現状を打破するためにも、ブラッディ・ベアーを倒すためにもメラの強力な魔法を放つことが必要!……)でもコイツ、ダンに
イルマの言う通り、ブラッディ・ベアーは戦闘が始まってダンに
そう、ブラッディ・ベアーはメラの強力な魔法を知っていた。イルマが予想した通り、ブラッディ・ベアーが襲ってきたのは
その為、ブラッディ・ベアーはメラが強力な魔法を放とうと魔力を高めたら直ぐに攻撃の集中をメラに変更して妨害してきたのだ。だからこそイルマ達は、ブラッディ・ベアーを倒すチャンスが中々訪れなくてこの膠着状態が続いていたのだ。
「(最初は偶然や
今の状況を打破する手段が思い浮かばず悩むイルマ。
【グルルルッ!!】
「ラチがあかねーー!」
「………向こうも、そのことで苛ついているみたい」
「………駄目!アイツ、ずーと私が魔力を高めたら警戒して私に攻撃を集中してくるわ!」
「多分コイツ、あの時オーク達に放ったメラの魔法の威力を感知していたんだよ。だからメラが魔力を高めた魔法が直撃したらヤバいってわかってるんだよ」
「ならどうするのよ!」
互いに膠着状態が続いているこの現状に苛ついていた。
そして、イルマ達は苛立ちに加えて焦りも感じ始めていた。
このまま膠着状態が続けば、魔物であるブラッディ・ベアーよりも子供の自分達の方が先に体力が切れるのが当然の摂理だからである。だからって、強引に仕掛けようにも警戒されている今の状態でメラが魔法を放った所では避けられて意味がない。代わりにダンとイルマが剣で攻撃をすれば、ブラッディ・ベアーの技能≪血液毒素≫による毒の餌食になる。
「(……仮に剣での攻撃で倒すに作戦を切り替えても、自分は耐性技能≪毒耐性≫で
~~ッ八方塞がりだ!)」
≪グルルル、ガォーー!≫
「「「「!?」」」」
ーヤバい!?ー
現状に焦れた≪ブラッディー・ベアー≫はついに、自身の名前の由来になった技能である≪血液毒素≫を使ってきた!
しかも、自分の腕を傷付けて、それを≪魔力放射≫で周りに飛ばすことで《血液毒素》の効果を最大限に活かしてきた!!
「──ッ厄介な攻撃を!?」
ブラッディー・ベアーの近くにいたイルマとダンは、急いでブラッディ・ベアーから距離を離しながらその攻撃を何とか躱す。
「あ、危なぁっ!」
「大丈夫、ダン!」
「あぁ、何とかな!」
「……よかった(とりあえず、あのコンボ攻撃を何とかしないと。血液を飛ばすってことは、《血液毒素》の効果範囲が広がると同時にあの飛び散った血液の中に有る毒素が弱まっている筈だ。なら、あの飛び散った《血液毒素》の技能ならまだ防げる!)……シーラ!職業技能【祝福の結界】で、あのブラッディ・ベアーの攻撃を防いで欲しい……!」
イルマはそのブラッディ・ベアーの≪血液毒素≫と≪魔力放射≫のコンボ攻撃に悪態をつきながらシーラに、職業技能≪祝福の結界≫を使用するように指示する。
「わかった!職業技能……【祝福の結界】発動……!」
ブーーーン
シーラが職業技能【祝福の結界】を発動すると、辺りに光のカーテンが広がり光は結界となる。そして、光の結界である【祝福の結界】の効果でブラッディ・ベアーの《血液毒素》を《魔力放射》で飛ばしていた血液の毒の効果を中和された。
【ガア?……!──ガアアアアアァァァッ!!】
それを察知したのか≪ブラッディー・ベアー≫は更に苛つきが増し、イルマ達への
「(不味いぞ、現状を打破出来てない!膠着状態に戻っただけだ!)」
そんなブラッディ・ベアーの攻撃の激しさは増したが、シーラの職業技能のお蔭で効果が無い攻撃であったが現状に変化はなく、イルマは膠着状態に戻っただけだと焦る。
「───っく!(焦るな!焦っても状況は良くならない!………落ち着け、落ち着け。………落ち着いてよく考えるんだ。今の状況を打破する方法を……)」
