第334話 タイガの背に乗って外を駆け回っていると、何かを発見した。
タイガの背に乗って10分くらい走り続けただろうか、現在村が目視出来ないくらい離れている。
未開の地ってこんなに広かったんだなと再認識。
緊急時以外村の外に出るなんてほとんどなかったし、出たとしてもドラゴン族に乗って空からだったので陸路でここまで離れたのはほぼ初めてかもしれない。
それより魔物だ、試したいことが色々あったんだが……俺とタイガを見るや否や全員逃げていく。
タイガもそれを追おうとしてない、面倒くさいからか興味がないからか……俺としてはちょっと残念。
まあ無益な殺生はしないに越したことはないしいいか、魔物だって今は迷惑かけているわけじゃないし。
何かして来たら反撃させてもらおう。
「タイガ、そろそろ戻ろうか。」
俺はタイガに村へ戻るよう促すと首を振って更に駆けだしていく。
これ以上離れると大変じゃないだろうか、俺は夜になれば一人で帰れない自信しかないぞ。
……いや、今なら念じれば村まで転移出来るから別にいいのか。
だがタイガを一人にするわけにはいかない、タイガの帰巣本能に期待するとしよう。
あれから更に30分程走っただろうか、ドリアードの力を借りて振り落とされないように必死に捕まっていたのは内緒。
神なのに自力で耐えれないのは少し情けなく思うけど。
タイガは走るのを止めたと思うと、ふんふんと鼻を鳴らして周囲の匂いを嗅いでいるように見える。
「この辺りに何かあるのか?」
「グォォー……。」
何を言ってるか確証は持てないが、何となくこの辺に何かがあるんだけどなぁ……というニュアンスなのは伝わって来た。
タイガは非常に表情豊かだからな、顔を見ると何が言いたいか何となくわかる。
「グォッ、グォォ!」
タイガは何かを見つけたのか前足で空を指し示した。
「どうしたんだ?」
俺はタイガが指し示した上空を見上げる――すると何かが浮いているのが確認出来た。
ものすっごい小っちゃくだけど、よく見つけたなあれ。
「グォォー!」
タイガは浮いている何かに向かってジャンプする……あそこまで行きたいのだろうか。
タイガには申し訳ない事をしたし、叶えれることは叶えてやりたいが……タイガを連れてあそこまで行けるかどうか分からない。
「ちょっと待っててくれよ。」
分からないのでオホヒルメノムチに聞いてみることにする。
『ちょっといいか?』
『割と頻繁に連絡してくるんだね、どうしたの?』
『俺だけの力で他の誰かを任意の場所へ即座に移動させることは出来るのか?』
『出来るよ、念じて移動する時に対象の人に触れながらその人と一緒に移動したいって念じればいい。』
なるほど、触れていれば出来るんだな。
『ありがとう、試してみる。』
『本当にそれだけだったの!?
……まぁいいけどさ。』
オホヒルメノムチは少し不満そうになりながら念話を切った、何か気に障ったのだろうか。
だが俺は知りたいことが知れたので別に問題無い。
「タイガ、少し待っててくれ。
あそこに俺一人で行って何があるか確認してくるから。」
「グーォゥ。」
タイガに待っているよう言ったが首を振って断られる、それどころかそんなことはさせないと言わんばかりに俺に圧し掛かって動けないようにされた。
お前結構重いんだから手加減してくれよ……いたたた折れる折れる!
前足で押さえられた腕が折れるかと思った、俺の表情を見てタイガがすぐに離れてくれて助かったよ。
「それじゃあ一緒に行くか。」
「グォ!」
俺がそう言うと嬉しそうな表情で俺にくっつくタイガ、離れたくなかったのかな?
俺は見えている何かへ移動するよう念じる――さて、あそこには何があるのだろうか。
瞬間移動で上空に浮かんでいた場所へ到着。
するとその瞬間にけたたましい音量で鐘の音が四方から鳴り響きだした。
「なんだなんだ!?」
「グォォー……!」
タイガも嫌そうに伏せながら前足で耳を塞ぐ、可愛いけどそんなこと言ってる場合じゃない。
本当に耳がつんざけそうだぞ、一体何なんだ!?
「侵入者発見、侵入者発見!
守護天使部隊に告ぐ、直ちに第一種戦闘配備!」
拡声器で発したような声で物騒な内容が聞こえて来た――確かに侵入したのは悪かったけど何も変な事をしないから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます