第28話 いざ、ダンジョン攻略⑴
宴会が明けて朝、今日はダンジョン攻略に行く。
カバンに入るだけポーションを詰めて、俺の準備は完了。
「メアリー、準備はいいか?」
「はい、私も準備出来ました。
行きましょうか。」
2人で集合場所である森側の門の1つへ向かう。
もう皆集合していた、俺たちが最後みたいだな。
「すまん、待たせたか。」
「そんなに待ってないですよ、大丈夫です。」
ラウラからフォローをもらう。
ありがとう。
「開どの、出発の音頭を頼むぞ。」
オスカーから予定にない振りをされた、だが皆の気が引き締まるならやるか。
「皆、今日まで準備と鍛錬をしてくれてありがとう。
ダンジョン攻略は危険かもしれない、安全第一で攻略に努めてくれ。
村の食糧のために頑張るぞ。」
「「「「「おぉぉーーーー!!!」」」」」
攻略メンバーの気合の声と共に、留守番をしてくれる住民からも「気を付けて!頑張ってね!」と応援をもらった。
皆で無事に帰ってこよう。
ラウラとタイガが先頭になり、ダンジョンまで誘導。
歩いて15分くらいで着いた。
本当に村の近くにあったんだな。
「こんなところにあったんですね、気づきませんでした。」
気づかないのも無理はない、蔦がものすごく生い茂って入り口がほとんど隠れている。
「入るには邪魔だな、蔦を燃やすぞ。」
オスカーが軽く炎を吐き、入り口が現れる。
人間の姿でも炎吐けるんだな。
「見た目が変わるだけだから、能力はどの姿でも一緒だよ。」
クルトが説明してくれた、どういう原理なんだろう。
何はともあれ、いよいよダンジョンだ。
……。
トラップは無い、俺が知ってるゲームのようなダンジョンではないみたいだ。
話を聞くとダンジョンコアが洞窟を生成し、そこに魔物を発生させているとのこと。
そのはずなのだが、その魔物も出てこない。
何故か。
「魔物たちが私たちの戦力の異常さに気づいて逃げてるです。」
ラウラが答えを教えてくれた。
オスカー・シモーネ・クルト・タイガ。
ドラゴン3体にデモンタイガー1匹が徒党を組んでるとなると、そりゃ脅威か。
「運動のつもりだったのだが……。」
「ドラゴン族の戦闘見たかった……。」
オスカーと狩り部隊がしょんぼりしている。
まぁ戦闘は無いに越したことはないと思うが。
「ですが、多少オークでも出てきてもらわないと食料が不安ですね。
現地調達を考えての食糧しか持ってきてないので。」
それはまずいな。
「ラウラ、袋小路に逃げたような動きの魔物は居ないか?」
「んー……。
あ、その三叉路を右に行くとそれっぽい動きの魔物が固まってるですね。」
よし、とりあえずそれを狩るか。
「ラウラが袋小路で詰まってる魔物を見つけた。
食料確保のため、そちらに行き狩りをしよう。」
「「「「「おぉー!」」」」」
袋小路に行き、オークが10体くらい怯えてるのを見つけた。
すまないな、こちらも生きるためだ。
「先陣は任せてもらおう、オークは物足りないが久しぶりの戦闘よ!」
オスカーがものすごいスピードでオークに近づき、手刀を振るった。
その瞬間、全てのオークの首が吹っ飛んだ。
先陣が一瞬で戦闘終わらせるなんて聞いたことないぞ。
「父さま、やりすぎ。」
「あらまぁ、はしゃいじゃって。」
村の住人は俺含めて、全員顎が外れるほど口を開けて驚いている。
「えぇぇぇ!?
オスカー様何をされたんですか!?」
メアリーがオスカーに問いかける。
俺だって知りたい、なんだあのデタラメな攻撃は。
「む……、すまない。
手刀の風圧で数を減らそうと思ったら終わってしまうとは。」
風圧なのかあれ!?
よく見たら壁も剣や刀で一閃したような傷跡がついてる。
こりゃ規格外の強さだな……。
タイガがプルプルして俺にすり寄ってくる。
大丈夫だ、オスカーは味方だぞ。
オークを肉にして、みんなで休憩を兼ねて食事をする。
持ってきたものは保存食が主なので、新鮮なものから食べていくらしい。
調味料を持ってきてるのはナイスだ。
もう素材の味だけしかないのは嫌だからな。
食事を終えて攻略再開。
そこそこ深くまで潜ったように思うが、まだまだ続くらしい。
これはダンジョン内で野営も考えたほうがいいのかな。
「野営は当然です、そんな浅いダンジョンは見たことがないので。」
過去に攻略歴があるメアリーが答える。
付いてきたいと言ったがそこまで考えてなかった。
布団で寝れないのか……。
「ですが、魔物が軒並み怯えて出てこないですから攻略は早いと思います。
魔物の出現具合を見る限りコアを守る魔物はオークですから、高難易度ではないでしょうし。」
ダンジョンコアを守る魔物によって難易度が違うのか?
「知能がある魔物がダンジョンコアを守ると高難易度になりますね。
出現する魔物で自分の種族を読ませないようにしたり、魔物が強かったり。
後は普通にダンジョンの深度が高いです。」
なるほどな。
そんな話をしながら、歩を進める。
すると、奥から魔物の声がする。
オークの声じゃないぞ。
「オークより強い魔物です、大丈夫だとは思いますが気をつけてくださいです。」
ラウラが索敵魔術で敵の強さをある程度分析する。
「魔物を焼き尽くすほどの炎はダンジョンでは使えないわよね。
少し戦いたいし、ここは私の出番かしら。」
シモーネがそう言って最前列に立ち、口を開く。
すると光の玉が口から出て、そこから電撃を飛ばした。
シモーネは電気を操るドラゴンなのか。
「少し溜めが必要だが、放たれると回避はほぼ不可能なシモーネの電撃だ。
威力はワシが二度と食らいたくないレベルだぞ。」
シモーネも相当強いじゃないか、なんだこの夫婦。
魔物を確認すると、炭になった何かが確認できた。
これはやばい。
しばらく進むと、開けた場所に出た。
水も湧いて泉になっており、休憩するにはいい環境だと思う。
「今日はここで野営をしましょうか。」
メアリーがそう言って、たき火の準備をする。
他の皆も手際よく準備をし始めた。
やることがないし、やり方もわからないので水でも汲んでくるか。
そう思いバケツを持ち、泉に向かう。
「開様、危ないです!」
後ろからラウラの声がした。
反射的に身構えたら、泉の中から巨大な蛇が顔を出していた。
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