第26話 それぞれの戦い
水に流された
「あーもう! 最悪なんですけど! いきなり何なの⁉︎ なんでお兄ちゃんと離ればなれにならなきゃダメなわけ! 一緒に流してくれたらいいじゃない。それに服も汚れてるし…。最悪!」
自分に何があってこうなったより、
「随分と余裕なお嬢ちゃんなのね」
「なになに? 黙りしちゃって。恐怖のあまり口も聞けなくなったわけ?」
「違うわ。単純にアンタがキモいのよ。可愛いくないのは正義じゃないわ」
「なっ⁉︎ このクソ女が。ぶっ殺してやるわ!」
「いいわ! 私もアンタみたいな奴は嫌いなの」
次の瞬間、
固有術式【
これは自分に
「この声は…お兄ちゃんが私を呼んでいる。でも目の前にいるのは…強大な悪。この壁を超えた先にお兄ちゃんが待ってる⁉︎」
「はぁ? 何この女? 急に雰囲気が変わったわ」
「待っててお兄ちゃん! 必ず
「さっきから何を一人でゴチャゴチャと意味不明なことを口にしてるの! 教えてあげる。私は
「鬼? そう鬼なのね。
「何なのコイツ⁉︎ 意味がわからないわ」
厨二病の
「まともに会話も出来ないのかしらー」
全身から水の波動が迸る。水しぶきが木々を薙ぎ倒してゆく。
「クッ…なんという破壊力。
♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎
「式神さえ召喚出来れば…攻撃できるかもしれないが、この
(式神…さえ。俺も
「俺が盾になる! その間に式神を召喚することは出来るのか?」
「五秒だ。五秒あれば召喚は出来る。だが、お前の霊壁で五秒も防げるか?」
「わからない。いや正直言って無理だとは思う。でもやるって覚悟を決めたんだ。最悪、俺自身が盾になるしかないだろ」
(実際、俺はあの時死んでいたようなもの。そう思えば怖くないはずだ)
と思いたいはずだが、
「恐怖で足が震えてるぞ。だがお前の覚悟は受け止めてやるよ。悪いが踏ん張ってくれよ!」
あの
「やってやるよ!」
すぐさま、
鎌鼬が次から次へと飛んでくる。霊壁に当たる度にヒビが入ってゆく。
(ダメだ! 霊壁が破壊される。早すぎるだろ。俺の霊壁が壊れるの!)
バキッーーン。
破壊された霊壁の向こうからは、鎌鼬が
(クソ…。こりゃあ死んだな。鎌鼬がゆっくりに見える。脳内処理の方が早いってことは、走馬灯が見えるってことか。あれ? この場合、
「どけぇぇ!」
ドカッ!
「なっ⁉︎」
不気味な笑みを浮かべながら、
「怪異師も大したことなかったな。そろそろ、仲間も帰って来る頃だろ」
そして各方面から、
(嘘だろ…。やられたのか? だってお前らは俺より強い怪異師なんじゃないのかよ⁉︎)
「さて…お楽しみはここからだな。コイツらをどうしてくれようか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます