第346話 ウンディーネを救出した。
『ウンディーネ、何かに囚われてるわね……ぷくく。』
『囚われてるって、大丈夫なのか?』
『見に行くわ、ちょっと自然がある場所に移動してちょうだい。』
そう言われて俺は木が生えている中庭へ移動する、ウーテとカタリナには少し待っててくれと説明した。
タイガは俺が褒めなかったのがショックだったのか、物凄い悲しい顔で俺を見つめている。
後で褒めてあげるから。
「ふぅ、ありがと。
初めて来たわねここ。」
「そうなのか?」
「そうじゃないと自然がある場所に移動してなんて言わないわよ、場所が分かれば自分で移動出来るし。」
なるほど、言われてみれば確かに。
「さて、ウンディーネの所へ行きましょうか。
案内してちょうだい。」
「分かった。」
俺はホープストーンを目指す道中に、ここで起きたことや状況をドリアードに説明。
村に天使族が来ることは歓迎しつつも、注意して動向を見ておいたほうがいいと言われた。
特に悪いことをする種族じゃ無さそうだけど……と思ったがドリアードが心配なのは村の技術を安易に持ち帰って無駄な争いの火種が生まれないようにということなのだろう。
村の技術も真似しづらいはずだけど、やろうと思えばやれることが多いからな。
そのあたりはきっちり話をしておけば大丈夫だろう、思想に溺れている種族では無さそうだし。
「よし、着いたぞ。」
話しているとホープストーンがある場所に到着、ドリアードはすぐにホープストーンへ近づいて何か調べ始めた。
「あー……これはウンディーネを笑ったのは申し訳ないわね。
古代ルーン文字で大精霊を捕えて強制的に力を使用させてるわ。」
「そんな物騒な事が起きてたのか!?」
「でも村長の話を聞く限りホープストーンから水が出始めたのは偶然でしょ?
それにこの場所に古代ルーン文字を完璧に使える技術があるとは思えないし……完全に事故ね。
確かにウンディーネは過去に捕らえられてたし、その時はもう一人の大精霊がすぐに救出してくれたけど。
まさかこれを破壊してないとは思ってなかったわ。」
なるほど、そういう事だったんだな。
模様じゃなく文字だったとは、しかしなんて書いてあるんだろうな、
古代ルーン文字、使えたら便利そうだし技術として欲しいけど……大精霊を捕えれるほど危険な技術なら誰も使えないほうがいいのかもしれない。
イフリートが破壊対象として見てないなら前向きに導入を検討してもいいかもしれないけどな。
問題は古代ルーン文字を誰から教わるか……という事だけ。
なんて考えていると、ここに繋がる扉が勢いよく開いた。
そこにはシュテフィが息を切らして立っている、シュテフィがそこまで疲れるなんてよっぽどじゃないか?
「村長、これどこかで見たことあると思ったら古代ルーン文字よ!
この城で使われてるのはここだけみたいだけど……。」
ぜぇぜぇと言いながら調査報告をしてくれるシュテフィ、それは既に分かってるんだよな……。
ドリアード、ちょっとバツが悪いと思うなら逃げるな。
「とりあえずウンディーネを救出しようか。
しかし俺じゃなくウーテに念話を送るなんて……能力の関係かな?」
「多分そうじゃないかしら。
私も村長を探す時魔力の後を辿ったし、ウーテちゃんの能力が一番繋がりやすかったんだと思う。」
「なるほどな……とりあえず古代ルーン文字を消すぞ。
これがウンディーネを捕えてる元凶なら消せばどうにかなるだろうし。」
「あ、ウンディーネ様から念話が飛んできたわ。
早くしてって言ってる。」
俺らの会話は聞こえてるようで、ウーテに念話を送ってコミュニケーションを図ってきている。
そんなことしなくても助けるから安心してくれ。
俺は持ってきていたナイフでホープストーンを削り、古代ルーン文字の一部を削り取る。
するとホープストーンから出てくる水が止まり、しばらくすると何かがホープストーンから勢いよく飛び出してきた。
「きゃぁぁぁぁっ……!」
声がした先を見ると、飛び出し来てたウンディーネを受け止めているウーテ。
ナイスキャッチ……え、キャッチ?
「あ、契約しちゃったわねこれ。」
「しちゃったな。」
俺とドリアードが状況を声に出すと、それを聞いたウーテとウンディーネは「「えぇぇぇぇ……!」」と叫んだ。
まあ不死で良かったな、特に何かする必要は今のところないぞ。
とりあえずホープストーンの代わりに水を出してやってくれ。
水と言うライフラインが止まってパニックになっている天使族の声がここまで聞こえてきてるから。
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