第391話 どうすればオーガやナーガを村に住まわせれるか妻達に相談した。

ウルリケとオーガとナーガを村に住まわせるという口約束をした次の日。


本当は昨日妻達に相談するつもりだったんだが、いつもの3倍以上の荷物を持って帰って来たので急遽倉庫を増築して片付けに追われていた。


まあカタリナに頼まれたものもあるらしいけど。


そして遠隔会話を個々人で繋ぐのではなく、例の機構を中継させていることで思わぬ利点があるのを見つけたそうだ。


何と、複数人同時に話すことが可能らしい。


前の世界でいうグループ通話だ、それはかなり便利だし役に立つだろう。


何ならこれからの話し合いもこれでいいんじゃないかと思うが、顔を合わせて話すことにも意味が無いわけではないし……理由がない限りは継続するとしようか。


そして妻達と食事に行くことになったので、カタリナも誘い皆で食事へ。


フライハイトの様子は奥様方が見てくれるそうなので任せるとしよう。




「――と言う訳なんだ。

 完全に俺が悪いからウルリケのお願いを叶えてやらないとってなってるんだが、何かいい案は無いか?」


「開様……また大ドジを踏みましたねぇ。

 まぁ完全無欠な方より愛嬌はありますけれど。

 それはそれとして魔物を村に誘致……ですか、どの程度あの魔物達が言う事を聞くのかにかかっているかと。」


「そうよね、見た限りかなり知性は高めだと思うけど。

 私達の実力を見て襲わなかったのか、ウルリケさんの言う事を聞いて襲わなかったのか……その一点次第じゃないかな。

 それから村に呼んだあとしばらくは来訪者の目に入らない場所で過ごしてもらって、それから徐々に慣らしていくしかないんじゃない?」


メアリーとウーテから意見が出る、2人ともあのダンジョンに行って実際にその魔物を見てるから貴重な意見だ。


それからダンジョンの魔物の様子を色々聞いたが、白旗を振っていたと聞いて少し驚いてしまった。


魔物がそんなことするなんて……これは本当に相当な知性があるかもしれない。


ウルリケの助言があったにしても、それを実行するのは普通の魔物には出来ないだろうし。


これはもしかしたら、割と簡単に実行に移せるかもしれないぞ。


「それじゃ早速見に行ってみよう。

 思ったより希望がありそうだし。」


「いやいや、一応あそこはダンジョンなのよ?

 いくら不死で神様でも村長一人で行くのはダメじゃない?」


早く解決しようと思ったが、カタリナに制止された。


その意見に他の妻達全員が頷く、大丈夫だと思うんだけどなぁ。


だが、カタリナの意見に他の妻全員が首を縦に振ってるのでダメなんだろう。


ぐぬぬ。


「ダンジョンってことは、ダンジョンコアは破壊してないんだな?」


「あの魔物達の食糧をダンジョンの生成物で賄ってるらしくって破壊出来なかったのよ。

 それに、そもそも貴重なダンジョンコアを破壊するわけないじゃない。」


確かに、それもそうだ。


吸血鬼族の命の欠片から出来たものだから、シュテフィとウルリケにどうするか聞かなければならないけど。


もし村で使っていいとなると、また出来ることが広がるな。


「それと、もし行くにしてもウルリケさんを連れて行ったほうが話は早いかと。

 ご主人と呼んでましたし、自分の主の言う事は聞いてくれるでしょうから。」


「それはそうだな、そうするとしようか。

 それじゃウルリケから頼まれてる人工培養液の素を作ったら声をかけてみるよ。」


その後食事を終えて俺はシュテフィの家へ、妻達はそれぞれやるべきことをしにいった。


メアリーとウーテはダンジョンに行くための準備と踏破に必要な人への声掛け、カタリナはフライハイトの所へ、エルケはパーン族上位の様子見、流澪は俺と一緒に。


ん?


「流澪、俺に付いてくるのか?」


「特に今はやることもないし、いいじゃない。

 それにこの文化レベルで人工培養液なんて完全なオーバーテクノロジー、興味ないワケないでしょ?」


流澪がちょっと危ない目をしている。


マッドサイエンティストという言葉が似合う表情だな、怖いから出来ればやめてほしい。


なんでこう、俺以外の皆はそんな怖い顔が出来るんだろう。


俺もしてるんだろうか……してないよな?


ちょっと不安になる。


閑話休題。


「クリーンエネルギー機構の静音性問題は放っておいていいのか?」


「完全に行き詰ってるわよ、何なら物理的にどうにかするより魔術でどうにかしたほうが早いんじゃないかってクズノハさんが躍起になってるわ。

 もしそれでいいならそのまま採用するつもり。」


なるほど、無理に材料と技術を生み出して静音化しなくても魔術でどうにかなるならそれでいいのか。


盲点だった。


そして、俺はその意見を聞いてあることを思いついたが黙っておく。


俺が思いつくなら流澪も思いついてるだろうし、それをしないってことは技術の発展を促しているってことだろうからな。


しかし流澪の言う通り、ウルリケの技術はオーバーテクノロジーだ。


一体何を使って人工培養液なんてものが成り立っているのか、俺も興味が出てきたぞ。


早くシュテフィの家に行くとするか、ついでにウルリケの研究所も建て増ししておこう。


「拓志、顔が怖いわよ?」


流澪からツッコミが飛んできた、まさか俺もそんな顔をしてるとは。


気を付けなければ……ちょっとショック。

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