第356話 ダンジョンコアについての話し合い前に、流澪とエルケを交えて朝ご飯を食べた。

メアリーとウーテの様子を見に家に戻ると、まだ2人ともベッドで横になっていた。


「あ、開様おかえりなさい。」


「村長おかえりー。」


横になっているだけで目は覚めている様子、寝間着に着替えてるのを見ると風呂も入ってるみたいだな。


「調子はどうだ?

 一応ポーションは飲ませて追加のポーションを枕元に置いておいたんだけど。」


「すっきり快調ですよ。

 しかし魔力を使うのなんて初めてなのでびっくりしました、あんないきなり症状が出るんですね。」


「私も魔力切れなんて初めてよ……ウンディーネ様の力は滅茶苦茶強いのは分かったけど自重しなきゃ。

 オスカーおじ様に使い方を習わないと。」


「私はまずアラクネ族に頼んで、魔力量を増やす装飾品をいただきに行かないといけませんね……。」


とりあえず2人とも元気そうで安心。


起きて来ないから体に不調が残ったのかと思ったけど、そうじゃないみたいだし。


「2人ともご飯は食べないのか?」


「模擬試合前に結構食べたので大丈夫ですよ、今日はこのまま寝る予定です。」


「なるほどな。

 じゃあ明日メアリーが持ってるダンジョンコアの活用法について話したいんだけど、どこかで時間を取れるか?」


「その事なんですが、一度各種族の長を集めて話し合いを開くのがいいかと。

 ダンジョンが2つになることによって、鉱石用と食料用と分ければ更に効率的になりそうですし……何よりあの時より知識が増えてます。

 一回まとめ直して素材を厳選するのが最適だと思うんですよね。」


それは確かにそうだ、もしかしたらあまり使ってない鉱石や素材があるかもしれないし。


というかボーキサイトとか最たる例だな、俺しか使えないから溜まっていく一方みたいだし一度出現を止めてもいいかもしれない。


「じゃあそうしよう。

 それじゃ明日皆を集めて話し合いということで。」


「分かりました。」


なら目が冴えてるうちに少し書斎で考えを纏めようか……と思ったが、メアリーとウーテが寝るベッドに引きずり込まれた。


久々に3人でか……と構えたが、2人とも俺の腕を抱き枕代わりにしてそのまますぅすぅと寝息を立て始める。


え、あれ。


結構悶々としてたんだけど、まさかのお預け?


だが起こすのも悪いし我慢するか……俺もさっさと寝よう。




朝。


目が覚めると既にメアリーとウーテの姿は無かった、早起きしたみたいだな。


さて、俺は話し合いの前にコロッセオの解体をしておかないと……だがまずは朝ご飯。


食堂に行くとエルケと流澪が一緒に食事をしているのが見えたので合流した。


「おはよう2人とも。

 一緒に食べていいか?」


「おはよう、私は構わないわよ。」


「おはようございます、もちろん大丈夫ですよ!」


2人の許可も得たので対面に座り食事を始める、流石に朝からユニコーン肉は出てこないか。


「そういえば2人とも何か話してたみたいだけど、何を話してたんだ?」


「4人の大精霊が村に集結したから、何かその力を生かせないかなって考えてたのよ。

 エルケちゃんってそういう技術に全く関りが無いでしょ?

 経験と知識で凝り固まってる私より柔軟な発想が出るんじゃないかって思ってね。」


「そうなんですが……この村が快適すぎて何も思いつかないのが現状なんですよ。

 強いて言うなら村長がマティルデさんを連れて来た場所のように、空中に浮かぶ土地があれば何かに使えるんじゃないかってくらいで……。」


それを聞いた流澪は目をキラキラさせながらエルケの手を掴む。


「それよ!

 この村には神に大精霊、それに大精霊じゃないけどノームだって居る……それくらい出来る力はありそうよね!

 そもそもマティルデさんが居たお城があるんだから現状可能なはずなのよ、でも古代ルーン文字とやらが関わってると難しいか……。」


「古代ルーン文字ならシュテフィが多少扱えそうだけど。」


「よし、後で詳しく話を聞きましょう。

 昔アニメで見てから憧れてやまなかった天空城、この長い人生で叶えてやるわよ!」


クリーンエネルギー機構の開発が終わって次なる目標が見つかって何よりだ。


まさか天空城を自分たちの手で作ると言い出すとは思わなかったけど……だが夢があるというのは不死にとって間違いなくいい傾向だし止めないでおこう。


「そういえばクリーンエネルギー機構って正式に稼働したのか?

 試作機が出来たと言って少し経ったと思うんだけど。」


「拓志に頼ればすぐに出来るけど、ああいうのは職人の手で全て作るからいいのよ。

 なので設計図を渡してダークエルフ族とドワーフ族に作成をお願いしてるわ。

 何よりこの世界にはない概念を多く使ってあるから、技術を残すと言う意味でもそうしたほうがいいでしょ。」


俺より神様してるんじゃないか流澪……俺ならささっと想像錬金術イマジンアルケミーで作ってそのまま稼働させる。


そのほうが楽だし早いし便利だし。


早く夜にちゃんとした明かりが欲しい、というのもあるけど……まあ松明も充分明るいけど。


だが交換の手間を考えると早く電気は欲しいな。


「そうだ、2人ともこの後話し合いがあるから参加してくれよ。

 ダンジョンに出現する物を決めるから、何か欲しい物があるなら意見を出してくれ。」


「はーい、ちょっと考えておくわ。」


「……?

 わかりました……?」


流澪が即答で返事をしたのでそれに釣られて返事だけしたエルケ、明らかに何も分かって無さそうだった。


分からないならそう言ってくれれば説明するから、そんな困った顔で返事だけしないでほしい。


怒らないから。

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