だが、焦っても状況は良くならないことを理解しているイルマは、自分に対して何度も落ちつけ、落ちつけと言い聞かせ、今の状況を打破する方法を頭を回転させて考える。
「(今の状況を打破してブラッディ・ベアーを倒すには、僕自身か、メラの魔力を高めた強力な魔法をどうにかしてブラッディ・ベアーにぶつける。もしくは、シーラの固有技能の【不浄聖鈴】が奴の
でも、メラの魔法攻撃はヤツも技能≪魔力感知≫で感知を続けて警戒しているし、シーラの固有技能【祝福結界】の回復効果が《血液毒素》に対してどれくらい効果が有るか不明だし、直接や大量の≪血液毒素≫による毒の血液を浴びたら流石に回復出来ないだろう。
──────なら、実質選択肢は2つ。
ヤツの技能≪魔力感知≫をどうにかして誤魔化して強力な魔法をぶつけるか、シーラの固有技能の力を信じてブラッディ・ベアーの懐に飛び込んで剣で直接攻撃を仕掛けて致命傷を与えられるようにするかだ。………くそっ、これしか方法は無いのか!?どちらもリスクが高い方法でやるしかないか?)」
今の選べる選択肢のどちらもリスクが高いことにイルマは苛立ち、どっちを選ぶか迷う。
「おい、イルマ!ハァ、そろそろ何か策を決めてくれ!コイツの攻撃、ハァ、シーラのお蔭で当たったとしても毒の効果が無いけど激しくなってきて、攻撃を避けるのも体力の減りがヤバい!!」
「!………チッ、どっちか選ぶしか無いのか!
─────!!(【ガチャ】!【ガチャ】なら他の選択肢を選べるかも!!)」
「リスクが高い選択肢のどちらかを選ぶしかないかっ!」とそう思ったその時、イルマの頭に自身の固有技能【ガチャ2】の存在を思い出したのだ。
「(戦闘用の技能じゃあなかったからすっかり選択肢から外していた!───っそれよりもガチャポイント!今、ガチャを回すことが出来るガチャポイントはどれくらい有る!?)」
固有技能【ガチャ2】の存在を思い出したイルマは、慌てて今ガチャを回せるspがどれだけあるのか確認する。
──────────────
【ガチャ2】残り30sp
ガチャを回しますか?
YES、NO ?
──────────────
「(よし!今、ガチャを回すガチャポイントは有った!ならここで回すガチャの選択は技能ガチャだ!それも三回分全て使ってガチャを回すぞ!……だけどその為には皆の助けが必要だ。戦闘中に【ガチャ】を回すのは周りへの注意が散漫になるリスクが有るから、ガチャを回すその間、僕の守りを皆にカバーして貰おう!)ごめん、皆!ちょっとの間僕を守って!」
「何?イルマ、どうした!」
「そうよ、どうしたのよ!何かあるの?」
「いいから頼むよ!」
「…………分かった。少しの間、イルマを優先して援護する」
「………少しの間だけだぞイルマ!俺がアイツを引き連れる!でもよ、俺の残りの体力に余裕が無いから早くな!」
「………何か策が有るのね?分かったわ!後、ダン。アンタは気張りなさい!」
「厳しいな、メラは!」
イルマは戦闘中に【ガチャ】を回すリスクを犯してでも、それでも【ガチャ】を回すことを決断する。そして、【ガチャ】を回す決断したイルマは皆にその間の自分の守りをカバーして貰うよう頼み、皆の返事を聞いた後直ぐ様に技能ガチャを回す選択を決めガチャを回し始めた。
──────────────
【ガチャ2】
残りsp30→残りsp0
(アイテムガチャ)
(技能ガチャ)←3回分を使用。
(ステータスガチャ)
──────────────
技能ガチャのガチャを3回全て選択したイルマ。
そんなイルマの頭に、技能ガチャのガチャが回り出す映像が流れ始める。
頼む、来い!今の状況を打破出来る技能なら何でもいい!
ガチャの出を祈るイルマ。
───────────────
ガチャ【1回目】
"ガチャガチャ、ガッコン、ガッコン!"
