第13話 嵐山観光

 四月三十日——。

 今日から三日間、俺は二人と一緒に京都観光をする。久しぶりの休日を謳歌してやる!


「まずはどこに出かけるの?」


「フッフッフ。京都と言えば、世界遺産もだが、アクティビティも楽しめる嵐山に行く!」


【嵐山】

 京都府京都市右京区。

 国の史跡および名勝に指定されている。


 一日で全ての名所を制覇できる、お手頃な観光地で有名である。


 昭仁のプランでは嵐山嵯峨駅で下車して、トロッコ嵐山駅へ向かいトロッコに乗って、保津峡の自然を満喫するようだ。

 下車駅はトロッコ亀岡駅。

 リニアが当たり前になったこの時代で、トロッコと呼ばれる古い乗り物は、人気があり多くの人々が乗車していた。

 保津川を沿って走るトロッコ。

 保津川では船に乗って下る人たちもいる。手を振ってくるのがわかる。

 こちらもとお返しするように手を振る。


「トロッコ亀岡駅。トロッコ亀岡駅。本日は嵯峨野トロッコ列車のご利用誠にありがとうございました」


 昭仁あきひとたちが降りたトロッコ亀岡駅は、山中の田舎だ。辺りには田園が広がるだけ。近くには、サンガスタジアムと呼ばれる巨大な球場を建設中だ。

 

「こんなところにやって来て何するんだよ」


「さっきも見ただろ? 保津川下りをするんだよ」

 

 船着場までは徒歩で十分程度ある。

 それらしき建物はわかりにくく、本当にあるのかと疑うが川の近くまで来ると船着場はある。


 保津川下りに来るのは、日本人だけでなく外国人も多い。

 船には船頭が乗り三人交代で運転してくれる。前に座ると話しかけてくれながら、運転をしてくれるのだ。


「兄ちゃんはどこから?」


「僕ですか? 京都です。元は東京の人間なんですが、上洛大学に通っているんです」


「へー上洛大学。頭いいやんか。隣りの兄ちゃんと姉ちゃんは?」


「俺ッスか? 俺と彼女は東京からッス。こいつと友達で観光しに来たんッスよ」


「東京から? ならオッチャンたち、張り切ってサービスしてあげるよ」


 そういうと色んな技を披露してくれる。


「質問いいですか? これ一日何往復するんですか?」


「多い日は四回くらいだな。少なくても三回は船頭する。今日みたいに流れが通常時は一時間半くらいだから疲れる。逆に台風が去った後とかなら半時間で下れる。めちゃくちゃ速いし、腕を使うこと済むから楽なんだ」


「一日に三、四回も船頭するんですか? 大変ですね」


 だがそれだけあってか、逞しい腕をしている。三十人程乗るのだから、自然とこうなるんだろう。


「そうなんだよ。一発目は元気だから、こうしてサービス見せたりするけど、三回目や四回目は死んでるよ。ワハハ」


 船頭のオッチャンたちは気前がよく、たくさん話しをしてくれた。

 保津川下りは船に乗る以外にラフティングも出来る。川に入ってのんびりしたり、岩から飛び込んだりして楽しむ。


「おい!昭仁あきひと、今度ラフティングやろうぜ!」


「兄ちゃん、元気でいいね。夏のラフティングはいいよ。もし次に保津川下りするなら、春か秋をオススメしとくよ。圧巻だから」


 船が嵐山に到着すると保津川下りは終わった。船着場に着くとおっちゃん達に別れを告げて渡月橋の周りを観光する。


 渡月橋を中心にして、観光を始めるとすると幾つかの有名な寺院仏閣や写真に収めたくなるスポットが多い。


 ライトアップスポット『竹林の道』、縁結びスポット『宮野神社』、野生のニホンザルが生息する『嵐山モンキーパーク』、お月見スポット『大覚寺』、国内初の史跡、特別名勝指定『天龍寺』、紅葉名所『常寂光寺じょうじゃくこうじ』、一年中鈴虫が鳴く『華厳寺』、清少納言も祀る『車折くるまざき神社』などがある。


 昭仁あきひとたちは嵐山観光を満喫した。

 とにかく歩き回って各所を巡った。

 そして日が暮れ始めた頃——。


「そろそろ帰ろうか!」


「凄く満喫出来た。食べ歩きも出来るし嵐山は一日観光するにはいい場所ね」


「いやー昭仁あきひと先生様々だな!」


「明日は市内から離れて上手いものを食いに行くからな!」

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