第277話 遊戯施設を作ろうとしたら、俺自身に問題が発生した。
「特に無いわ。」
「特に無いですね。」
「強いて言うなら遊びながら飲食が出来ると嬉しいです、それ以外は特に。」
3人に遊戯施設の希望を聞いたが、目立った意見は出なかった。
遊びながら飲食は元々しようと思っていたし、何も意見が出なかったのと同じだな。
だが第三者の目から見ても特に問題が無いとも受け取れる、そういうことにしておこう。
「それじゃ早速作るとするか。」
俺は持ってきてもらった資材を使い、4階建ての遊戯施設を錬成。
「ホント規格外よね、それ。」
「自分でもそう思うよ……っと、久々疲れたな。
特に大きな錬成はしてなかったんだけど。」
錬成と同時に立ち眩みを起こしてしまった、やっぱり魔力量を自分で確認出来ないのは不便だな。
だがそれはシモーネにしか出来ないし、経験で何とかしていくしかないのだろう。
「完成したようですね、もし資材が足りなければまた呼んでください。」
「分かった、いつもありがとう。」
ミノタウロス族とケンタウロス族は建物が完成したのを見届けて、自分の持ち場へ戻っていく。
持ち場と言っても倉庫だけど、整理と見張りも兼ねているらしい。
「村長、とりあえずシモーネさんの所へ行きましょうか。」
「どうしたんだ急に。
魔力が減っただけだし、休めば回復するだろ。」
「今の時間を考えて、この時間に発動した初めての
規模で言ったら私と初めて会った時谷を埋めたものより小さいのよ、それで魔力切れを起こすって……魔力が回復してない可能性が極めて高いわ。
もしそうなら魔力回復不全症だから、ちゃんとした治療をしないと。」
そんな症状があるのか、しかし昨日はちゃんと寝たのに魔力が回復してないならその可能性は確かにある。
「分かった、それならシモーネのところへ向かおう……デパートに行ってなければいいけど。」
「行ってたら帰ってくるまで待てばいいわ、魔力さえ使わなければ大丈夫だし。」
それを聞いて一安心、とりあえずオスカーとシモーネの家に行ってみるとするか。
「オスカー、居るかー?」
「何でオスカーさんを呼ぶのよ。」
「シモーネは妊娠中だからな、デパートに行ってなかったら休んでるかもしれないし。」
カタリナも妊娠してるけどデパートに行ってるし、ポーションとグレーテの状態異常回復魔術、それに流澪の存在で妊婦でもかなり活発的に活動する人が多いのが現状だけど。
俺が知ってるだけで5人の妊婦が普通に仕事をしている、少しは休んでほしい。
「む、村長じゃないか……それにシュテフィも。
どうしたのだ?」
「村長が魔力回復不全症になってるかもしれなくて。
シモーネさんに現在の魔力量を見てもらいたいのだけど。」
「なるほど、そういうことか。
呼んでこよう、少し待っててくれ。」
オスカーはそう言って家の奥へ下がっていく、シモーネが居てくれたのは有難い。
もし魔力回復不全症ならさっさと流澪に治してもらわなきゃな。
「そういえば魔力回復不全症って何が原因でなるんだ?」
「原因は解明されてないわ、突発的になることが多い症状で生活の仕方も食生活も人それぞれ。
共通点が無いから特定出来ないって言われてるはずよ、今でも解明されてないんじゃないかしら?
