第126話 疲労が蓄積していたみたいなので、仕事は見回りだけになった。
ウルスラが産まれて3日。
神の神殿建設イベントもラウラの出産も終わり、目に見えていた大きなことが全て終わって肩の力が抜けていた。
そうして分かったことが俺の疲れが思ったより蓄積していたこと、ウルスラが産まれた日は家に帰った途端そのまま次の日まで寝てしまったほどだ。
「開様は休んでください、村の事は妻の私たちに任せて大丈夫ですから。」
メアリーにそう言われて今現在俺は家で休養を取っている。
ちょくちょく休んでいたつもりなんだがな、それに他の皆に比べたらそこまで仕事はしてないはず……とは思ったが普段の仕事と緊張の連続が続いたのだろうと思うことにする。
滅多にない事だし今はゆっくり休ませてもらおう、でも運動はしたいのでそれも兼ねて見回りはすることにした。
外に出て見回りをしているとカタリナとばったり会った。
「村長何してるの、家で休んでなきゃ。」
「運動も兼ねて見回りくらいはさせてくれ、体を適度に動かさなきゃ余計体に悪い気がして。
それに日光も浴びたいし、見回り以外は何もしないからさ。」
カタリナを説得して何とか分かってもらい、見回りという名の散歩を続行することに成功した。
妊娠しているウーテですら少しは運動してるんだから、それくらいは許してくれ。
村をほぼ見終わったが特に異常は無し、意見も無かったので一安心。
家に戻ろうと広場を通っていると「村長、ちょっと良いか?」と声をかけられた。
誰だろうと振り返るとキュウビの影法師だ、何か連絡することでもあったのだろうか。
「あぁ、メアリーかカタリナに見つからないようになら大丈夫だぞ。」
「何をしでかしたのだ……まぁそれなら手短に話そう。
またギガースとやらを見つけた、今回は里や集落の被害は無さそうだが……とりあえず討伐はしておいたよ。
見つけたら連絡をしてくれと言われたので伝えておく、場所は村から遥か北西の山沿いだな。」
「分かった、メアリーとシモーネには伝えておくよ。」
「それからその近くでとんでもない深さの谷を見つけたよ、まるで星の底まで続いているような。
かなり深いところで瘴気のようなものを少し感じたが、この地まで昇ってくるような様子は無さそうだったことも伝えておく。」
とんでもない深さの谷……ウーテが吐き戻しに行ってる谷と地続きになっているのだろうか?
それに瘴気って……でもキュウビの話を信じるならかなり底の方での話だし現状すぐに急ぐような問題でもなさそうだな。
「報告ありがとう、そういえばアラクネ族はこちらについて装飾品の作成で大活躍しているよ。
また村に来たいという種族が居たら声掛けを頼む、道中気を付けてな。」
「それは良かった、またいい報告が出来るよう気を付けて旅を続けるよ。
早く村に帰って風呂に入った後酒と食事を楽しみたいものだ、宴会楽しみにしているぞ――それではな。」
そう言い残して影法師は消えた、とりあえずギガースの出現と谷の瘴気についてはメアリーとシモーネに話しておくべきだろうな。
だが今仕事のような事をしたら怒られる気がする……家に帰って夜に話すことにするか。
お風呂も食事も終え、もうその日は寝るだけになったという時間になった。
もうそろそろ話しても大丈夫だろう、明日からは仕事に戻るつもりだし……と言っても今日とあまり変わらない動きになるだろうけど。
あ、魔族領の会議で出てきた意見を詰めないといけないな――明日急に召集をかけて皆集まれるだろうか?
いや、この考えは明日すればいい……今はキュウビから聞いたことを妻たちに報告しなきゃな。
「なぁ、今日見回りしてた時にキュウビから連絡があったんだ。
ギガースが村から北西の方角でまた発見されたらしい、キュウビが討伐してくれるみたいだが。
後その近くでものすごい深い谷を見つけたらしくてな、その大分底の方から瘴気を感じたとも言っていた。」
妻たち3人が集まってるところで、キュウビから報告を受けたことをそのまま告げた。
すると3人とも物凄い険しい顔になってこっちを見てくる、仕事をするつもりはなくてキュウビに話しかけられただけだからな!?
「またギガース……?
こんなに頻繁にギガースが出現することなんてあったかしら、しかもキュウビさんが旅をしている道中にばかり……。
それにその谷って多分私が吐き戻ししに行っている谷と続いてるわよね、今度注意深く観察しないと。」
「ウーテさんはその方向でお願いします、ギガースがここまで頻繁に出るのは異常なのは間違いないですし。
明日はオスカー様を始めとした各族長に集まってもらって話をしないといけませんね。」
「それ私も参加するわ、この前のイベント後の会議で出た意見もついでにまとめたいし。
ギガースに関してはキュウビとも連絡を繋いだほうがいいかも、でもこちらから連絡する方法なんてあるかしら?」
妻たちが一気に話を進めだす、やはりギガースと瘴気に関しては異常事態なのだろう。
「あ、キュウビに関してはシモーネに頼めば連絡を繋いでくれるはずだ。
恐らく広場じゃないと繋げないとは思うが。」
とりあえず知っていることを妻たちに伝えると「それなら話し合いは広場で行いましょうか。」ということに。
「俺も参加していいよな?
今日は1日ちゃんと休んだし、流石にそんな大事な話に参加出来ないのは村長としてちょっと。」
「えぇ大丈夫です、開様にも参加してもらうつもりでしたから。」
良かった、明日も休めなんて言われたらどうしようかと思ったよ。
流石にちゃんと仕事したいしな、ここ最近やっと村長としての自覚を持て始めたところだし。
未開の地で起きている異変は、村にも危害が及ぶ可能性があるということだ……対策を練って事前に防げるなら防ぎたい。
そのためにも今日は寝ることにしよう、寝不足で頭が働かず話し合いをろくに聞けないなんてことは嫌だからな。
妻たちにもそう伝えて、今日はいつもより少し早めに布団に入ることに。
村の戦力の分担や仕事の割り振りなど、明日会議で話すことを頭の中で考えていると、いつの間にか眠りに落ちていた。
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