第16話 双子の怪異師
京都御苑内に邸宅を構える怪異師がいた。
しかし、稀に天賦と呼ばれる能力を持つ存在が誕生することもある。天賦は身体能力を劇的に強化する変わった力である。そんな特殊な能力と霊力を宿した武具を使って一番槍として
そして先日、皇居から持ち運ばれた
♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎
5月2日-19時00分-
平安神宮の奥院に保管されている
妖気は筋骨隆々な腕を型取り、外側から硬く閉ざされている扉を無理矢理こじ開けて凄まじい勢いで外へと飛び出して行った。
刹那な出来事ではあったが、平安神宮方面から強い妖気を感じ取った二人の怪異師がいた。
長安高校に通う三年の
「
「
「そりゃわからへんけど、ただ父さんらが居てらへんときに。最悪や。とにかく俺は確認してくるさかい、父さんに連絡してみてくれへんか」
「うん! わかった」
平安神宮に到着し、
残された
「おかえり、
「解かれてもーてた。昨日、封印の儀式したところなはずやのに。それより父さんとは連絡は繋がったんか?」
「いや、何度も繋いでみたけど出ーへん!」
-19時45分-
この時間だと晩餐をしている時間かもしれない。
「とにかくや、
「待ってーな。
「アホ! 被害は最小限に抑えなヤバいやろ!」
怯える
現場に到着しそこで目にしたのは、地獄を見た後の
二人は鬼がすぐに
「おいおい、なんていう威圧感や。復活したところやさか大した呪力を持ってへんと期待しとったけど…半端やないな。ほんだら、
「それはえーけど、その後はどないすんのさ?」
「その後? そんなもんは考えとらへん。やれることだけのことはしてみるってことや!」
バキーーッン!
「呪力の鎧か⁉︎ 硬すぎるやろ!」
「貴様らは何者だ?
「大丈夫? ここは危ないから後ろに下がっててくれやんやろか?」
「聞いとる? ここから離れんとウチらも危ないんやて! なぁ聞こえとる⁉︎」
だが、
「ちょうど良いわ。長らく閉じ込められて鬱憤を晴らすのに暴れたいところであったからな! 我を楽しませてみせろ!」
「どないしとんねん⁉︎ はよ移動ささんかい!」
「そんなん言うけど、廃人になって動いてくれやんの!」
「クソっ! こんな時に。ほな、助けるってなると…やっぱりやるしかあらへんわけか」
「やるしかないって…
「復活したばかりや、妖気が完全やあらへんのは確かや。俺が邪妖怪と戦って立てとることが何よりの証拠」
「そやけど。でも
「それ言うな。アイツ、呪力の鎧を纏っとんねん。それも飛びっきり硬いやつや。おかげで俺の一太刀が全く入りよらへんだけや。せやから、まずは妖気の鎧をへつるしかあらへん」
「ってことはウチの出番ってことか」
「せや。退魔の矢で霊力流し込めるやろ。鎧さえへつれたら、俺の一太刀も入るかもしれへん!」
「任し! でも時間くれんとあかんよ」
放った矢は一直線に進み、
「ぬぅぅぅぅ。鬱陶しい攻撃だ」
「ええぞ! 効いてるやんけ! これなら喰らわすことも出来るんちゃうかぁ!」
——グチャ。
だが、刃が腹部に刺さった深さは数センチ。大したダメージになっていない。
「生身自体が呪力の塊やったってことかいな⁉︎」
「
ドムッ!
「かはぁ——ッ!」
「刀も返してやるわ!」
腹に刺さった刀を抜いて、
「…バケモンやないか。呪力量は呪妖怪と同等なはずやのに…」
壁に突き刺さった刀を抜いて、杖代わりにしながらヨロヨロと立ち上がる。
力を取り戻してはいないとはいえ、圧倒的な力の前に立たされた
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