第317話 問題がすべて解決したので、宴会を開始した。

「ほぉれ、腕によりをかけた新作といつもの料理じゃ!

 あっちではでは焼肉も焼いておる、食べやすいように串に刺したのもあるから好きに取るんじゃぞ!」


ドワーフ族が料理をどんどん持ってきたり配ったり説明したり……皆が席に着くと一気に宴会ムードになっていった。


来訪者も参加してもらっている、今回はお金を取ってるみたいだけど。


「こんなに大量の料理見たことがありません……一体どこから出てきたんですか?」


「倉庫に備蓄してあるよ、絶対に無くならないように管理はしてるけど。」


エルケがどんどん出てくる料理に少し引いている、パーン族も貧しくはなかったんだろうが裕福でもなかっただろうし仕方ないのかも。


「それじゃ俺は指揮台で音頭を取ってくる。」


「分かりました!

 もう待ちきれませんよぅ!」


「メアリー、はしたないからやめなさいよ……。」


「いやでも、この焼き肉が美味しそう過ぎて私もがっついちゃいそう……。」


俺も早く食べたい、あんな脂がのった美味しそうな肉を冷まして食べるなんてその肉への冒涜だ。


俺は少し早足で指揮台へ向かう、早く始めろという雰囲気がすごいし俺も早く始めたい。


途中誰かに呼び止められそうになったが、その人物は人混みに消えていったので誰かは分からなかった。


消えていった方向に他の人の視線が向いたので、話しかけられては始まるのが遅れると思って引っ込められたのだろう……お気の毒に。


始めた後ならいくらでも話を聞くからな。


そんなこんなで指揮台へ到着、さて――宴会を始める音頭を取るか!


「皆、今日まで騒動や問題に対応してくれて感謝する!

 先日を持ってパーン族とのトラブル及び災厄の集塊に関する問題、そのすべてが片付いてパーン族が村に移住することが決まった!

 メアリーを誘拐した一部のパーン族はこの間新発見した島で開拓と地図の作成をしてもらう、これは決定したことなのでこれ以上責めることのないように。

 それともう一つあるが……これはオスカーとキュウビが直接言ったほうがいいだろう。

 2人とも、こっちへ来て挨拶を頼む!」


俺は言う事を言ってオスカーとキュウビを呼び寄せる。


2人とも少し恥ずかしそうにしている……似合わないなぁと思ったが口に出したら殺されるので黙っておく。


「村長め、そのまま発表してくれると思っておったのに。」


「夫婦の契りを交わすと発表した時はオスカーがすごい嬉しそうだったからな。」


キュウビが照れくさそうに睨みながら文句を言うが、隣にいるオスカーは俺の予想通りニッコニコ。


それを見たキュウビは観念してオスカーと指揮台へ登っていった。


そしてキュウビの帰還と改めて夫婦の契りを交わした事を発表、そして村が揺れるくらいのお祝いの言葉がオスカーとキュウビに発せられる。


「皆祝ってくれて感謝する!

 それでは村長の音頭と共に宴会を始めると……うん?」


オスカーが俺を指揮台へ呼び寄せようと下を向くと、何かに気付いたのか言葉を止める。


俺もその方向を見るとエルケがこちらに歩いてきていた。


真剣な表情だけど顔は真っ赤になっている、どうしたのだろう。


「オスカー様、少しお願いが……。」


「む、なんだ?」


エルケはオスカーの耳元で内緒話を始める、キュウビも気になったのか狐耳をエルケの口元へ近づけた。


俺も気になるので近づくと「村長はダメです。」とエルケに拒否……俺に聞かれたくないお願いって何だろう。


ちょっと傷つく。


エルケの願いを聞き終わったのか、オスカーとキュウビは俺を見てニヤリと笑う。


どうしたんだよ、と思った矢先オスカーが俺とエルケを両肩に乗せてそのままドラゴンの姿へ変身……!


ちょちょちょ、びっくりするからやめろって!


「村の皆さぁん!

 私は今から村長に夫婦の契りを交わしてもらえるよう申し出まぁす!

 応援お願いしますねー!」


俺がびっくりしていると、エルケは広場に向かって凄い事を大声で発言していた。


それを聞いた人達はオスカーとキュウビの時以上に大声で盛り上がる、ほんとこういう騒げることが好きだなぁ!


それより前の世界のテレビ番組みたいなことするのがめっちゃ恥ずかしいんだけど。


「村長、私と夫婦の契りを結んでくれますか……!」


エルケが顔を真っ赤にして俺に告白してくる、まさに俺が知ってる番組とほぼ同じだ。


確かにあの時はダメだと言ったが、まさかこんな早くに……しかもこんな状況でもう一度気持ちを伝えられるとは思わなかった。


住民は既にお祝いの言葉を俺達に投げかけている、この状況で断れる奴は本物の勇者だろう。


まぁ断るつもりはないけどさ。


「もちろんだ、問題も解決したし。

 これからよろしく頼むよ、エルケ。」


俺が返事をすると、エルケは嬉し涙を流しながら俺に抱き着いてくる。


今オスカーはドラゴンの姿で立ってるんだからかなりの高さがあるのに、そんな不安定な姿勢を取ったら危ないぞ。


俺は慌ててエルケが落ちないように抱きしめる、そしてエルケが抱き着いたのを皮切りに今日最大のボリュームでお祝いの言葉が飛んできた。


まったく、これはもう皆パーン族の上位の罰なんてどうでもよくなってそうだな。


既に飲み食いも始まってるし、まったく……まだ報告しかしてないんだけど。


「村長、皆待ち切れておらんぞ。

 早く音頭を取ってくれ、私ももう我慢の限界だ!」


キュウビからもツッコミが入ったのでエルケを抱きしめたまま音頭を取ることに。


「よし、皆それじゃ報告ばかりで遅くなったけど村が興って以来最大規模の宴会を始めよう!

 2・3日続けてやるつもりだ、大いに食べて飲んで騒いで盛り上がってくれ!」


「「「「「うおぉぉぉぉーー!!!」」」」」


宴会が始まるとオスカーが俺とエルケを持ち上げてゆっくりと下ろしてくれた。


そして人間の姿に戻ったオスカーが過去一の笑顔を俺とエルケに向ける。


「エルケ殿、大成功だな!」


「オスカー様、ありがとうございました!」


「俺は何が何だかだったぞ、せめて教えてくれたらよかったのに。」


「あの状況で驚かせるのが目的なのに教えるわけがなかろう?

 だが成功してよかった、私まで村長に一矢報いた気分だ。」


キュウビの言葉を聞いたエルケはキョトンとしている、まだあの時負けたことを根に持っているのだろうか。


あれは俺にというよりメアリーに負けたんじゃないか、何で俺が巻き込まれてるんだろう。


「よしエルケ殿、これから質問攻めだ!

 ワシらの近くに居るといい、ある程度は手助けしてやるぞ!」


オスカーがそう言ったので周りを見ると、既にものすごい人だかりが出来ていた。


ラミア族は紙とペンを持っている、絶対これは活版印刷で掲示物を作るために取材をされるぞ……!


前の世界のマスコミみたいな事をして……真実を伝えてくれるならそれでいいけど。


しかしこれじゃ食べれない……と思っていたらハーピー族がお酒と大量の料理を空から運んできてくれた。


「では、対応頑張ってください!

 このベルを鳴らしてくれればおかわりを持ってきますので!」


有難かったけど完全に逃げ道を塞がれた……もっと自由に楽しみたかったのに!

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