第100話 別視点幕間:妻だけ会議。
「村長は?」
「開様なら魔族領へ出発されました、しばらくは帰ってこないと思いますよ。」
「そっか、なら妻だけ会議を始めましょうか。」
メアリー・カタリナ・ウーテの3人は、時たま開を抜いて3人だけで会議を開いている、今日は魔族領へ行っている間に何回目かになる妻だけ会議を開いた。
最初に議案を出したのはカタリナ。
「まずは私から。
ドワーフ族やプラインエルフ族から、魔族領から来た冒険者からの売り上げや出稼ぎで稼いだお金をどうするか相談を受けてるの。
村長に話しても別にいいって言われたらしいけど、自分たちも使い道が無くて困っているらしいわ。」
「別にいいって、村長らしいわね。
でも魔族領のように、税金みたくある程度は徴収してもいいと思うわ。
現状じゃ使い道が無いから価値が分からないかもしれないけど、もし使う時が来た時に手元にないと不便なものだし、村のために使うお金はある程度備蓄しておくべきじゃないかしら?」
「そうですね、ウーテさんの考えには私も賛成です。
何より貨幣は寝かせておいても損こそすれ、得にならないと感じていますから。
交流を深めてそこそこの月日が経ちますが、結構な額が村に集まっていますし……このままのペースで貨幣が村に集まったら魔族領も困ることになりそうなので。」
「そっか、貨幣なんて概念のようなものだから好き勝手増やしすぎると混乱しちゃいそうだものね。
村にありすぎると魔族領の住民が困ることになっちゃうのか、村のための備蓄も大事だけど還元じゃないにしろ魔族領で使うことも大事になりそうね。」
「私、前に行った時欲しいものをいくつか見つけたのよね。
ドワーフ族かプラインエルフ族に頼んでお使いついでに使わせてくれないかしら……。」
「ダメですよウーテさん、その人たちの能力で得たお金なんですから。
ウーテさんだって、魔族領やこちらで仕事を探せばいくらでも見つけれるでしょうし……自分で稼いでくださいね?」
「はーい、やっぱりそうよね。
私も暇な時を見つけて何かお仕事探しにいかなきゃなぁ、カタリナさんはちょくちょく生活魔術でお手伝いしにいってるんだっけ?」
「えぇ、そこまで高い頻度じゃないし拘束時間もそこまで長くないのにいい金額くれるから助かってるわ。
稼いだお金で色々買ってるから、この家にも色々物は増えてるんだけど……村長特に何も言わないのよね。
気づいてないのかしら?」
「気づいてないと思うわ、だってカタリナさんが可愛いアクセサリー付けてて何か言ってくれてるところ見たことないよ?」
「やっぱりそうよねー、村長はいい男なんだけどホント鈍感というかなんというか。
今更気にはしないんだけど、ちょっと残念かな?」
「開様をあまり悪く言わないでくださいよ?」
「メアリー……ごめんって。
その笑顔は怖いからやめて……。」
「と、話が逸れてますね。
とりあえず魔族領のシステムをお借りして税金のような理由で村に備蓄、後は魔族領から来る商人へドワーフ族とプラインエルフ族にはどんどん営業をかけてもらいましょうか。
商人を通じて魔族領へお金が戻れば、混乱は起きないと思いますので。」
「「さんせーい。」」
「じゃあ次は私から。
これは開様が仰っていて、魔族領から来た一部の人からも言われたのですが……開様が作ったプールがあまりに扇情的過ぎるという意見が。
私としては男女ともに自分の魅力をしっかり異性に見せつけて、夫婦の契りを結ぶ人が増えるきっかけになっていいと思ってるんですが。」
「それ私も言われたわ、少年青年が前かがみになっちゃって少し可哀想かなぁ……とは思ってるけど。
逆に一夜限りの体の付き合いを誘ってくるおっさんは、村の女性たちなら返り討ちにもしてるし今のところそのままでいいんじゃない?」
「でも、魔族領から来てる人からも意見が出るなら対策は打ったほうがいい気もするわね。
何かメアリーの意見を生かしたまま、対策をするいい方法はないかしら?」
「開様がウォータースライダーを滑った時に来ていた服、あれを量産してもらうのは?」
「男性はあれでいいかもしれませんが、女性は乳房も隠さなければ扇情的過ぎるという意見は解決出来てない気がしますね。
ですが、開様が他の女性の乳房の大きさを測ってあの服のようなものを作るのは賛成いたしかねますよ?」
「「それは私も。」」
「あ、いい考えを思いついたわ。
プールの中に入ってる間は裸で、上がっている時は大きめのタオルを羽織っておくというのはどうかしら?
ケンタウロス族に言えば作ってくれると思うし、水の中ならそこまで肌も見えないからプールの外に居る間が問題だと思うのよね。
それを隠すことが出来れば、目的も保ちつつ扇情的過ぎるという意見も減るんじゃないかしら?」
「それいい案じゃない。
この会議の後、早速ケンタウロス族に伝えて作ってもらうようにするわ。
ちょうど技術交流会に行く用事があるから、一応開様のような人型とケンタウロス族・ミノタウロス族と3種類作ってもらうのでいいかしら?」
「それでいいと思います、種族で利用できないというのはあまり良くはないと思いますので。
ウォータースライダー以外にもケンタウロス族やミノタウロス族が使えるプールの遊具を考えてると開様も仰ってましたから。」
「じゃあそうやって伝えておくわ。」
「じゃあ最後は私ね。
カタリナさんもそうかもしれないんだけど、私も妊娠しないのよね……村長の子ども欲しいのに。
メアリーさんは何か子どもを作るためにやってた事とかある?」
「それは私も是非聞きたいわ。」
「えぇ、村のための意見を集めて話し合う会議なのにそんな話題ですか!?」
「私たちには大事なことだよ、協力して?」
「協力と言われても……特に何もしてないと思うんですよね。
強いて言うなら私は月経が終わった時、少し体温が上がり出す時期があるじゃないですか?
あの頃に行った夜の営みで妊娠した気がするんですよね……つわりが来たのもあの行為が最後のはずでしたし。」
「いい事聞いたかも、よく覚えたわねメアリー。」
「あの時の月経、すごく重くて辛かったので印象に残ってたんですよ。
もしかしたらそれがいい結果に繋がるならいいんですけどね。」
「私もそんなの気にしたことなかった。
そろそろ月経が来るし、カタリナよりお先に子ども作っちゃおうかな!」
「あ、ずるいわよウーテ。
その後は私も子ども作ってもらうんだから、時期がずれてるし一緒にしてもらうのはやめましょうか?」
「そうね、そのほうが村長の体の負担にもならないし。」
「それが原因かもしれませんよ?
男性は一度達すると二度目三度目はかなり薄いので、子を成す確率が低い気がします。」
「……そう言われればそうよね。
そもそも非効率なことしてたのかぁ、ちょっとショック。」
「まぁ、そう気を落とさないでおきましょ。
まだまだ子どもを作れる体なんだし、もしメアリーの出産時期と重なってたら村長の負担は大きかったはずだから。
それをズラせただけでも良しとしなきゃ。」
「それもそうね、プラスに考えよっと。」
「じゃあ今回の妻だけ会議はこれでおしまいということで。
カタリナ、ケンタウロス族にタオルの件きちんと伝えておいてね。」
「任せて、ご飯食べたらすぐに行って伝えておくから。」
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