第422話 リゾート地のトラブルを皆で解決した。

リッカの頼みを聞いた俺は各種族に遠隔会話でリゾート地の現状を伝え、集会所へ集まって相談をしたいことを伝える。


俺は瞬間移動で即座に到着、するとその2分後にはぞくぞくと皆が集まり始めた。


早すぎる、良い事だけどさ。


「皆集まってくれてありがとう、さっきも伝えたがリゾート地は今かなりてんてこ舞いな状況だ……さっき俺も見たが各所に長蛇の列が出来ていたからな。

 リッカを代表にパーン族・ハーピー族・マーメイド族・一部のドラゴン族は対応に追われている、恐らく休憩も取れてないだろう。

 この窮地を脱するため、皆で意見を出して合ってもらいたい――もちろん俺もするからな。」


「では、オスカー様とイェニファーさんは動ける人員を連れて現地の現状確認を。

 デニスさんは村が不自由しない程度の人員を残して、そのまま応援に向かわせてください。

 その後、ハインツさんと倉庫に向かって、料理の食糧をある程度種類を絞り運搬をお願いします、それから――」


俺が皆に意見を出してくれとお願いしたその矢先、メアリーが皆に指示を出し始めた。


まさかあの間に考えていたのだろうか、食糧運搬と料理の応援くらいは思いついてたけど……改めて現状確認をするのは思いつかなかったな。


確かに地に足ついた俺が一点から見た状況より、上空からしっかり情報収集をしながら見たドラゴン族とハーピー族の報告のほうが精度は高い。


最近平和だったからメアリーの頭を借りることも無かったから忘れかけてたけど、やはりすごいな。


「ふぅ……とりあえず今出来ることはこれくらいでしょう。

 残りはドラゴン族とハーピー族の報告待ちですね、私の読みが正しければ――開様の力が必要ですよ。」


「どういうことだ?」


「船が足りないと思うんですよね、私も何度か足を運びましたが遊覧船が大人気なのは記憶に残っているので。

 そこに定員ギリギリまで乗客を乗せてフル稼働、それに伴いそちらに人手が取られて……の悪循環が原因ではないでしょうか。

 なので、開様の力で船を増やせばとりあえずは解決します――水夫が足りない可能性が高いですから魔族領・人間領からの雇用と人材育成が急務にはなりますけど。」


確かに、俺も船に乗るために列に並んだからな……だがその情報だけでそこまで考えるのはやはり難しい。


しかし人材不足か――村も大きくなったとはいっても総人口は1000人にも満たないからな。


しかもそのほとんどが仕事をしている、そうなるのも仕方ないと言えば仕方ないが……ちょっと悔しい。


そんなこと言ったって仕方ないんだけど。


「船は準備出来るが、人材はすぐには解決しないだろう。

 何かいい方法はあるか?」


育成にしても雇用にしてもすぐに出来るものじゃない、雇用は募集を掛ければすぐに来るかもしれないけど……それも今日というわけにはいかないだろう。


「一応対応策は考えてますが、あくまでこれは憶測の域を出てないので指示は出せません。

 そのためにサキュバス・インキュバス族には待機してもらってますよ。」


なるほど、それを聞いてその指示の内容が俺にも分かった。


憶測が当たっていれば魔族領・人間領に赴いて商人ギルドへ向かい水夫の雇用について相談してくるというものだろう。


サキュバス・インキュバス族は今や各領の窓口を担ってくれているからな、最初は桃源郷を作りかけてて心配だったけど。


それから残った人たちで他に何か出来ないか、対策は取れないか話しているとオスカーとイェニファーが帰って来た。


まだ十数分しか経ってないのに、もう終わったのだろうか。


「リゾート地の状況確認が終わったので報告しよう。

 一番の原因は船の不足だ、乗船待ちの客を整理・対応する人員と船の乗組員へ余計に人材が取られていた。

 そこからは全ての対応が遅れて……という感じだな、だがこれはリゾート地だけを見たドラゴン族の意見だ。

 ハーピー族は出航している船を見てくれているのだろう、そちらはどうだ?」


「はい、ハーピー族はあまり人員を動員出来なかったので……人数が少なくても済むこちらを任せていただきました。

 私達が出向している船を見た限り、明らかに過剰な人員を船に割いています……それも定員超過をした状態で出航してたので、トラブルを少しでも防ぐためマーメイド族とパーン族が取られてたのが原因ですけど。

 なので、オスカー様が仰る船を増やせば解決するという意見にハーピー族も賛成です。」


2人の報告を聞いて、メアリーが「やはりそうでしたか。」と呟いた後に、さっき言ってた対策を皆に指示。


オスカーとイェニファーはそれを見て啞然としている、対応が早すぎると思ったのだろう。


だが2人とも「まぁ、いつものことか。」というような表情をしてすぐに落ち着いて話し合いに合流。


俺も話し合いに参加して皆の意見を聞いていると、メアリーに袖を引っ張られる。


「どうしたんだ?」


「え、どうしたもこうしたも……想像錬金術イマジンアルケミーで船を作っていただかないと人力では即座に解決はしませんが。」


そうだった、忘れていた。


俺は皆に謝って話し合いを抜け、メアリーと倉庫へ走る。


それじゃ、船を何隻か作ってリゾート地に持っていくとするか。

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