テッテレーー!
技能ガチャ【通常技能】≪体術≫を手に入れた!
───────────────
違う、これじゃない!
《体術》の技能では今の状況を打破出来ない!~~次!!
残念ながら1度目のガチャでは当たりを引けず悔しがるイルマ。そして次こそはと再びガチャを回す。
───────────────
ガチャ【2回目】
"ガチャガチャ、ガッコン、ガッコン!"
テッテレーー!
技能ガチャ【通常技能】≪嗅覚強化≫を手に入れた!
───────────────
これも違う!今欲しい技能は、こんな探索や捜索で必要な技能じゃない!………後一回だ。頼む!後一回で、この状況を打破出来る技能が来い!!
そして、2度目のガチャの結果も今の状況を打破出来る技能が当たらず、イルマは祈るように最後のガチャを回す。
───────────────
ガチャ【3回目】
"ガチャガチャ、ガッコン、ガッコン!"
テッテレーー!
技能ガチャ【希少技能】≪感知妨害≫を手に入れた!
───────────────
………《感知妨害》の技能?
《感知妨害》の技能の効果は………触れることで相手の索敵系技能を妨害する………き、来たあぁぁぁ!!!よし、来たぞ!
技能≪感知妨害≫!!この技能なら、《感知妨害》の技能なら今の状況を打破出来る!欲しかった技能が、最後の最後で当たったぞ!──────これで奴の技能、≪魔力感知≫を《感知妨害》を使うことで奴に感知されずにメラの魔力を高めれるっ!!
イルマは幸運にも3回目の技能ガチャで、何とかお目当ての今の状況を打破出来る技能である《感知妨害》の技能を引き当てることが出来、ガチャの当たりを引いた喜びの感情に包まれる。
しかし、この瞬間
イルマはこの状況を打破する技能が手に入ったことで、只でさえイルマは【ガチャ】の使用で周りへの注意が散漫になっていたのに更に周りへの注意が散漫になってしまった。
「イルマ!」
「……イルマ避けて!」
「イルマ、避けろ!」
そんなイルマの下に、ブラッディ・ベアーの攻撃がイルマへのメラ達のカバーを越えて迫り、イルマにブラッディ・ベアーの攻撃が当たるかのように見えてメラ達は叫び声を上げる。
が、
「────っ!
ふぅ………危ない危ない」
そんなブラッディ・ベアーの攻撃を、皆の声のお蔭でイルマは攻撃が当たる直前に気付くことが出来、ギリギリに攻撃を躱すことに成功する。
「(危なかった。やっぱり戦闘中に【ガチャ】の使用は周りへの注意が散漫になってしまうリスクが有って危険だね。
でも、今はそのことは置いとくとして、
自分の身に攻撃が襲い掛かったことにイルマは、改めて戦闘中に固有技能【ガチャ】を使用する危険性を実感する。が、これでやっとブラッディ・ベアーを倒す算段が着いたと笑みを浮かべたのである。
「イルマ!」
「イルマ、大丈夫か!悪い、攻撃を通しちまって」
「ごめん」
「大丈夫だよ、何とか攻撃は避けて喰らってないし」
ブラッディ・ベアーの攻撃をイルマに通してしまったメラ達は、イルマの安否を心配と攻撃を通してしまったことの謝罪の声を上げた。そのメラ達の声に大丈夫だとイルマは返す。
「そうか、よかったぜ!」
「そうならそうで大丈夫だと言ってよ!………で、どうなの?」
「…………ブラッディ・ベアーを倒す手段は考えれた?」
イルマの安否を確認出来たメラ達はホッと息を吐いて安心する。そして、安心したメラ達は今度はブラッディ・ベアーを倒す手段を先程イルマの守りをカバーしている間に考えれたのかと聞いてくる。
「うん。アイツを倒す為の策は考えれたよ(考えれたというよりも、得れたが正確なんだけどね)」
イルマは若干違うことを思っていたが、メラ達にブラッディ・ベアーを倒す手段を考えれたと告げた。
「本当か!」「ほんと!」「………よかった!」
ブラッディ・ベアーの方を向いて警戒しながらイルマの答えを聞いていたメラ達は、そのイルマの答えに歓喜の声を上げた。
「でその方法なんだけど、今から僕はアイツの《魔力感知》を封じる!《魔力感知》を封じることが出来れば、アイツはメラが魔力を高めていくのを気付けない。そしたらアイツが気付く前にメラが魔力を高めて魔法を放つ!それがアイツを倒す手段だよ」
「《魔力感知》を封じる?どうやってよ?」
「………仮に《魔力感知》を封じれて、メラをずっと警戒したらどうする?」
「それは有り得るな」
そのイルマの策に、
「(………確かにそれは有り得る)………なら、その時はメラの魔法を囮にして僕が【
じゃ、その作戦で行くよ?先ずアイツの《魔力感知》の技能を封じる為に僕はアイツの懐に飛び込む必要があるから、ダンとシーラは援護をお願い!で、メラは僕がアイツの《魔力感知》を封じれたら合図するから、合図したら直ぐに魔力を高めて魔法を発動出来るよう準備していて!」
「分かったぜ!」「………援護は任して」「分かったわ!」
──ダッ!