興味本位で魔族領の文献を読み漁ってたけど、医学関係でも魔力回復不全症の原因については記載が無かったし。」
徒手格闘が好きだったりダンジョンで採掘したりと、肉体派なイメージのシュテフィだがそういう文献も読んだりするんだな。
勝手に脳筋のイメージを持っていた、すまない。
だがよくよく考えたらペーターの手伝いをしている時に文献を興味津々に読んでいたし、読書は好きなのかもしれない。
交易で本を仕入れるのもいいかもしれないな、少なくともシュテフィには需要がありそうだ。
今度他の人にも聞いてみよう。
「村長、お待たせ。
魔力回復不全症かもしれないんですって、どれどれ……。」
シモーネは俺の前に来るや否やすぐさま魔力量の確認を始める、誰も慌てないあたり本当に緊急を要する症状では無いんだろうな。
ちょっと不安だったけど安心した。
「今日は
「施設区に少し大きめの建物を錬成した。
その時に魔力切れの時によく出ていた立ち眩みが起きたんだよ。」
「なるほどね……。
率直に言うと魔力回復不全症を発症してるわ、でも村長のポーションを飲んだら治るでしょう。
もし治らなければ流澪さんに頼んで治してもらえばいいわ、それでも駄目なら薬草を摘んできて調合してあげるから。」
「シモーネはそこまで出来るのか?」
「ドラゴン族でも発症する人が居たから覚えちゃったのよ。
でも薬草を飲んで大人しくしてたら数日で治るから安心していいわ。」
とりあえず治ることが分かって完全に安心、気づいてくれたシュテフィに感謝しなきゃな。
「とりあえずポーションを飲んでおくよ。
ありがとうシモーネ。」
「どういたしまして。
最近は調子もいいから、何かあったら言ってちょうだい。」
「そうさせてもらうよ。」
診断をしてもらったので俺はポーションを取りに倉庫へ、早速一瓶を飲み干す。
「昔はこれであたふたしたんだけどねぇ。
いつ発症するか分からないから、戦闘中に発覚したら大惨事……なんて事もあったのよ。」
「それは考えたくないな……平和な時代に転移してこれて良かったよ。」
シュテフィの話を聞いて少し寒気が走る、魔術を生命線としてる人が居たらこの症状は致命的だろうからな。
しかも治るとはいえ数日魔術を使えないとなると、冒険をしていたら治るまでお荷物だ……冒険者なんて志さなくてよかったと心から思う。
とりあえずポーションを飲んだので様子見、今のところ眩暈やだるさは無いし治ったのかもしれないな。
流澪が帰ってきたら念のため
「さて、それじゃ遊戯施設の中を確認しようか。
せっかく作ったんだから、早めに稼働させたいし。」
「そうね、どういった娯楽があるか気になるわ。」
俺はとりあえず用意した物をシュテフィに説明しながら遊戯施設へ向かった。
麻雀のルールを口頭で説明して理解しているシュテフィ、もしかして滅茶苦茶頭が良かったりするのかな。
遊戯施設の中をシュテフィと確認。
1階は受付と待合、2階が雀卓、3階がトランプルーム、4階がダーツとなっている。
全体を見てみたが特に問題は無さそうだ、ダーツボードと矢もきちんと錬成されていたし。
だが俺はハードダーツをやったことがない、ソフトダーツは機械で処理していたから作らなかったが……出来るだろうか?
試しに投げてみたが重さがソフトダーツとかなり違うので難しい、全然ブルに当たらない。
「結構面白そうね、ちょっとやらせて。」
「あぁ、いいぞ。
真ん中が50点、後は周りに書いてある点数が加算される。
内側の狭い枠が周りの点数の3倍、外側の狭い枠が2倍だ。」
「それなら20の3倍が一番大きいじゃない、なんでそこ狙わないの?」
「そんな技術が無いからだよ、それに真ん中に当たると気持ちいいし。」
20のトリプルにすんなり当てれる技術は持ち合わせてない、そもそもブルにすら当たるのが怪しい。
さっきの試し投げだって3投して42点だったし。
そしてシュテフィの試し投げ、結果は140点。
20のトリプル2本に20のシングル1本。
「結構難しいわねこれ、でも面白そうだから暇な時に練習してみようかしら?」
……。
ここの住民は皆規格外だ、何で初めてのダーツでこんな上手いんだよ。
流澪もいくらプロライセンスを持ってるとはいえ危ないかもしれないな、家に帰ったら教えてあげよう。
「やった!
最高得点取れたわよ!」
もうシュテフィもプロでいいんじゃないかな?
俺は達観した目でシュテフィの投げてる様子を見て時間を潰していた。
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