第273話 デパートに行こうとしたが、体調が芳しくなかったので休まされた。
仕事を終えていつもより早めの風呂とご飯を終えて寝室へ。
おっと、その前に妻達に明日俺の事も起こしてデパートに連れて行ってくれと頼んでおかないとな。
流石に昨日の睡眠時間と今の体調で、あの時間に一人で起きれる自信は無い。
メアリーの寝室をノックして呼びかける、中からは他の3人の妻達の声も聞こえるので集まっていたのだろうか。
「開様、どうされましたか?」
「明日俺もデパートに参加しようと思ってな。
朝に起こしてほしいんだよ。」
それを聞いた妻達はびっくりしている、そんな驚くことか?
「それは良いんですが、欲しい物があれば見つけたら私達が買ってきますよ?」
「いや、村長の立場に居るのに自分の村で行われてるイベントがどう運営されてるか又聞きしかしてない状態はいかがなものかと思っただけだから。
欲しい物があればもちろん買うけど。」
「そんなことより体調は大丈夫なの?」
カタリナから体調を心配される、だが眠れば元気になると思うので問題無いと返事。
実際今も結構元気だけどな、眠いだけで。
とりあえず頼むことは頼んだし寝る準備も整ったので寝室へ、明日が少し楽しみになって来た。
そういえば将棋やっていたな、盤面を見る感じメアリーの圧勝っぽかったけど。
対局していたのは流澪だったか、ちょっと悔しそうだったな。
「拓志、起きて。
もう朝よ。」
「ん……おはよう。」
ベッドに入ってからの記憶が無い、一瞬で寝てしまったんだろう。
寝不足の時は結構嫌な夢を見ることが多かったんだが、今日はそんな事なかったな。
サキュバス・インキュバス族が食べてくれたのだろうか。
っと……まだ疲れが抜けてないのかフラフラするな、視界もぼやけてるし。
「ちょっと、顔色すごい悪いんだけど大丈夫?」
「え、そうなのか?
ちょっとしんどいはしんどいけど……。」
流澪に心配されておでこ同士をくっつけられる、男なら憧れるシチュエーションの1つだな。
分かってやってるんだろうか。
「熱っつ!
すっごい熱あるわよ、大丈夫!?」
「え、ほんとか?」
自分で触ってみても少し熱い気はするが、そこまで熱いかな。
「どうしたんですか、何か騒がしいですけど。」
「拓志すごい熱なのよ、
流澪はもう何も戸惑う事無く
いい事なんだが、節度を守って使ってくれよ。
「開様、体調はどうですか?」
「ん、
寝不足もあったしさっさとやってもらっておけばよかったな。
騒がせてすまない、すぐに準備するから。」
「いえ、開様は今回お留守番で。
参加されるなら明日にしてください。」
「え、なんで。」
治ったし調子もいいって言ったのに何で留守番なんだ、というか何で聞いたんだよ。
「今日は1日仕事を禁止します、これは第一夫人命令なので絶対遵守で。
私も1日開様のお傍に居ますから。」
「デパートがあるだろ、俺は元気だから気にしなくていいぞ。」
「ダメです、流澪さんの
何より世界が開様を失ったら回らなくなりつつある状況です、慎重になりすぎるくらいじゃないと私が落ち着かないんですよ。」
心配しすぎだと思うが、確かに俺に何かあってこの世界からドリアードが消えると本当に大問題だ。
前の世界ではどんなに文明が進んでも自然災害を完璧に阻止することなんて不可能だった。
この世界の文明レベルじゃ、大きな災害が発生したら前の世界以上の被害が出るだろう。
それを未然に防いでくれてるのがドリアードだからな、メアリーくらい慎重でいいのかもしれない。
「分かったわ、それじゃ拓志のことはメアリーさんに任せるから。
よろしくね?」
「はい、お任せください。」
流澪は自分の力を信用しているのだろう、俺の事を心配する様子もなくデパートに行く準備をするため部屋の外へ出て行った。
「それじゃ私は食堂で飲み物を貰ってきます、何か欲しい物はありますか?」
「それじゃコーヒーを頼むよ。」
「分かりました、では私もそれで。」
お水とかでも良かったが、せっかくだしコーヒーが飲めるならコーヒーを飲みたい。
それにドワーフ族ならあれから挽き方や淹れ方を考えてもっと美味しくしてくれてるかもしれないし、1日でそこまで出来てるかもしれないと思う俺も感覚が麻痺しているが。
さて、俺はメアリーが出てる間に着替えるとするか。
ちょっと汗をかいて気持ち悪いし、ついでに顔とかも洗ってしまおう。
「お待たせしました。」
メアリーが食堂からコーヒーを持ってきてくれた……が、お盆に大量の砂糖とポットが2つ。
そんなにコーヒー飲まないぞ?
と、思ったらメアリーは砂糖をドバドバ入れてもう1つのポットの中身をカップに注ぐ――中身は牛乳か。
最早あれはコーヒーじゃない、カフェオレより甘い何かだ。
「よくブラックというので飲めますねぇ……。」
「慣れてるからな、俺からしたらその甘いのをよく飲めるなと思うけど。
――お、挽き方や淹れ方が変わってるな。
前とは違う味とコクが出てる。」
「そうなんですか?
やはり味を変えるとそのあたり気づきにくいですね……私も頑張ってブラックで飲めるよう特訓しましょうか。」
「最初は甘いお菓子なんかと一緒に飲むといいぞ。
デパートが終われば魔族領と人間領へ視察に行って交易での取引やレシピ交換も考えてる。
そのあたりはデニスもしてくれるみたいだけどな。」
それを聞いたメアリーは物凄い期待をしている表情になった、そのあたりは女性が強いだろうし一緒に行ってもいいかもしれない。
「それは楽しみですが、それとは別にブラックで頑張ってみます。
開様のように眠れなくならない程度の練習にしますけれど。」
「それがいいぞ、どうもこのコーヒー豆は覚醒を促す成分が多いみたいだからな。」
その後メアリーと話をしていると2人ともお腹が空いてきた、そういえばコーヒーを飲んだだけで朝食はまだだったな。
久々にメアリーと2人きりなのでデートがてら一緒に食堂へ行くことに。
道中俺の腕にしがみついてきた、寂しかったのだろうか。
俺は果実が当たって朝から前かがみに歩いてしまう、最近ご無沙汰だから余計にだ……早く落ち着かせないと。
果実が離れないと無理だけどな。
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