そう言ってイルマは皆の返事を尻目に、先程手に入れたばかりの技能である《感知妨害》を発動させてブラッディ・ベアーの《魔力感知》を封じる為に、危険を犯してブラッディ・ベアーの懐に飛び込んでいく。
【ガァアアア!………!?───グルルルゥッ!ガァアアアーー!!】
イルマが自分の懐に飛び込んで来るのを察知したブラッディ・ベアーは、そんなイルマを迎え撃つ。
「そうはさせねぇ!」
──闘気弾!
「………イルマの邪魔は、させない……!」
──氷結結界!
だが、そんなブラッディ・ベアーのイルマへの攻撃はダンの闘気弾の牽制と、シーラの氷結結界での守りにより届かない!
【グルルルッ!?】
「!──今だ!!」
──
そのダンとシーラの援護で、ブラッディ・ベアーの意識が自分から一瞬外れた隙をイルマは見逃さず、その隙を突くようにイルマは技能≪疾走≫≪脚力強化≫≪身体活性≫≪闘気≫を発動させ、ブラッディ・ベアーとの距離を一気に縮めようとする。
【グルッ!?】
イルマがその幾つもの技能を同時かつ多重に発動したことで、イルマの速度は先程までとは比べ物にならない速度になってブラッディ・ベアーに接近し、そのイルマの接近にブラッディ・ベアーは加えて隙を突かれたこともありイルマに対して何も出来ず、躱すことも出来ないようだ。
──ピタッ
「喰らえ!≪ブラッディー・ベアー≫!
───────技能≪感知妨害≫、発動!!」
その結果ブラッディー・ベアーに抵抗されることもなく、イルマは触れることに成功して
そして、イルマの
【グア?グルルルルルルーー!?】
≪魔力感知≫が全く発動しない、そのせいでブラッディ・ベアーは何故なのか分からず混乱の声を上げる。
「(今がチャンスだ!)今だ、メラ!!」
イルマはそんなブラッディ・ベアーの様子にチャンスだと悟り、メラに合図を大きな声で叫ぶ。
そして、合図を叫んだイルマは急いでブラッディー・ベアーの下から距離を取り避難。
ダンもイルマが離れる行動を始めた際には、自分もメラの魔法に巻き込まれないよう走ってブラッディ・ベアーから急いで避難する。
イルマの合図から高めていた魔力を、
【グルルルッ!!?】
ド、ド、ド、ド、ドドーーンッ!!!!
ブラッディー・ベアーは、自身の技能が封じられたことや混乱からメラの魔法攻撃に直前まで気づけれず、そして気づいた時にはもう目の前まで魔法は迫っていた。
その為、ずっと警戒していたメラの強力な魔法に対してブラッディ・ベアーは何の反応をすることが出来ず、まともにそのメラの強力な魔法を直撃して耐えれずに殺られてしまうのだった。
──今回、イルマが手に入れた技能──
【通常技能】≪体術1≫new
【通常技能】≪嗅覚強化1≫new
【希少技能】≪感知妨害1≫new
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