第274話 メアリーに休めと言われたので、一緒に休むことにした。

メアリーと一緒に食堂へ、メアリーは俺の食事も持ってきてくれるということで俺は席について待っている。


朝は確かにだるかったが、流澪の想像剣術イマジンソードプレイのおかげで今は元気になった――メアリーに仕事禁止令を出されたけど。


カールは俺達と一緒に居るかと思いきやデパートに行きたいと言ったのでウーテ・カタリナ・流澪の3人についていってしまった。


両親が負けたのは少し悲しいが、色んなことに興味を持ってくれるのは嬉しい事ではある。


今のうちに色々なものに触れさせておいたほうがいいだろうし。


「開様、お待たせしました。」


「ありがとう、わざわざすまないな。」


「今日は開様にしっかり休んでもらいますから。

 身の回りのお世話もさせてもらいますよ!」


そこまでしてもらわなくてもいいんだけど、本人の気が済むならたまにはいいか。


何よりそうしてるメアリーの表情はすごく嬉しそうなので止めるのは可哀想だ。


「メアリーはホントにデパートへ行かなくてよかったのか?」


「開催されだして毎回行かせてもらってますから1日くらい大丈夫ですよ。

 それに昨日は少し大きな買い物をしてお金が余りないんですよね。

 誰かに借りるのも嫌ですし……。」


お金の貸し借りは怖いからな、本当に必要な時じゃない限りはするべきではないだろう。


村では趣味や自己満足にしか使わなくていいとは言え、何かトラブルがあるとは限らないだろうし。


それにその話を聞いた魔族領や人間領の商人が金融を進めて来ても困る、村と領間なら信頼関係や物で相殺出来るけど……個人ではお金を返すか労働しかないだろうからな。


村から奴隷が出るなんて嫌だし、まぁ村の住民なら何かしらの労働で充分返せると思うけど。


そんな事より、俺はメアリーの食事量にびっくりしている。


ピザトースト2枚にハンバーガー、それにフライドポテトって。


というかピザトーストなんてあったのか、俺もそれにすればよかった。


ドワーフ族が思いついたのだろう、相変わらず食への執念がすごい。


それからしばらく朝食を取っていると、ふと気づいたことが一つ。


ドワーフ族が前のような慌しさを見せることがなくなっている、デパートが開催されてて利用者がいつもより少ないというのもあるだろうが、それを加味しても明らかに余裕があるんだよな。


何か改善されたことがあるのだろうか、だがここ最近で厨房の環境を変えたのなんて水をいつでも使えるようにしたくらいだし。


料理には欠かせないが、それだけであそこまで改善されるだろうか。


今度聞いてみるとしよう。


「開様、何か仕事の事を考えてる顔をしていますよ?」


メアリーがふくれっ面で俺を睨みながら注意してくる、口に出してないのにこれもダメなのか……判定が厳しい。


というかよくわかったな。


「わかったよ、もうしない。

 食べ終わったらゆっくりさせてもらうさ。」


「はい、それでいいんですよ!」


そして2人で食事を終えて家へ帰る、俺の3倍くらい食べてるのに同じタイミングで食べ終わるとは思ってなかったけど。




「いやー、日中に開様と2人きりなんて久々ですね!」


「そういえばそうだな、日中は2人とも違う仕事をしてるし。

 嬉しいのか?」


「当たり前ですよ、理由が理由なので両手放しでは喜べないですけどね。

 会った当初から好意を寄せていたのはご存知でしょう?」


そう言われて少し恥ずかしくなる、メアリーのような美人でスタイルのいい女性に好かれる外見をしてないとは思うんだが。


ウーテ・カタリナ・流澪の3人もかなり外見が整っているけどな。


「そう言ってもらえると有難いよ。

 さて、ゆっくりするとは言ったが何をしようか……ただただゴロゴロするだけでは少しもったいないし。」


「では2人目を……と言いたいですが休んでいただきたいのでやめておきましょうか。

 開様は将棋以外に2人で遊ぶ暇つぶしをご存知ないんですか?

 せっかくですし、そういった形でゆっくりしてもいいと思うんですけど。」


2人で遊ぶゲームか……思いつくものはいくつかあるが全て頭を使うんだよな。


いや、頭を使わないゲームなんてあんまりないんだけど。


しかしそういうゲームをするとメアリーが圧勝してしまうのは目に見えている、真っ先にオセロが思い浮かんだが即座に却下した。


「後1人か2人居れば遊べるものはあるけど……どうする?」


「ではラウラとクルトさんを呼んでやってみましょう。

 開様はその準備をしててください、私は2人を呼びにいってきますので。」


仕事はダメなのに遊ぶために想像錬金術イマジンアルケミーを使うのはいいのか……それくらいは大丈夫だと判断したのかもしれないけど。


久々俺もやりたいし、しかしルール説明をして覚えれるかな?


結構難しいし複雑なんだよな、だがこれは頭を使うだけでなく運も必要なので少しはいい勝負が出来ると思う。


何より俺は結構な経験者だ、その有利は生かさせてもらおう。


やっとメアリーにゲームで勝てるかもしれない、俺はちょっとした期待を胸に浮かべながらゲームの準備をするため倉庫へ向かった。




「ロン、12000点ですね。」


俺が思っていたゲームは麻雀、難しいかと思ったが3人ともルール説明をして最初は戸惑っていたがすぐに慣れて今は何も説明しなくても普通に打てている。


まだ半荘2回目なんだけど。


しかも振り込んだし、最初は2着で今は振り込んで3着。


順位はメアリー・ラウラ・俺・クルト。


クルトもルールは分かっているがどうにも攻めすぎているな、危険牌なんて何のそのという勢いで自分の手を伸ばすことしかしていない。


結果としてまたも負ける形になってしまった。


「もう1回いいか?」


「大丈夫ですよ、今日は1日お休みですしこれ面白いですから!」


その日、何回かやったが8割方メアリーに負けてしまった……強すぎる。

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